2013-09-01 08:56 | カテゴリ:未分類

下記のNHKの記事にある東北大学の石井慶造教授は、2011年3月の東電福島第一原発暴発直後から、東北大学のRIセンターのGe半導体測定器を現地自治体に貸与したり、水田の作土の撹拌上澄み除去による放射性セシウム除染法を提案したり、なかなか精力的に活躍されている。

 

今回の石井教授らによる「魚体の放射性セシウムの連続自動計測装置」の開発は、測定現場を見ていないので問題点などが完全に解決されているかどうかが小生には定かではないが、完成すれば画期的だと思う。現在福島県で稲作農民に行われて大いに活躍している「米俵のベルトコンベアー方式の連続セシウム測定法」と同じく、これが漁業者に普及すれば、魚を食べる消費者にとっては安心安全を保証されるだろう。
  食品の費目ごとのこういう連続測定装置の普及が国民的には今後も絶対に必要である。(たとえば、下記の記事のように日立造船は「あんぽ柿への連続測定装置」の開発をしている)

 

  現在、とんでもない冷却原子炉汚染水の漏水による沿岸の放射能汚染が止まらないが、東電福島第一原発近傍の沿岸各所を立体空間的に区分けして、それぞれから大量にとってきた魚を、この石井教授らが開発している検出器で1週間ごとぐらいの頻度で検定すれば、魚の汚染の実態がかなり詳細に明らかになるだろう。

 

  しかし、留意しなければならないことは、この手法でも魚の放射性セシウムは測れても、ベータ線核種である放射性ストロンチウムやトリチウムは測れないことである。お米の場合は放射性セシウムのチェックで十分だが、WINEPブログで何度も述べてきたように、セシウムばかりでなくストロンチウムも原子炉冷却水として(いわゆる冷却水ではなく原子炉の中を通ってウランと接触してセシウム-137、セシウム-134、と等量のストロンチウム-89 、ストロンチウム-90を溶かして)、それが原子炉の割れ目からざざ漏れになって出てきているはずだからである。沿岸に拡散したストロンチウムは魚の骨に沈着しているはずであるが、いまだに、そのデータがあまり出てこないのが不思議である。この観点からすれば、頭ごと食べる稚魚は今でも安全性が確認されているとは言えないのではないか



魚の放射性セシウム濃度測定に新装置(NHK,831420分)

水揚げされた魚の放射性セシウムの濃度を検査する際に、魚を砕かずに一度に大量に検査できる新しい装置が宮城県石巻市の魚市場に完成し、来月上旬から運用が始まる見通しです。

新しい装置は長さおよそ12メートルのベルトコンベヤーに魚を乗せたまま、120個の検出器で放射性セシウムの濃度を自動的に測定するもので、30日に開発に当たった東北大学工学研究科の石井慶造教授が石巻市の魚市場で装置を披露しました。
これまでの検査では、同じ種類の一定の量の魚をミキサーで砕いて装置に入れる必要があり、検査で使った魚は出荷できませんでしたが、新しい装置では魚を砕かずに検査でき、異常がなければ、そのまま出荷できるということです。
また1時間に最大で1400匹の魚を検査する能力があり、1種類の魚で40分程度かかっていた検査のスピードが格段に向上するということです。
魚市場では従来の検査に加え、来月上旬から新たな装置を運用し、独自の検査を行うことにしています。
石巻魚市場の須能邦雄社長は「直接、消費者の口に入る魚を測定することができるので、今まで以上に安全の証明ができる。まずは日本国内で不安を払拭(ふっしょく)して世界に日本の魚をアピールしたい」と話しています。  
 

 非破壊式検査機16台想定 県、あんぽ柿出荷へ導入

解体せずに、あんぽ柿の放射性物質を調べる非破壊式検査機器の開発に取り組む県は、平成25年度、16台前後の導入を想定している。27日の県議会農林水産委で示した。
 測定器は伊達地方のJAの集荷場などに配置し、全量を調べる。箱詰めされた状態で検査し、1箱当たり2分程度の測定時間で放射性セシウム濃度が分かる見通し。現在、県の支援を受けた企業が開発を進めており、購入費は約8億円を見込んでいる。検査に伴う人件費などは東京電力に損害賠償として請求する。
 県は7月下旬に全農家の原料柿を調査し、セシウムが低い地域の柿のみを使う。セシウムは加工時に4~5倍程度に濃縮されるため、県などは加工後に食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えないよう、原料柿の使用基準をセシウム10ベクレル以下とする方向で調整している。
 25年度の出荷目標は約800トンに設定した。22年度実績の半分で、測定器16台で対応できるという。

2013/06/28 11:10 福島民報

 


(森敏)
追記1:読者から親切に、魚の放射性ストロンチウムの測定データを紹介されたので、ここに紹介いたします。アクセスしてください。

 http://konstantin.cocolog-nifty.com/blog/files/Sr_suisei.pdf

追記2:石井教授が以下のブログ記事(緑亭通信150401)でぼろくそに住民から非難されています。石井先生はどこで変節したんでしょうね(ご自分では「私は変わっていませんよ」という声が聞こえてきそうですが)。工学者が人体の安全性に関して社会に発信することは土台無理があります。己の分をわきまえないと。 (2015年4月2日記)

