2013-12-25 13:50 | カテゴリ:未分類

 以下に紹介するのは、飯舘村で活動する 福島再生支援東海ネットワークの小早川氏から送られてきた「細川徳栄さん」の実像を紹介した熱烈なアピールです。原発被害を一身に受けて馬のために孤軍奮闘する細川さんへの様々な匿名諸氏からの疑念を、この文章をお読みいただいて払拭してください。 どうか腰を据えて、じっくりお読みください。
  どなたか、海外在住の方で、この以下の文章を英訳して、世界の馬愛好家に自らのブログでアピールしていただけませんでしょうか?(森敏)

 



 

細川とくえい写真-- 

細川徳栄と馬たちの 12

20131211日 飯舘村/福島再生支援東海ネットワーク 事務局

 

22頭の馬の死、2頭の心ならずもの薬殺と5頭の解剖、全ての馬の自力埋葬。

獣医も保健所も血液検査での筋肉や肝臓の異常を認めつつも「栄養状態と餌に問題なし、しかし原因不明」と言い、解剖した大学研究室もまた「よくわからない」というばかりで、どこからも肝心の放射性物質のデータは出されない。馬が次々に死んで行くのに、保健所も行政も原因解明には全く気乗り薄。一般的に考えて、口蹄疫やBSE、エンドファイト(毒性ある微生物)中毒の可能性もあるわけで、パニック状態があって然るべきなのに、ひたすらの沈黙である。

この摩訶不思議を、一体どう考えるべきなのか?

細川徳栄に言わせれば「日本は狂ってる」ということだが、同感と言う以外、言葉はない。本人は「放射能のせいだ」というものの、そう断定できる「科学的根拠」はない。

しかしこの目前に生起しつつある事態にあって因果を疑い、確かめようとするのが正常かつ当然の反応ではないのか。だが、実際誰もそれをしようとはしないのだ。

これが、日本という国の、仮面なきありのままの姿なのである。

細川徳栄とその娘、よく耐えてきた。その忍耐も精神的・肉体的・経済的に限界を超えようとしているが、しかしまだ何とか耐えている。それはあたかも世界の矛盾がすべてこの親子の肩にのしかかっているかに見える。

 

ネット上での批判や中傷について

 

あまり書きたくないのだが、これがある以上、触れないわけにはいかないだろう。

触れる前に申し上げれば、そもそも馬の連続死は紛うことなき事実であって、それを飼い主の素行や人間性の問題にすり替えようとするのは間違いであると思う。

しかし本人を知らない人が疑念を持つのであれば、これには答えておかねばなるまい。

さて、「細川徳栄」で検索すると、ネット上では同情や事態への怒り・支援要請7割に対し、3割ほどの割合で同人への匿名「批判」が出てくる。

いわく「ダンプ窃盗犯だった」、いわく「寄付金を競馬に使い込んだ」、いわく「馬の管理が劣悪である」、いわく「馬を殺して補償金を狙っている」など。

 

ダンプ窃盗の一件は、20073月1日、地元紙に「ダンプ窃盗犯の主犯格を逮捕 須賀川署」という見出しで報道されたこと自体は事実なのである。これがもし本当なら、当然彼の実刑は免れないところなのだが、しかし実際には彼は20日後には放免となる。起訴猶予でもなく、保釈金を積んだわけでもない、無罪放免だったのである。実行犯は勿論有罪で今も服役中。しかしそのことは事後ほとんど報道されることなく、一般には彼が逮捕されたことのみが記憶に残り、仮に「釈放」されたことを知ったとしても「共犯だった、灰色なんだ」という印象だけが残されることになってしまった。そもそも彼が逮捕されたのは、彼に先立って捕まった組織的窃盗グループ4人が「主犯は細川だ」と言ったから。しかし調べるうち、この窃盗グループが盗んだダンプを、盗品であることを隠して細川徳栄に「売った」という証拠となる振込証明が出てくる。ここでやっと事の真相が明らかになったというわけだ。本人言うには「誤認逮捕だ、謝れ」と署長に言ったが、頭は下げてくれなかった、らしい。

 

次、彼が競馬に縁が深く、また競馬場に行っているのは事実。行く理由は競走馬の移送も彼の仕事だから。そして縁のある馬や馬主との関わりの中で、好きでたまらぬ馬の馬券を購入したりするわけだ。馬も好き、競馬も好き。とはいうもののその馬券購入は彼の経済的に許される小遣いの範囲であって、そこに善意の支援金を使っているわけではない。寄せられた支援金は毎月100万円ほど必要な餌代ですべてなくなってしまっている状態である。ちなみに事故後29ヵ月×100万円とすれば、これだけで3,300万円、当初いた75頭分の餌代や運営経費を加えれば出費は楽に67,000万円を越えてしまうだろうし、他方収入は殆どなくなっている。なお支援金は税務署でチェック済みとのことだ。

 

馬の管理が悪い、との指摘。これは牧場に小屋がなく(自宅脇には調教用に数頭分の小屋があるが)、冬は寒いことを云っているらしい。しかし彼はこのやり方で50年間馬を飼い、それで何の問題もなかったし、三代百年の稼業の中で馬の連続死が生起したことも一度もない。ちなみに事故前の1年間で死んだ馬は1頭、それも原因は交通事故による。彼いわく「小屋に入れると、馬は逆に風邪をひき、体質が弱くなる」。栄養状態や餌に問題なかったことは、獣医・保健所が証明済みである。「オレの育て方は愛のムチだよ」とも言う。実際見ていても、確かに彼の馬の訓練は厳しい。しかしそれは「管理の悪さ」とは全く異なる。

