2014-06-30 07:14 | カテゴリ:未分類

現在驚異的なスピードで放射能汚染表土剥離除染が行われている。その状況はgoogle earth でも確認できる。除染土壌や草木はフレコンバックに詰まれ、除染した水田や空き地を確保してそこに積まれている。この表土剥離作業自体は住民の「いずれどこかに持って行って目の前からなくなるだろう」という期待のもとに基本的には住民から支持されているように見える。これまでもさまざまな除染方法が提案されているが、表土剥離はその後の深土への作付けなどへの影響を考慮しなければ、いわば除染の「固有解」である。ほかの除染技法は大局からみれば「部分解」である(別にそれが無意味な除染技術だと言っているわけではない)。

 

そこで問題は各所に山積されている汚染堆積物の「減容化」である。その減容化手法については、ゼネコン企業各社で秘密裏にさまざまな手法が開発されて、どうやらそれが特許化されつつあるようだが、なかなか目に見える形でスケールアップしたハードウエアとして登場してこないのはもどかしい限りだ。減容化が遅々として進まないのは、企業が放射能(放射性同位元素)を大規模に扱える場所が確保できなくて、いつまでも安定同位元素を使って室内での模擬試験をやっているからではないだろうか。放射能の挙動は無意識に扱うと微量の拡散が起こりえるのでとても危険である。だから放射性同位元素は安定同位元素と全く異なる考えで、本来ならば、放射能取扱主任者資格を持った人間の厳格な管理下で、作業者や住民が被曝しないような放射線隔離環境下で扱わねばならない。というのが日本の法律である。
  
 

これまでも研究所を持った大企業はそういう取扱資格を持った人物を抱えてはいたが、彼らは放射性同位元素施設をつくるときやその維持管理業務に役に立っているのであって、現在進行形のこんな大規模な高濃度(高いところで数百万ベクレル/kg以上)の放射性汚染物の燃焼などを扱った経験が全くない。 だから今行っているようなつまり実験室レベルの安定同位元素(Cs-133)で行っている結果をスケールアップするシミュレーションが簡単にはできないはずである。
 
 

つまり、日本ではすべてが初物である。だから、国は早急に放射能汚染物の減容化のための広大な試験的な施設の建設をすべきなのである。そこでは各社が共同で高温灼熱乾式灰化の実験をやるべきなのである。いずれ隔離環境下の「大規模減容化施設」が必要になるのだから、これこそは国家が主導すべき場面であろう。ということを小生は以前から提案してきた。

 

除草(森林の場合は落ち葉掻き)、土壌剥離、フレコンパックへの集積、運搬、仮置き場への集積、(いずれは焼却、埋設)など細かい除染に伴うプロセスの必要経費はわからないが、施設建設を含めて向こう10年間ぐらいで、累積で10-30兆円にも上るといわれている。この金額は森林除染をどこまでやるかでかなり変動するだろう。現状ではこれらの国家予算は、大手土建会社をはじめ中小の下請け孫請け土建会社にとっても「たなからぼたもち」の事業であると思われる。なぜなら現場での除染作業を見ていると、素人目には技術的には既存の土建作業に必要な大型機材や手作業の小道具ですべて対処できており、特殊に開発した用具などを必要としていない。2011-2012年にかけて試行錯誤で出来上がった企画書どおりに除染作業が進められているように見える。とにかくひたすら土壌をはぎとってフレコンパックに入れて積み上げている。

 

と思って、ここまで書いてきて「減容化」というキーワードで久しぶりに本日ネット検索すると、環境省のホームページ

 

http://shiteihaiki.env.go.jp/pdf/04/06_01_01.pdf?var1404

に、うわさでは聞いていたが、


飯舘村蕨平地区における
可燃性廃棄物減容化事業について

 というのが飛び込んできた。これは

 

請負者(受託者)

仮設焼却炉:IHI環境エンジニアリング、日揮、熊谷組

仮設資材化施設:日揮、太平洋セメント、太平洋エンジニアリング、日本下水道事業団、農業・食品産業技術総合研究機構、国際農林水産業研究センター

 

とあるので、2年前から太平洋セメントと食品総研などが共同研究していた内容をいよいよ実施に移す試みと思われる。いわばやっと国と企業との「放射能汚染土壌減容化コンツエルン」が形成されたわけである。このホームページには細かく実施計画が開示されている(煩雑なので紹介しないが)。近隣村の除染した草木や下水道の放射能濃縮汚染活性汚泥ばかりでなく、飯舘村で発生した土壌も500トンばかりを減容化するとある。この施設の建設稼働計画には必ずしも地元住民が全員賛成しているわけではないことが素直に飯舘村から広報されている。

 

原発事故から3年以上たって、やっと本格的な減容化施設が建設され、いつからか稼働するわけである。高温焼却乾式減容化を以前から主張していた小生

(2013/06/24 : 研究者は環境放射能の除染廃棄物の減容化研究をもっと真剣にやるべきだ

としては、スケールアップの技術の飛躍的な発展を期待している。これは苦難の、とにかく一歩前進だと思う。課題が明確になり国の方針が決まれば 各社が横並びで競争して技術を向上させていくこと」はいつも日本の企業の得意とするところだ。だから今後は企業間の競争原理が働いて、意外に早く「施設周辺を汚染しない効率的な減容化技術」は達成するかもしれない。 甘い観測だろうか。


(森敏)
  

付記1:

7月3日から「第3回環境放射能除染研究発表会」が郡山で開かれる。

付記2:

富岡町、田村町、広野町にも減容化施設が出来つつあるようだ。それが飯舘村と同様の物かどうかは、ちょっと検索した限りでは詳しい内容はよくわからなかった。
付記3.
飯舘村での減容化の手法に関しては
万福裕造:「除染技術の高度化」-セシウムの濃縮分離 (放射性物質で汚染された土壌からの熱処理によるセシウム除去 日本土壌肥料学雑誌85巻138-140(2014)
に特許を意識してか、ごく簡単に紹介されている。
 

追記1:以下のニュースが出てきた。この場合、土壌は処理しないようだが、それでも生成される「焼却灰」は総放射性セシウム量として数百万ベクレル/kg という相当高い放射能が想定される。


汚染廃棄物を圧縮 伊達・霊山で仮設焼却炉が着工

 伊達地方衛生処理組合が伊達市霊山町石田に整備する、除染で生じた放射性物質を含む廃棄物を焼却処分する仮設焼却炉の安全祈願祭と起工式は8日、現地で行われた。来年1月から稼働開始予定。
 市町村レベルで構成する一部事務組合が汚染廃棄物専用の焼却炉を設置するのは県内で初めて。同市、桑折、国見、川俣各町で生じた汚染廃棄物のうち、草木や剪定(せんてい)枝などの可燃物を焼却し体積を圧縮する。
 処理能力は1日130トン。稼働期間は来年1月から2019(平成31)年6月までの約4年半で、計15万4000トンを処理する見込み。焼却灰は敷地内に一時保管し、中間貯蔵施設に搬出する。
(2014年7月9日 福島民友ニュース)


秘密

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