原子力市民委員会の汚染地域ヒアリングで

宮城県丸森町を訪問しました。

宮城県最南端の町で、福島原発から約50キロ、

福島県並みの放射能汚染を被ったにもかかわらず、

福島県並みの賠償が受けられていない町です。

朝日新聞の「プロメテウスの罠」で報道されたのは、

丸森町でもさらに最南端の筆甫地区でした。

福島県側の汚染を調査していた政府委託の調査チームが

知らないうちに県境を越えて筆甫地区に入り込んでしまい、

村人からここは宮城県だと教えられて、

測定をやめて引き返していったという逸話のある地域です。

その筆甫地区は丸森町内でも最も厳しく汚染された地域です。

弘前大学のチームが福島調査の帰路に寄ってくれて

測ってくれた空間線量は6.4μSv/h3/19)だったそうですから

福島でも高線量地域に相当する汚染です。

ところが、宮城県が発表した空間線量は汚染が少なかった丸森町役場付近のもの、

文科省も福島県だけ測って、宮城県を測りませんでした。

筆甫の人々は町役場に何度も放射線の測定を要望しましたが聞き入れられず

4月になって自前でようやくウクライナ製のGM管タイプの

線量計を買って測りはじめましたが、

宮城県は「測る必要なし」と言い、丸森町長さえ

「測定値に惑わされるな」という態度で、

測ることがはばかられる雰囲気だったそうです。

(役場が測った空間線量率が公表されるようになったのは7月になってからだそうです。)

また、東北大学工学部教授の石井慶造(放射線工学)が420日に来て、

「キノコも食べて良い」などと講演したそうです。

福島県では山下俊一らが暗躍しましたが、

宮城県ではこういう御用学者が跋扈したのです。

国、東電、知事、役場、御用学者から無視され、威嚇され、騙されながら

筆甫の人々は闘ってきました。

例えば、丸森町内の空間線量率汚染マップを作成しました。

ベラルーシ製の食品放射能測定器(ATOMTEX)を集めたカンパで購入して

20125月から測定を始めましたが、

役場は国産の放射能測定器(ALOKA)を買っているのに初めのうちはデータを公開しませんでした。

(この頃、名古屋のCラボに、

丸森町の玄米の測定値がおかしいからクロスチェックしてほしいとの依頼があり、

測ってみると、約2分の1という誤ったデータを出していたことがわかりました。

Cラボが同じ機種を持っていることをどこかで聞いて依頼してきたようでした。)

 

201111月、汚染地域住民に対して支払われる賠償金支払い対象から宮城県は外されました。

20121月に東電を呼んで、町役場や町議会が加わって賠償要求した結果

福島県内の半額が支払われることになったそうです。

筆甫の人々はこれを不満として、

20135月、ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)に住民の90%が集団で訴えて、

20146月にようやく全額が支払われることになりました。

 

訪問したのは、筆甫まちづくりセンターです。

ここは震災前は筆甫地区が限界集落から脱出するための地域戦略の中心でした。

Iターン」家族が13組移住してきて、小学校の児童が増え、

山菜やイノシシ肉などを扱う農村カフェなどを立ち上げて都会からの客を呼び込み、

順調な経過をたどっていたのに、

311福島原発事故で全てが暗転したのです。

せっかく移住してきた人々の多くが村を去りました。

800人だった集落の人口が、680人になってしまいました。

 

賠償金はようやく出るようになりましたが、

林業の賠償は出荷実績がないということでされていません。

自家用の薪への賠償も行われていません。

(住民は、汚染した薪を焚くことが出来ないので、

汚染していない薪を購入しなければなりません)

支援地域指定はされていないので、健康検査は行われません。

代わって町役場が甲状腺検査を行っているのですが、

その精度が心配されているし、また、避難者についてはこの検査が

行われていません。

 

次に、筆甫に次いで汚染レベルの高い耕野地区を尋ねました。

大河・阿武隈川を見下ろす絶景の集落です。

40人の農業生産者が参加して、ショップ「あがらいん伊達屋」で

野菜や特産のタケノコを販売して、都会からの客を呼び込んでいました。

ここも、Iターン家族が6家族いました。

外国人移住者がつないだザンビアとの農業技術支援で

養蜂技術の指導でアフリカに行く人もいました。

耕野小学校の児童が増えて9名になりました。

グリーンツーリズムを学ぶために、

大分県の安心院に研修にも行っていました。

福島県の飯館村がお手本だったそうです。

(その飯館村も手ひどく汚染されてしまいました)

筆甫と並んで、丸森町のなかで限界集落突破の明るい展望が出つつある

有望な集落でした。その希望が福島原発事故で砕かれました。

タケノコの出荷が停止され、タケノコ掘りツァーも行えなくなり、

ショップの売り上げも激減しました。

ここにも東北大学の石井慶造がやってきて、

この集落の空間線量率が放射線管理区域の基準を超えていることを訴えた住民に対して、

「あれはプロの研究者のための作業環境基準であって、一般人のためのものではない」

と答えたそうです。なんたる奴でしょうか。

県南子どもネットワークが宮城い県に対して健康調査に実施を求めましたが

拒否され、筆甫地区と同様に、丸森町が町の予算で独自に

甲状腺検査とホールボディーカウンターによる体内放射能測定を行っているそうです。

 

福島原発事故がもたらした放射能は、

これら丸森町の人々がようやく築き上げつつあった希望を

木端微塵に打ち砕いたのです。

放射能による実害の他に、丸森町の人々はお金では買えない大切なものを失ったのです。

これに対して、東電も国も償おうとはしていません。

それどころか、事故も汚染も終わったことのような態度で、

原発再稼働と輸出に向かって暴走しています。

多くの人々の事故から受けた衝撃も徐々に風化を始めています。

 



秘密

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