WINEPブログ
過日、読者からドクダミの放射能が低下しにくいのではないか、というコメントをいただいた。ドクダミは根が深いがランナーが浅く互いに横に縦横に広がってつながっているので、その浅い根から表層土壌に降り注いだセシウムをいつまでも吸収しやすいのではないだろうか、というやり取りを行った。それを読んだ茨城の読者から、今夏に収穫した茨城県北産の乾燥ドクダミを送ってきた。そこで、それを、根と茎葉に分けて分析した結果が以下に示す表1である。
表1.乾物重あたりのドクダミの放射能
Cs-134 | Cs-137 | ||
ドクダミの根 | 335 | 819 | |
ドクダミの葉 | 152 | 376 |
ドクダミは漢方薬(十薬)として塗り薬や飲用や化粧品に使われている。熱湯での浸出液がどれくらいの放射能値になるのか試していないが、飲用にするのは少し考えたほうがいいだろう。
表2.乾燥ドクダミの濃度(福島県の測定)
乾燥ドクダミ | 720 | 920 | 2011-12-02 | |||
乾燥ドクダミ | 1500 | 1900 | 2011-11-14 | |||
乾燥ドクダミ | 290 | 290 | 2011-11-07 | |||
乾燥ドクダミ | 270 | 350 | 2011-11-04 |
福島県では、2011年には乾燥ドクダミでとてつもない濃度のセシウムが検出されている。その後は採取が禁止されたのか、情報が出てこない。しかし、それ以外の県では、案外ドクダミが採取されて、漢方薬などに紛れ込んでいるのではないだろうか。そのあたりの行政指導はどうなっているのだろうか。
表3.野草茶の放射能(福島県の測定)
オトギリ草茶 | 検出せず(<3.6) | 検出せず(<2.7) | 2013-09-05 | |||
桑の葉茶 | 検出せず(<3.0) | 検出せず(<3.4) | 2013-09-03 | |||
カモミールティー | ‐‐‐ | 検出せず(<2.4) | 検出せず(<1.9) | 2013-07-12 | ||
ドクダミ茶 | ‐‐‐ | 検出せず(<3.0) | 検出せず(<2.5) | 2013-07-09 | ||
スギナ茶 | ‐‐‐ | 検出せず(<2.5) | 検出せず(<2.3) | 2013-06-11 | ||
スギナ茶 |
数値の2番目がCs-134,3番目がCs-137,日時は採取日
表3.に示すように、昨年の時点から、緑茶の放射能値が乾燥茶葉ではなく、浸出液の濃度で基準が決められたのにならってか、最近では野草茶も乾燥重あたりではなくお茶(浸出液)の濃度で測定されているようである。これだと50-100倍ぐらいに濃度が薄まるので、ほとんどすべての野草茶が基準値をクリアすることになるだろう。健康に良いと信じて飲むドクダミ茶が、すこしでも放射能汚染しているのは、心理的にもよくないことですね。
(森敏)
付記:以下、過去の記事です。
- 2013/03/16 : 日本生態学会における放射能汚染研究の要旨です