2015-07-21 00:18 | カテゴリ:未分類

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図1.一晩室内暗所放置でU8カップのなかで作成したクモの巣(奧がクモ)。
クモは一体どんな位相空間認識力をもっているのだろうと驚嘆した。
写真が横向きになっていますが、右が上です。上から獲物が入ってくると、途中でトラップされるようになっている。出口がない「クラインの壺」のようにも見える。

   

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図2.図1のクモの巣を作成したと同じ未同定のクモ2匹(2つの触覚がある、脚が長く斑点もようが特徴。尻に2つの突起がある)。

   

    これまでの過去4年間の福島での環境・生物・放射能汚染調査で、昼と夜とでは野外で活動する虫たちは「種」がかなり異なることがわかっている。そこで、今回は夜間に出でてくる魑魅魍魎(ちみもうりょう)の虫たちの採取をねらって、ヘッドライトを持参して1泊二日の調査に出かけた。一日目の昼間の我々の活動は、主として当日の夜間調査のために有望と思われる調査地点の選定に当たるつもりだった。しかし、いつものように、行き当たりばったりの現場調査で、ついつい興が乗ってきて、あれも貴重、これも貴重と気ままに昆虫や植物を採取しているうちに、時間が経って、気温も高くて、疲れてきた。天気予報通りに時々は小雨も降ってきた。なので、「本日は夜の虫たちも活動しないだろう」と勝手に決め込んで、予定の夜間調査は中止した。ヘビ、イノシシ、ウサギも居たことだし、そのまま夜間調査に突入すると事故を起こしそうな気がしたことも中止の理由である。一時帰宅可能区域でも、夜間に事故を起こしたら誰も助けに来てくれないだろう。
             

2日目は、日中は高温多湿で超過酷だった。車のクーラー用のエンジンをかけっぱなしで、30分ごとぐらいに車に戻って休んで水を飲まなければ、熱中症でひっくり返るところだった。しかし同行の若い4名はいたって元気なのが信じられなかった。それだけ小生のからだが確実に年齢相応に(?)環境適応能力を失いつつあることを実感した。頭がもうろうとして物忘れしやすく、シャキッといろいろと現場での決断ができなかった。
      
  今回の調査旅行では、あらかじめ着替えのTシャツを4枚と、麻地の長袖シャツを3枚持っていったのだが、車に戻るたびにこれらに着替え、結局全部使い切った。着替えるとその時はシャツが汗を吸ってすがすがしいのだが、そのとき水分補給も併行して行ったので、車の外に出ると5分もするとまた汗びっしょりになってシャツがべたつくのである。最初はルール通りに生真面目に上下の防護服を着ていたのだが、途中からはこの防護服の上着はさすがに脱いでしまった。
         

昆虫採集が主目的であったのだが、残念ながら小生には植物採集しかできなかった。動くものはアリを捕まえるのも難しかった。同行者は飛翔するオニヤンマやキトンボを捕まえたり、活発に逃げ回るカナヘビをつかまえたり、暑さをものともせず大活躍であった。今回当初われわれはきれいな同心円状の巣を張る「成人ジョロウグモ」の採取をねらったのだが、現地に来てみるとこの時期はこのクモは体がまだ非常に小さかった。そこでやむなく、一見ムラッ気で不規則なクモの巣(図1)を張る癖のある「コモリグモ」らしき一種(図2)を20匹前後採取した。この時期はこのクモが最盛期なのであった。クモの種類によって最盛期が異なることをあらためて確認させられた。過去4年間の福島の調査で少なくとも10種類ぐらいのクモが野外で活動していることがわかっている。だから、今年もこれから毎月一度は採集に福島に出かけなければ、いろいろな小動物や昆虫の「種」の一年間の変遷の実態がわからないのだ、ということを再確認させられた。「そんなこといまさら当たり前のことだろうが、」と生態学者には笑われそうだが。 
                     
(森敏)
付記1: 今回の調査では、2日間を通して31マイクロシーベルトも被曝した。かなりの高線量地帯の林の中にも入ったからである。
付記2:それにしても防護服を着てマスクをして帽子をかぶっての夏の除染作業者達を見て、これは本当に過酷な作業であることが実感された。マスクをしているのでよくわからなかったのだが、作業者の中にはかなりの年配者も多いのではないかと思われた。 だから現場の作業責任者は「急患体制」はもとより、慎重なきめの細かい労務管理をしないと、熱中症の死者が出るかもしれないと強く感じたことである。各所に飯場が設けられているので、きちんとした対策をやっているのだろうとは思うのだが。
追記1:「クラインの壺」に関しては、以下をご参照ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%A3%BA
追記2:その後このクモは、クモ類図鑑から、たなぐも科コクサグモと同定された。

 


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