2014-01-20 08:04 | カテゴリ:未分類

以下に示す図1は、チェリノブイリ原発由来の放射性降下物(フォールアウト)が沈積したポーランドの15km以内に近接する4か所の湖沼の低質(湖泥)の放射性セシウム(ここでは半減期が30年と長いCs-137のみを測定している)の経年変化を調べたものである。15年間にわたって定点測定し、一年間で平均どれだけの量が流出しているかを計算した図である。低質はダイビングして潜って円筒形の筒でサンプリングしたと書かれている。

 

  この結果は、4つの湖では、放射性セシウムが深層部も浅瀬部も年間数パーセントが流出しているが、一方ではそのうちの2つの湖では、深層部の低質に放射性セシウムが流入して集積し続けていることが示されている。
 
  日本の農業用ため池も低質の経年的な動態観察が必要である。「すでに山の落ち葉や土壌のセシウムはその後の雨で、流れるものは流出し去っており、今後は山からの放射能の流入がない」ということは断言すべきでない。そもそも福島県では急峻な山から土砂が流れ込むので何年かに一度は低質汚泥を掻き出さねばならない習慣なのであるから、大雨などの時に表層汚染土壌が集中的に流れ込んでいることは間違いないであろう。放射性セシウムは表層土壌にこそ収着しているのであるから。

 




プレゼンテーション1-- 

図1.ポーランドの4カ所の近接した湖の低質(湖泥)からのCs-137の年間流出割合。Pは一つの湖の湖の深層部を、Iは湖の浅瀬部を意味している。棒グラフがマイナスになっている2カ所のP部分にはCs-137の流入集積が続いていることを示している。当然だが、Cs-137の値は半減期補正してから計算してある。
Radiation Protection Dosimetry (2008), Vol. 130, No. 2, pp. 178
185 doi:10.1093/rpd/ncm499


(森敏)

追記1:福島の溜池の放射性セシウム汚染状況調査については、福島県ばかりでなく、東京大学の塩沢昌教授グループが精力的な研究を行っている。
「放射性セシウムの土壌中の挙動、水稲への移行、水系への流出」 放射能除染の土壌科学(学術会議叢書:学術協力財団 刊)63-94頁 


追記2: この記事は連載ですので、読者は前報の

農業用ため池浚渫(しゅんせつ)の必要性について (I)

農業用ため池浚渫(しゅんせつ)の必要性について (II)

も参照ください。


  
  

秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/1811-f2aec8fb