2014-03-02 18:49 | カテゴリ:未分類

日本の工芸と技術から見た日本人の発想と技術力

麻生川静男 リベラルアーツ研究家(元・京都大学准教授)

 

:::::::::アポロが幾度となく成功したのは、部品一点ずつの精度の高さというよりも、システム的に信頼度を100パーセント近くにまで高めたからです。その結果、何回か事故はありましたが、ほとんど無傷で月に行って戻ってくることができたのです。日本に、もしお金があったとしても、多分アポロは作れなかったと私は思います。それは部品単体を精密に仕上げるのとは全く異なり、複雑なシステムの全体設計ができないからです。

実際、都市計画、年金システム、原子力などの社会システムにおいても、日本人は複雑なものは不得意です。これは何も現代に始まったわけではありません。伝統的にそうなのです。例えば都市計画というものは日本にはありませんでした。江戸時代の城下町も古地図を見ますと、城を中心に武家の屋敷の区割り図はありますが、都市全体を最適に機能させるという観点が全く見当たりません。

結局、日本の工芸と技術の伝統を眺めてみると、日本人は多様な価値観を持った複雑なシステムをハンドリングするのが極めて下手な民族であることがわかります。::::      
                                       (U7学士会会報 Vol.54 March 2014


 

  

  

日本は復興庁とか原発担当大臣とかいう、省庁横断組織を設置していながら、原発事故後3年も経過しているのに、いまだに住民が、復帰すべきか、避難すべきかの決断ができない状況の社会システムである。読んでいて麻生川静男氏のこの指摘には、思わずうならざるを得なかった。

 

(森敏)
追記:この記事に対して、
う~ん、単純なものは得意なのでしょうか。

というコメントがきました。じつはこの麻生川静男氏の文章は、以上の文章の前に延々と日本の技術を解析しています。そして以上の文章後に以下に締めくくられています。

日本の技術力には素晴らしい点はたくさんあります。とりわけ部品単体を精巧に作る技術においては世界に冠たるものがあります。しかし日本が強い製造業というのは、概して部品点数が少ない領域であるという意味では、強さも限定的です。この日本の強みを自覚し、競合優位に立てる分野を中心に伸ばして世界に事業を展開していくべきだと私は考えます。

秘密

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