2014-03-20 19:29 | カテゴリ:未分類

断想録 食の遠景 五明紀春 (京文社)

この本は著者の「まえがき」によると

月刊「食品と容器」(缶詰技術研究会)連載エッセイ「食の遠近画法」 連載隔月。2000年に始まって2013年に及ぶ随筆の収録である。

総数で76回にわたる下記の「キーワード」ごとに毎回展開されている内容は、練りに練られた薀蓄の凝集したものである。全部読み終えるのに1週間かかった。真の教養人とはこういう人物のことを言うのではないだろうか、と珠玉の文章をじっくりと味わいながら唸らされた。

 
 

76語のキーワードは以下のとおりである。 


修辞法、 長寿県、鉄則、後日談、専業主婦、食事観念共同体、異端、玉突き、食生活未来予測、エポケー、原理主義、恩讐の彼方、リテラシー、暗黙知、畜産亡国論、くびき、工学的発想、第2世代胚芽米、根拠、場の問題、時効、スローライフ、昭和19年3月31日、キャンペーン、小さいことはいいことだ、男子厨房に入るべからず、旗を立てる、普請中、挑戦と応戦、ブランド、他人の台所、フードシステム、仮説、農学的発想、起業、追加主義、リンゴと籠、目の前の問題、包む、プレゼンテーション、ゲシュタルト、帝国主義、シビリアンコントロール、人工物と自然物、不易流行、事務局、機関室、自己言及、活断層、細分化、メタ思考、遮蔽効果、最終的解決、シチズン・コンシューマー、無償経済、発掘、一元的解釈、環世界、ラべリング、ケとハレ、時間資源、余震、食文化再考、Bean Counter、論争、標準、競争、チームプレー、割拠、虚学の勧め、危機管理、所与、路線、ヒーターラント、近隣窮乏化、棲家


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  小生が現役の大学教師の時には、いつも学生の教養の貧弱さを嘆いていた。「教養とは一つの『キーワード』を投げかけられた時にどれだけその周辺のアナログ情報を自己流にせよ文章化して展開できるかである」と勝手に定義して、小生の授業の後には10分間与えて授業に対する「批判的感想文」を書いてもらっていた。15コマの授業のうちの最初の2-3コマまでは、なんと1行ぐらいしか感想文を書けない学生がいたのには仰天した。しかし授業が進むにつれて、10コマ目ぐらいからA4紙1枚ぐらいをきちんと埋め尽くして書けるようになっていった。しかし、当時から今でいう「コピペ」みたいな文章を書く輩がいて、あらかじめその日の講義のテーマに合わせて、A4の白紙にネットからの「コピペ」の文章を書きこんできてそれをすり替えて提出する輩がいた。そういう学生は途中から爆睡に入るようであった。提出されたレポートはむろん授業とはあまり関係がない内容であったのですぐに検知できた。そういう要領のよい学生は、研究者としても社会人としても、そのあと伸び悩んでいるのではないかと心配している。
    
(森敏)
付記:著者の五明紀春氏は女子栄養大学副学長であり、本の内容は一貫して食文化取り巻く哲学的考察である。 
秘密

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