 

馬を殺して補償金狙い、というのはどうか。現在彼は東電への補償を求めて裁判準備中とのことだが、そもそもこの訴えは営業補償であって、馬の連続死自体、その死因不明ゆえ訴因に入ってもいないのだ。その裁判にしても、死んだ24頭を入れた全頭(最大75頭)の餌代・人件費・諸経費に営業損失・休業補償、更には今後何十年見込めるはずであった将来収入損失や資産損失を加えれば、それだけで合計何億という金額になる。まだ請求額は確定していないようだが、とてもそんな金額に及ぶ支出証拠は揃いそうにないし、貰えそうにないし、長期裁判となれば仮に支払われてもずいぶん先のことであろう。細川徳栄が愛する馬たちを殺しても、何の得にもなり得ないということだ。

 

細川徳栄という生き方

 

「オレはこれからも馬喰稼業を貫きたい」と細川徳栄は言う。

三代にわたって続く馬喰稼業は、いまや全国にも数少ない。その中で岩手のせり市では出頭数一位を数度記録し、その他にも幾つかのコンテスト入賞がある。201088日にはTV朝日「ナニコレ珍百景」にも、細川牧場で改良された白黒まだらの大変珍しいブルトン種 が紹介(ホルスタインみたいな馬ということで)されたこともある。こうした長く特徴ある馬の飼育や活動実績に、彼は大きな誇りを持っている、という。

 

そんな彼が原発事故後、周辺の畜産・酪農家の依頼で現地に入り、牛舎に置かれたまま水・餌なく死を待っていた多数の牛を救った。

伝染病でもないのに人間都合で動物を殺すことはおかしい。幼稚園や学校、相馬馬追いなど各種イベントに馬を連れて行き、子どもたちと遊ばせることが彼の主な仕事であった。子どもが馬との交流のなかで、どれだけ多くを学び、とりわけ分け隔てない命の根っこにあるものを知ってくれているか。それが彼の生き甲斐であり、ここからしても薬殺は許しがたい人間の横暴に映ったのだと思う

同じ感じ方で、彼は避難地域となった飯舘村にある牧場の馬の薬殺を拒む。移転費用もないし収入もなくなった。幸い頂いた支援金頼みで餌代を工面し、毎日餌やりをしながら馬とともに飯舘村から離れずにいる。しかしなお不条理は続く。相次ぐ原因不明の馬の連続死、三代百年の稼業のなかで経験したことのない事態が原発事故後に現れ、だが公的機関も研究者も、誰もこのことに正面から取組んではくれないし、来ようともしないのだ。あまつさえ、彼が悪いのだといわんばかりの噂が立てられてゆく(彼はネットを知らない。教えられて最近それを知った)。同じ立場に立たされたら、あなたならどう思うだろうか。果たしてこんなことに耐えられるだろうか。

 

細川徳栄は農民ではない、ましてやサラリーマンでは有り得ない。勿論経営者でもない。動物とともに己の人生を歩む、馬喰(ばくろう)であり自然児なのである。

だから常識的な見方からすれば、堅実でもないし、着実でもなく、協調的でもない。

見方によればいい加減であり、特に数字や細部には滅法弱く、これが時には「云ってることが変わる」などと大きな誤解を招くことにもなってくる。

だから好き嫌いが出てきて当然かと思う。

 

問題は人間の価値をどこで判断するか、である。云ってる言葉を信じるのか、それとも現にやっている行いで見るのか、だ。

この基準を、私はぜひ後者に置きたいと思う。原発事故は「人命・人権尊重」とか「主権在民」とか「民主主義」とかいう「言葉」の嘘を、余すところなく暴き出している。

なぜSPEEDIのデータを隠して「安全」を強調し、避難を阻害したのか。なぜ1mSv/yの国際規制基準を事故後に20100と勝手に書き換えるのか。なぜチェルノブイリ避難基準を上回るところに住民を放置するのか。なぜ子どもの健康異常、動植物の変異や

馬の連続死を無視するのか。なぜ無数にあるホットスポットを見て見ぬふりをするのか。なぜ嘘を承知で汚染水「アンダーコントロール」と云うのか……

細川徳栄が少々変わっていることは承知である。しかし彼の云う「人間勝手の薬殺は許せない」は間違っていない。単に云うだけでなく、ここから彼は牛や馬のいのちを守る現実的な行動を起こし、それをそれなりに実現し、今もやり続けている。おかしいのは、一体彼だろうか、それとも……

 

9月以降、10頭の馬を遠隔地に避難させたとのこと。残るは10数頭の小型種である。

でき得れば、各種の支援をぜひ、ぜひ細川徳栄へ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
付記1:小生(森敏)は先日、以下の英文ブログで世界に呼びかけております。
A Variant Cry for Help in the midst of sadness from Hosokawa Horse Ranch at Evacuation-zone, Iitate-village, Japan

以下は、WINEPブログに掲載したそれ以外の過去の細川徳栄さんの馬に関する関連記事です。

 

  
付記2:以前にも紹介していますが、細川さんの住所は以下の通りです。ご支援を!

細川牧場 花塚ボランテイア活動会長 細川徳栄

〒960-1633福島県相馬郡飯館村臼石字町123-1

TEL/FAX(0244)42-0303

携帯 090-9742-3141

秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/1801-88e6c2e1