2015-08-10 18:46 | カテゴリ:未分類

 我々が一昨年秋口にジョロウグモの調査をしていて気がついたことは、サクラの樹にはジョロウグモがまず一匹は必ずいるということであった。そこで昨年からは飯舘村の道路を車をゆっくる走らせながら道路沿いの並木や民家の庭のサクラの樹を動体視力を発揮してジョロウクモを発見すると片っ端から採取した。

    

あるダムに来たときに桜の樹の枯れ葉がかなり散り始めていたのだが、太い幹の枝分かれ部分に異常に黒い粘液質なものを見つけた。約100mLはあるように思われた。樹液なのかも知れないが、樹の切り傷がしかとは確認できなかった。小さな切れ目から徐々にしみ出たものが蓄積されて来たのだろうと思った。放射能に痛めつけられたサクラの樹がうめいてどす黒い血を吐いているような感じがした。
IMG_1027--.jpg
U8カップに採取したサクラの木の樹液

   

もしこれが桜の樹液ならばどれくらいセシウム濃度があるのか興味があったので、その樹液の塊をコンビニで買った弁当に着いている割箸でえぐり取った。超粘液質のニカワの感触であった。大学に持ち帰ってゲルマニウム半導体検出器で測ってみると以下の通りであった。

     

放射性核種

Bq/kg

Cs-134 

255

Cs-137 

992

K-40   

57.2

 2014年10月13日測定。
      

茨城県ひたちなかで2012年に採集したウルシの樹液に関しては我々はすでに報告している(付記1)。この飯舘村のサクラの樹液の放射能値は、ひたちなかのウルシの樹液の値よりも約4倍高い。杉や松で心材が放射性セシウム汚染し始めていること、樹木の新しい葉が内部汚染していること、種子が内部汚染していることなど、放射性セシウムが樹木の体内を循環していることはいまや否定しようもない事実である。
     
  最近のわれわれの調査では、浪江町では飯舘村に比べて心なしかサクラの木の枯れ方が激しいように見受けられる。「サクラの樹は放射線感受性が強い」のではないだろうか。これまで福島現地ではサクラの樹へアメリカシロヒトリが異常繁殖しているのを見た覚えがないので、この枯れ方は日本での原発事故でなければわからなかった、新事実かも知れない
 。サクラの樹はチェリノブイリ原発周辺では無かっただろうから、そういう報告はないのである。日本の茨城県の「γフィールド」(放射線育種圃場)の周りで、松が放射線感受性が高かったということは30年も前に報告されているようである(付記2参照)。サクラに関しては小生は知らないが、どなたかご存知でしょうか?
      

    

(森敏)

付記1:ウルシ液の放射能汚染に関しては、以下の原著論文をご参照ください。
Mori Satoshi et al: Radioactive cesium flow in Rhus vernicifera. Soil Science and Plant Nutrition. (2012), 58, 611-617
     
付記2:以下の鵜飼先生の著書は、植物の放射線障害と放射線育種に関する内外の研究の歴史を詳しく紹介しており、非常に参考になると思います。ぜひご一読ください。
植物が語る放射線の表と裏 鵜飼保雄著 培風館

付記3:ネットで検索するとサクラの樹の樹液がでる理由としてコスカシバ(学名 Synanthedon hector (Butler)というりん翅目による穿孔が考えられるようである。

 

付記4:サクラの樹の樹皮には以下の写真に見るように非常に特徴的な横長の孔が見られる。この特徴で普通の人でも桜の樹と同定できる。この孔(皮目というそうです)はガスを吸収していると考えられているようだが、当然水も吸収するはずである。写真で見るようにこの樹皮をめくると木質部分にも孔が通じていることがわかる。だからサクラの樹は原発事故後、フォールアウトでまぶされたサクラの葉や幹の樹幹流からセシウムを他の樹木よりも急速に体内に取り込んだ可能性が高い。
 
DSC00027--.jpg 
サクラの樹皮の多くの水平の孔は木質部につながっている!(丸い孔はムシによるものです)

 


秘密

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