2014-01-13 22:14 | カテゴリ:未分類

農業用のため池の放射能除染の必要性に関しては、少し専門的になりますが、以下の2つの新聞記事にあるように、農業サイドからの問題点が指摘されています。
1.ため池のほとんどが基準値を超える放射能汚染底泥になってしまっている。
2.ため池の水の放射能濃度は現在はわずかだが、しかし氾濫などによって底泥が舞い上がってこれが田んぼや畑に流れ込むと、可食部の放射能濃度を上げる可能性がある。
3.ため池の底泥を掻き出さないと農業用水としての貯水容量が確保できない。
4.ため池の底泥を掻き出さないと排水口がふさがれるので堰が決壊する可能性がある。 
  
  
  しかし環境省は、農業の現場をよく知らないので環境省側からは人に対する放射線防護の観点からしか対応ができていない。つまり「水を張っているほうが低泥(ヘドロ)からの空中への放射線をカットしているので、いま急いで底泥を掻き揚げるべきでないし、その緊急性はない」ということらしい。これこそが縦割り行政の典型である。
  
  
この問題は今後数年のうちにため池の堰が溢水したり決壊するというような事故が多発して初めて問題化されて対応が始まるのかもしれない。現在放射能汚染地域では、農家が原発被災して避難しているために、ため池の管理組合の人員も確保できていないところもあるのではないだろうか。田んぼをいくら除染してもため池を除染しなければ、数年のうちにはまた放射能汚染土壌が少しずつ農業用水に流れ込んで水田に堆積することは十分予見できることである。
 
  なぜなら、すでにこのWINEPブログでも述べたことであるが、これと類似の過去の例がある。鉱山排水の流れこむ下流などのカドミウム汚染水田土壌は、15センチの作土を剥離して非汚染土壌で客土しても約30年で農業用水からのごく微量の汚染カドミウムの経年蓄積で、元の規制基準を超える汚染土壌になってしまう、という試算がなされている。農業用水には水ばかりでなく泥砂有機物がふくまれているので、近年ホットスポット的に頻発する大雨洪水の時には油断すると一気にため池を放流して、流入量が増える可能性が大である。 

  だから、谷内(やち)田などに完全に放射能除染した模擬水田を設定して、そこへの生態系からの今後の放射能蓄積の経過観察をすることは、福島県、宮城県、茨木県、群馬県、栃木県などの研究機関に課せられた今後の重要研究課題だと思う。くりかえすが、水田土壌の場合は用水からの2次汚染の問題があるので、「一度表土剥離除染し非汚染土壌で客土したからこれで問題は解決した」ということには絶対にならないということである。 このように栽培期間中に大量に農業用水を使うという点が水田稲作の特徴で、そういう意味ではチェリノブイリなどの陸地での作物栽培との大きな違いなのである。過去にデータが全くないのである。


農業用ダム・ため池土壌にセシウム 県、土砂拡散防止へ

 県が14日に発表した県内の農業用ダム・ため池の土壌の放射性物資検査で、指定廃棄物の基準(1キロ当たり8000ベクレル超)を超える放射性セシウムが検出された。ただ、環境省は農業用ダム・ため池を除染対象としておらず、国の財政支援を受けられないのが実情だ。県は緊急対策として土砂の拡散防止対策に乗り出す。
 同省は、たまった水に放射性セシウムが発する放射線の遮蔽(しゃへい)効果があり、周辺環境に与える影響は小さいと指摘する。現在は陸上の除染を優先しており、担当者は「現時点で、ダムやため池を除染対象に加える予定はない」と説明している。一方、農林水産省は「実態をきちんと把握し、対策を進めていく必要がある」とし、除染の必要性など省庁によって認識が異なる。
 県によると、農業用ダムやため池には周辺の山などから放射性物質を含む土砂が流入している。通常だと2~3年に一度、農閑期に水を抜き、底にたまった土砂を取り除いて貯水容量を確保している。しかし、東京電力福島第一原発事故後は、土砂の仮置き場がないため作業の自粛を管理する市町村や農業団体に要請している。
 県のこれまでの調査では全3730カ所のうち、1割の370カ所程度で、速やかに土砂を上げないと、排水口がふさがれる可能性があると推測している。発生する土砂は合計1万4800立方メートル、費用は約17億円かかると見込む。
 県は土砂の拡散を防ぐ対策として、一部のダムやため池で、濁り水による拡散防止のため「シルトフェンス」と呼ばれる水中カーテンを設置する。環境負荷の少ない薬剤で土壌を固め、拡散を防ぐ作業も進める方針。
 県農地管理課の菊地和明課長は「調査結果を基に、環境省に除染の必要性を強く訴える」と話している。

2013/11/15 08:39 福島民報 )

農業用ため池、3割基準値超 底土の放射性物質

 県は14日、東京電力福島第1原発事故を受け、県内の農業用ため池1640カ所(避難区域を除く)で底にたまった土砂(底土)などに含まれる放射性物質濃度を調査した結果、3割の450カ所で、国が処分責任を持つ指定廃棄物の基準値(1キロ当たり8千ベクレル)を超えたことを明らかにした。本宮市の明戸石(みょうといし)ため池で最高値1キロ当たり37万ベクレルを検出したのをはじめ中通りを中心に高濃度の放射性セシウムが底土に蓄積している実態が判明。ため池は除染の対象でなく、県は環境省に実測値を提示し除染対象に加えるよう強く求める。
 底土の調査結果が検出限界値未満だったのは1カ所だけで、1639カ所で放射性セシウムを検出した。県は「(濁った水が流れれば)放射性セシウムが水田や畑に流出し、農作物に色濃く影響が出る」(農地管理課)と警戒感を示した。
 ため池の水の調査では、75カ所から放射性セシウムを検出、最高値は1リットル当たり13ベクレルで飲料水の基準値(1リットル当たり10ベクレル)を上回る一方、水を濾過(ろか)して再調査すると、検出したため池は2カ所に減り、最高値も同8ベクレルまで下がった。これはセシウムが土などに付着して水の中を漂っている状況を裏付けるという。
(2013年11月15日 福島民友ニュース)

 

(森敏)

追記:この記事はこの後、(II),(III) と3回にわたって連載しています。
秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/1808-5d560a45