2015-08-23 23:57 | カテゴリ:未分類

(承前)

 

先に、2015年の福島県の2つの浄化センターの脱水汚泥に含まれるI-131の推移を示しました。

  

それでは、2011年3月の東電福島第一原発事故以降今日に至るまでの毎日の脱水汚泥中のI-131の推移はどうだったのでしょうか? それを示したのが第3図(県中浄化センター)と第4図(県北浄化センター)です。

スライド1

 

 
 
      

図3に見るように県中浄化センターでは過去の4年間で300Bq/kg 以上のピークを示したのがざっと見て9回、100Bq/kg以上を示したものが24回のピークを示しています。細かいピークを数えるときりがない。それだけ東電福島第一原発からの放出がありそれが西部に流れたということかもしれません。2011年4月18日以前のデータがないのは観測の準備態勢ができていなかったためと思われます。原発事故が起こらなければ、日本国中の誰もが、下水処理場の脱水汚泥の放射能を測るなんてことは露ほども考えてみなかったでしょう。と同時に、大震災で県中浄化センター自体の機能が麻痺していたものと思われます。
 
スライド2


       
         

図4に見るように 県北浄化センターでは過去の4年間で 600Bq/kg 以上のピークを示したのがざっと見て15回、100B/kg以上のピークを示したものが21回あります。細かいピークを数えるときりがない。それだけ東電福島第一原発からの放出がありそれが北西部に流れたということなのかも知れません。2011年4月27日以前のデータがないのは県中浄化センターの場合と同じく、脱水汚泥の放射能観測の準備態勢ができていなかったためと思われます。と同時に大震災で県北センター自体の機能が麻痺していたものと思われます。
      

図3と図4を詳細に比較して見ると2-3日のずれでピークの発生が一致する場合があるけれども、多くの場合ピークが一致しておりません。この事実は、図3と図4の 100Bq/kg 以上のピークを合算した日数である約50回にわたって、東電福島第一原発は2011年4月以来 I-131 を放出していたのではないかという疑念を抱かせます。すでに原発事故以来約1500日以上経過しているなかでの約50回の放出です。つまりメルトダウンした原子炉は平均して1ヶ月に一回はどこかで水蒸気爆発してきたのかもしれません。また、主要な高いピークを比べると、県中浄化センターの値が5月上旬の900 Bq/kgを除くと、県北浄化センターの値の約半分で推移していることが特徴的です。このことが何を意味するのか? については、今は判断を保留したいと思います。

      

両浄化センターともに2011年3月の震災発生から翌月の4月中旬まで、放射能の測定データが得られていません(少なくとも開示されていません)。このことは、返す返すも残念なことです。あの原発事故での膨大な I-131 の陸域への放出拡散量が、巡り巡って流域下水道に流れ込み、汚泥処理場(浄化センター)に流れ込み、その終末産物の脱水汚泥にどれくらい含まれることになったのかなど、爆発初期からの細かな日変動の記録が残っていれば、さまざまな考察ができたのにと悔やまれます。当時の浄化センターの現場の作業員達は「異常に放射能の高い脱水汚泥の発生」という初体験をして、それを法律的にもどう扱うべきか四苦八苦(てんやわんや)していたと報道されていました。結局、焼却して8000Bq/kg以下の濃度の焼却灰や飛灰なら埋め立てに回してもよい、という厚労省が暫定基準をつくって、処置したと思います(この記憶はまちがっているかもしれません)。
 
(追記:以下に平成25年8月30日付けの下水道事業団の記者会見の記事の一部を転載します。
福島県阿武隈川上流流域下水道県中浄化センター(以下、県中浄化センター)では、
場内保管された放射性物質含有下水汚泥等の減容化・安定化処理が喫緊の課題となって
おります。当受託業務は、その焼却処理の実施に向けて県中浄化センター内に仮設焼却
施設(流動床焼却炉・処理能力90 トン/日)を設置し、一時保管されている下水汚泥
等約15,000 トン(8,000 ベクレル/kg を超えるものを含む)について焼却実証事業
を行うものです。また、焼却に際し各種データを採取、仮設焼却施設の性能や焼却灰の
性状等を検証することで、放射性物質を含む下水汚泥が長期保管されている他の下水処
理場への適用の可否等についても、本業務で得られたデータ、ノウハウ等をもとに検討
します。本施設は‘12 年12 月に着工したもので、‘13 年9 月には施設を稼働させ、
‘13 年度末までの約7 ヶ月間焼却実証事業を行う予定です。(2015.9.16.記)
      
 なお、日本原子力機構が下記のホームページに2011年3月15日から4月30日までの、メルトダウンした東電福島第一原発からの I-131 の日本全土への飛散シュミレーションを動画で公開しています。
http://nsec.jaea.go.jp/ers/environment/envs/fukushima/animation2-1.htm
4月中旬以降も動画を観察できますが、画像が小さすぎて4月の飛散の方向はあまり判然としません。


 
(続く)

 
(森敏)




 

秘密

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