2008-07-04 07:49 | カテゴリ:未分類

家畜化(domestication)とはどういうことか?

 

少し前に、土佐犬が買い主をかみ殺した、と報じられたことがある。小生の記憶では何年かに一度は土佐犬に関してこういう報道が行われている。秋田犬やエスキモー犬に関してはあまりそういう報告は聞かない。したがって土佐犬は「家畜化」の点から見ると未完成の犬族なのかも知れない。(もっとも、それが魅力で、高知県(土佐)では土佐犬の闘犬という競技が熱狂的に行われているのだが)。土佐犬のように獰猛な顔をしたブルドックのことはよく知らないが。

 

これにくらべて、熊が人を襲うことは日常茶飯事である。動物園の虎やサーカスの虎も時たま飼育員を殺害する。イリオモテヤマネコやツシマヤマネコは決して家畜化されない。

 

  オオカミの「犬化」、イノシシの「豚化」など、すなわち野生動物の家畜化は進化の面からどのような遺伝子変異が行われてきた結果なのだろうか? 「飼い主に従順たれ!」(すなわち、どんなことがあっても飼い主を襲ってはならない!)と言う命令を遵守する遺伝子群のネットワークは何なのだろうか?

 

  現在DNAシーケンサー(DNAの塩基配列を読みとる機械)の能力が格段にあがって、それを寝かしておくのももったいないということで、片っ端から微生物、植物、動物の人間にとって有用と思われる種から優先的に、全遺伝子の解読が全世界ですざましい勢いで進んでいる。すでに3000種ぐらいが解読されているという。いわゆるデータベースの構築作業である。こういう作業は地味だが、基盤研究として非常に重要で、将来かならず役に立つときが来るのが世の常である。

 

   単にいろいろの生物の「種」間の進化の系統樹を明らかにするばかりでなく、「家畜化」という点に絞って、そのメカニズムを遺伝子の比較から行うことは、<従順遺伝子> とはなにか? を明らかにすることになるだろう。イリオモテヤマネコと家猫、イノシシと豚、オオカミと犬の遺伝子を徹底的に比較したら、その3者に共通に変異した遺伝子群が得られるのではなかろうか。それらの遺伝子の破壊株の表現型をみればそれらの遺伝子の機能が見えてくるだろう。興味は尽きない。

 

 

(森敏)

 

 

秘密

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