2014-03-30 16:34 | カテゴリ:未分類

原子力政策の弊害を指摘 学会事故調が最終報告

 日本原子力学会(堀池寛会長)の「春の年会」は26日、東京・東京都市大で開幕し、同学会の原発事故調査委員会(学会事故調)の最終報告書が説明された。東京電力福島第1原発事故の背景について「過酷事故が起こり得ないという(誤った)予断が、地元への説明や訴訟対策、安全規制の一貫性といった(原子力政策を進めるための)理由で正当化されてきた」として、安全神話に立脚した原子力政策そのものの弊害を指摘した。
 原発事故対策について、欧米は事故が起きた場合の住民避難など被害を最小限に食い止める原子力防災の考え(深層防護)が一般的なのに対し、日本は事故が起きないようにする対策にとどまっていたと指摘。原子力災害を特別視せず、台風などの自然災害などと合わせた統合的な防災対策が必要と提言した。
(2014年3月27日 福島民友ニュース)

 
-------------------------------------------

 

 

泉田裕彦 新潟県知事は
「福島第一原発事故の根本的な技術的な解明ができていない上に、今後の事故発生時の住民避難対策ができていない。なのに、なぜ柏崎刈谷原発が東電の再稼働候補なのだ」
と東電や国の動きに対して激しく反発している.
 

原発暴発3年たって結論が出された原子力学会の事故調の報告書が、全面的に原子力学会会員に支持されているのならば、泉田新潟県知事の抵抗に対して、大いに原子力学会は支援のエールを送るべきではないだろうか? 現在進行形の原子力行政に対して組織として積極的に発言すべきではないのか? 自分たちの組織の自己弁護ばかり述べるばかりが能ではないだろう。政府による原子力政策は時々刻々進行しているのだから。
 

原子力基本法と共に共棲している原子力学会は3年たってやっとこの結論に達したということだ。「原発暴発時の実行可能性のある住民避難対策の必要性」に関しては、早くから政府事故調(平成24年7月23日に最終報告を提出している)の委員であった柳田邦男氏が叫び続けていることである。
 

原子力基本法は今だにもたもたして本質的な改訂が行われていない。原子力学会はいろんな意味で戦前の巨大技術の結晶「戦艦大和」的な組織体だ。融通の聞かない戦艦ヤマトは時代に遅れて、死出の旅に出てレダー探知などの近代技術を駆使した空爆で撃沈れさたが、重厚長大の原子力発電は地震津波という天災で自爆自沈した。
  

この原子力発電を推進してきた原子力学会は、
「原発事故時の住民避難対策を確立して住民被害を最小限に食い止める体制の整備さえできれば、原子力規制委員会の条件をクリアした原発再稼働は否定すべきでない」という立場を崩していないのかもしれない。原子力学会は自沈(自壊)を恐れて組織の再生に賭けているのだろうが、組織の中から当該組織自身を自己否定することは不可能だということだ。

 

原子力学会のホームページには中間報告書は開示されているが最終報告書がなぜかまだ開示されていない。原子力学会の報告会では冊子体で配布されたらしいが。
 
    
(管窺)
 

追記:その後福島民報にこんな論説が出ました。以下転載です。核心を突いていると思います。(森敏)
 

 【原発再稼働】本県の教訓生かせ(4月5日)
 
原子力規制委員会は原発の再稼働で、九州電力川内[せんだい]1、2号機(鹿児島県)の審査を優先して進めると決めた。3日には地震、津波対策の状況を確認する現地調査を終えた。川内原発が最初に審査に合格し、新規制基準に基づく再稼働第一号となる公算が大きい。電力需要が高まる夏までに運転の可能性もある。
 基本となる地震や津波など立地の問題は一応、基準を満たしたという。ただ、東京電力福島第一原発のような過酷事故の備えは不十分との指摘もある。住民が安全に避難できるか疑問だ。本県の教訓をしっかり生かすべきだ。
 原発の新規制基準は、原発事故の反省を踏まえて従来の規制基準を大幅に厳格化し、昨年7月に施行した。過酷事故対策や航空機による衝突などテロ対策が加わり、地震・津波対策を強化した。川内を含む6原発の再稼働に向けた審査が先行している。審査が終われば原発が次々に動きだす可能性もある。
 昨年12月現在、原発30キロ圏21道府県の135市町村のうち、策定を義務づけられている住民避難計画ができたのは、4割の53市町村だけだ。専門家の試算では、原発で事故が起きた場合、圏内の住民がマイカーやバスで圏外に避難するのに8時間から2日半ほどかかる。
 共同通信社のアンケートでは、30キロ圏の道府県と市町村156自治体のうち、規制委が審査を終えれば原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても約2割の37自治体にとどまった。地元は不安なのだ。
 元政府事故調委員長の畑村洋太郎氏は、避難困難な事例に事故当時の富岡町の渋滞を挙げ「(避難)計画の正当性が確認されてから再稼働の議論をすべき」と指摘する。
 国会事故調委員長だった黒川清氏は、国際原子力機関(IAEA)が提唱する「五層の多重防護」について「(国内の原発で)やっていない所はたくさんある。3年たっても何も変わっていない」と批判する。元民間事故調委員長の北沢宏一氏は「原発事故の確率を減らすだけでなく、事故の拡大防止もしっかり検討すべき」とする。
 安倍晋三首相は原発の新規制基準で「世界最高水準の安全性」を何度も強調するが、新たな「安全神話」に聞こえる。事故拡大防止策を規制委任せにし、避難計画策定を自治体に丸投げしてはいけない。安全の掛け声だけでは、人は守れない。県民が「あの日」から味わった恐怖や不安を、二度と誰にも、体験させたくない。(小池 公祐)

2014/04/05 08:48 カテゴリー:論説

秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/1849-fdc63a69