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2014-06-03 20:50 | カテゴリ:未分類

「ポスドク」就業、国が支援研究ポストを拡大

201405 2709 04

 

政府は、博士号取得後も助教などのポストに就けず研究をしている「ポストドクター(ポスドク)」が、正規の職に就けるよう国立大に促す方針だ。安定した職を得られない研究者が増えれば、研究開発の基盤が揺らぎかねないためだ。「ポスドク対策」の実績に応じ、大学に配る予算(運営費交付金)に差をつけ、対策の効果を高める考えだ。

 財務省と文部科学省が調整し、6月下旬にまとめる政府の「骨太の方針(経済財政運営の基本方針)」に反映させ、2015年度にも実施したい意向だ。ポスドクが学内外で正規の研究職に就けるようにするため、国立大に〈1〉学内で若手向けのポストを増やす〈2〉産学連携を強化し、企業も含め安定した職に就けるようにする――ことなどを求める。国立大の運営費交付金(約1・1兆円)の配分が硬直化しているとの声もあり、「対策」の成果を踏まえ配分を見直す方向だ。

 大学院生は1991年度の9万8650人が13年度に25万5386人に増えたが、研究者採用は広がらず、ポスドクは96年の6274人が09年に1万7116人に増えている。

20140527 0904 Copyright © The Yomiuri Shimbun

  
   

(森敏)


付記:

なにをのんきなことを言っているんだろう。すでに研究基盤は揺らいでいる。国立大の運営費交付金(約1・1兆円)の配分が硬直化しているのではなく、あまりにも少なすぎるのである。

この過去30年間の聖域なき「公務員の定員不補充政策」で、大学の退職した公務員の定員枠を補充できないで定員をどんどん減らし続けさせられたこと。教員の定年を65歳になるまで少しずつ延長してきたこと、などが若い研究者のポストが増えない最大の理由である。これまでと同じ運営費交付金の総額枠で個々の大学が定員増大など強制させられたら、教育研究費がますます削がれて、ますます大学の研究そのものが劣化していくのは目に見えている。それは間違いなく大学の教育の劣化を招くだろう。大学はすぐれた研究あっての優れた教育だからである。すでに地方の国立大学は経常研究費が獲得できずに悲鳴を上げている。若い研究者が希望を抱けず、研究室が研究費獲得もままならない現状では「研究基盤が揺らぎかねない」などとのんきなことを言っていられない事態だ。
 
追記:国家プロジェクト研究機関みたいな形で産総研や理研がますます大型化し、そちらに予算が流れていくと、多くの大学はただの教育機関に成り下がっていく。苦労して育て上げた人材をこれらの機関にただ取りされて、成果も収奪されることになる。これまでもそうであったしこれからますますそうなるであろう。今回、以下の朝日新聞の記事のように理研の成果主義のなれのはてとして、

「STAP細胞論文をめぐる問題で、理化学研究所の改革委員会は12日、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の成果主義やずさんな管理体制が高じ、不正につながったと厳しく断じた」 とある。

これらの成果主義の弊害は理研の一研究センターのみに関わる問題ではなく、潤沢な大型研究を恒常的に保証されている研究法人の病巣であると思う。弱小大学はこれらの潤沢な予算の煽りを食って悲鳴を上げているとも云える。


「成果主義、STAP問題の一因 理研再生研の解体提言」
朝日新聞デジタル 6月13日5時29分配信

 STAP細胞論文をめぐる問題で、理化学研究所の改革委員会は12日、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の成果主義やずさんな管理体制が高じ、不正につながったと厳しく断じた。真実の解明をおろそかにしたと指摘された組織は、生まれ変われるのか。

■検証阻んだ秘密主義

 「一回更地になって、考えて下さいということです」。改革委の岸輝雄委員長は記者会見で、現在のCDBの組織では、研究不正の防止は難しいと明言した。

 提言書は、成果を求めるCDB側が、小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーの採用や論文作成、発表方法をめぐり、異例の対応を重ねてきたことを明らかにした。

 小保方氏のCDBへの就職は、研究内容を知っていた西川伸一副センター長(当時)側から打診された。小保方氏は重要書類の提出が締め切り日に間に合わず、選考にあたる人事委員会は過去の論文や応募書類を精査しないまま、推薦書も確認せずに面接した。また応募者全員に行っている英語の公開セミナーを省略しただけでなく、非公開セミナーも行わずに採用した。

 改革委は「iPS細胞研究を凌駕(りょうが)する画期的な成果を獲得したいとの強い動機に導かれ、小保方氏の採用は最初からほぼ決まっていたものと評価せざるを得ない。こうした理研CDBの成果主義が有する負の側面が、STAP問題を生み出す一つの原因となった」と指摘した。

 笹井芳樹副センター長の方針で、秘密保持は採用後も続いた。提言書は、笹井氏が共著者との連絡を十分に行わなかったため、共著者が十分にデータを検証できなかったと指摘。また笹井氏だけでなく、CDBのトップ層が論文発表まで秘密とすることを容認したため、通常行われている研究者間の討論会などでも情報が共有されず、チェック機能が働かなかったとした。

 論文の報道発表の際も、割烹着(かっぽうぎ)姿で研究する小保方氏を公開するなど派手な広報が展開され、「必要以上に社会の注目を集めることになった」と指摘した。

 笹井氏は、論文をめぐる疑惑が指摘された後は、不正の発覚を避けるような行動をした。小保方氏からSTAP論文の画像に博士論文の画像を使ったことを聞いた後も、調査委員会にはこれを伝えず、小保方氏に画像の撮り直しを命じ、「STAP現象は有力な仮説である」と繰り返した。

 こうした行為について改革委は「一般国民、特に再生医療への応用を期待した難病患者に大きな期待を抱かせた」と指摘。「笹井氏の行動は、理研CDBの成果主義の負の側面を端的に表している」と強く批判した。

 





秘密

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