2015-02-15 09:48 | カテゴリ:未分類

    原子力規制委員会が関西電力高浜原発3、4号機の審査適合を正式決定した、と報じられている。着々と若狭湾原発銀座(敦賀、美浜、高浜、大飯と合計13基!)の再稼働へ向かって外堀が埋められつつある。

 

以前からずっと京都の友人と付き合っていて気になっているのだが、京都人はこの原発銀座の原発事故が起きた時の致命的な被害に少し感度が鈍いのではないだろうか。ところが、先日の東京新聞報道によると、京都の宗教人たちが、「原発は自然に背く」「事故あれば京都の文化壊れる」と今回原発再稼働反対をかなりの危機意識で真剣に発信し始めたらしい。

 

すでに国民的常識だが、福島の放射能汚染の経過を見ていくと、土壌・樹木・建屋からは放射能が少しずつ減衰しているが数十年間は決して自然には消えない。

 

日本人の感覚では京都経済は「観光」で持っていると思われる。イタリアのベネチアと同様世界的にそう思われているだろう。京都文化は歴史的観光資源に立脚しており、世界の観光客は日本固有の文化が京都にあると思っている。だから日本に来るとまず京都を訪れる。1200年の歴史を持つ京都文化の中核は借景の山や庭園や天皇家や公家や名僧などの由緒ある神社仏閣であろう。しかし天変地異やヒューマンエラーによる原発の <ベント> や <水素爆発> や <メルトダウン> などの異変が起こり、20キロ圏先にあるこれらの観光資源と琵琶湖がいったん放射能汚染してしまえば、その除染は至難の業であるばかりか、いったん獲得した『放射能汚染古都・京都』という「世界的な風評被害」は回復不能なダメージを京都経済に与えることになる。

 

 神社仏閣は古い建物ほどウルシなどの塗料がはがれており、建物やその他の生活用品そのものは木質や稲わらなどのセルローズやポリフェノールでできており、原発由来の放射能はなぜかセルローズやポリフェノールと親和性が非常によい。いったんこれらに固着した放射性降下物は水やその他の溶剤ではほとんど除染できない。放射能は屋根があっても空気があるところには建物の全表面細部にくまなく浸みわたるので、著名な神社仏閣の細部にわたり放射能汚染表面を削り取る必要がある。寺社の境内や名庭園や借景も土壌も、結局削り取るしか除染方法がない。

 

神社仏閣は普段は柵で建物の内部に人が入れなくても、参拝のために通常空間が開放系になっているところが多いので、建物の内部にまで放射能が侵入して、国宝級の仏像やふすま絵や欄間や畳などを簡単に汚染するだろう。神様も仏様も、ご神体そのものが永久に放射能まぶしになるかもしれない。仏像が放射能を発し続けるという事態にもなりかねない。我々は福島で神社仏閣の神事品(お賽銭、御幣、しめ縄、など)がことごとく強烈に汚染したままであることをオートラジオグラフで改めて確認している。

 

もともと文化というものは精神的なもので、宗教人は拝観料やお布施などのような、表現が悪いかもしれないが、いわば「あぶく銭」で生きている。檀家が避難し汚染や除染で品格がなくなった名所旧跡に観光客が来なくなれば、京都はたちまち経済的に路頭に迷うはずである。茶道・舞踊・生け花などに連なる京都の土着企業コンツエルンもあっという間に崩壊しかねない。土産物屋、小料理屋などの商売ももちろんあがったりになるであろう。

 

京都の伝統文化が近代の魔性である原発(皮肉なことに若狭では文殊や普賢と命名されている原発がある)をどこまで退治できるかが問われているのだが、京都人は十分な覚悟があるのだろうか。京都大学や同志社大や立命館大や多くの仏教系の大学人にも。
  
 
(森敏)
付記1:小生の育ちは兵庫県芦屋です。京都が大好きであるが故の心配事です。
付記2:福島に調査に行くたびに、「阿多多羅山」を遠望する。そして高村光太郎の詩集『知恵子抄』にある以下の詩を思い浮かべる。しかし阿多多羅山はいま放射能汚染されていることを思い、みじめな気持ちになるのです。和歌や俳句に詠われた京都の由緒ある山々がそうなってほしくないのです。


智恵子は東京に空が無いという
ほんとの空が見たいという
私は驚いて空を見る
桜若葉の間に在るのは
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ
智恵子は遠くを見ながら言う
阿多多羅山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとの空だという
あどけない空の話である。

追記1:京都府が以下の原子力安全協定を結んだ
。こんな程度の内容で安心していいのですかね。

高浜原発:関電、京都府と安全協定…立地外で初の回答義務

毎日新聞 20150227日 2339分(最終更新 0228日 0007分)

関西電力高浜原発(福井県高浜町)について京都府と関電は27日、炉の新増設や事故炉の再稼働に際し、府の意見表明権や関電の回答義務を盛り込んだ原子力安全協定を結んだ。原発立地自治体以外で電力会社の回答義務を明記した協定は初めて。異常時の通報義務にとどまる以前の協定から大幅に踏み込む内容だが、再稼働時などの事前同意権は盛り込まれていない。また、新協定は新規制基準に「合格」した高浜3、4号機の再稼働手続きは対象としていない。

 高浜原発を巡って京都府は、避難計画策定が必要な30キロ圏(緊急防護措置区域、UPZ)に7市町、事故時に即時避難が必要な5キロ圏(予防防護措置区域、PAZ)には舞鶴市の一部が入り、約13万人が暮らす。府は7市町の意向も踏まえて、「立地自治体並み」の協定締結を求めて関電と協議していた。

 協定では▽新増設や原子炉施設の重要な変更▽事故で停止した原子炉の再稼働▽府が必要と判断した際の現地確認−−について府は意見表明でき、関電は措置状況を回答する。新燃料や使用済み燃料、放射性廃棄物が府内を通過する場合の事前連絡も定めた。

 福井県など原発立地自治体と関電の協定は「重要な変更時には事前に了解を得る」(事前同意)としているが、今回の協定には盛り込まれなかった。【藤田文亮】

 


秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/1927-21b0f3c3