WINEPブログ
こんなにお金をかけて、なお高度な先端技術を持ちながら、いっぽうで、中国では国内の土壌・水・空気の汚染という公害は日増しに厳しさを増し、人民の体をむしばんでいる。マスクをするぐらいしかこの10年間何ら有効な対策が打たれていないと報道されている。
日本の住民が1960年-70年代に塗炭の苦しみをなめた公害が中国では現在最も深刻に進行形である。過去10年もあれば公害防止技術は中国の先端科学技術力なら、日本企業の先例を忠実に学べば独自の技術開発が可能であったはずである。公害行政も学べたはずである。風下の日本は汚染空気を受けているので大気汚染については本当に他人事ではない。
中国はまだ世界への中国国民の「威信」を示すことばかりに力を入れて、先端技術の民生化技術への転換がうまくいっていない。その気になれば公害防止技術の開発は数年で達成可能だろう。当面の応急的措置としては日本が過去に独自に開発してきた高性能の公害防止製品を直接購入すればいいのだが、それがすんなりいかないところが、この国の度し難い政治の問題である。中国共産党も背に腹は代えられず、すでにその技術交流の動きは出てきているようだが。
一方で、日本では原発事故で過去半世紀にわたるエネルギー政策の破たんが証明された「原子力エネルギー」にいまだに固執・復活をかけている産業界がいる。ほとんどの大学人が期待する先端技術を駆使した「自然再生エネルギー」への全面的な科学技術政策転換がうまく作動していない。これも実に度し難い日本の利権政治の問題である。
だから、日本人は隣国ばかりを笑ってはおれない。
(管窺)
付記:
中国探査機が月面着陸=3カ国目、無人車搭載
【北京時事】月面探査のため中国が打ち上げた無人探査機「嫦娥3号」は14日午後9時10分(日本時間同10時10分)すぎ、月面に軟着陸した。機器に異常がなければ、搭載している探査車「玉兎号」を降ろし、さまざまな観測を実施する計画。着陸は、旧ソ連、米国に次ぎ世界で3カ国目となる。
月探査は、2020年ごろの建設を目指す独自の宇宙ステーション計画と並ぶ中国の宇宙開発の柱。
習近平政権は宇宙への進出で米国などを追い、国力や科学技術力を誇示。国威発揚を図るとともに、「宇宙大国」として地位を確立したい考えだ。
新華社電などによると、嫦娥3号は2日に打ち上げられた後、順調に飛行、月の周回軌道に入り、10日にはより高度の低い楕円(だえん)軌道に移った。14日夜に着陸予定地の「月の入り江」を目指し降下を開始した。玉兎号は15日に着陸機を離れ、自走しながら約3カ月かけ地形や地質構造、資源調査などを進める。着陸機の設計寿命は約1年で、地球のプラズマ圏や天体観測に当たる。
月面探査では米国が1960年代から70年代にかけてのアポロ計画で有人の月面着陸を重ねた。旧ソ連は無人による探査を続け、月面着陸は76年のルナ24号以来、37年ぶり。
中国は嫦娥3号が成功した場合、2018年ごろに月の土壌や岩石を持ち帰る探査機を打ち上げる予定。(2013/12/15-00:26)