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2013-07-11 07:21 | カテゴリ:未分類

タケノコは今年も各所で放射性セシウムが100ベクレルの基準値を超えている。

  以下に示すのは、昨年飯舘村で採取した比較的細いタケノコ(真竹)のオートラジオグラフである。




たけのこ1--   
 図1.タケノコの先端部の放射性セシウムのオートラジオグラフ。  
   
たけのこ2-- 

図2. 図1の放射能の感光に用いたタケノコ。 
 
   
   タケノコ(真竹)の皮をできるだけ丁寧にはいでいき、中の肉質部分を取り出して、それをカッターナイフで薄く縦切りにして、オートラジオグラフを撮ると図1のようになる(皮がはぎきれないごく先端8センチぐらいの部分で、皮も薄く縦に切られている:図2)。見れば明らかなように、タケノコの全身に放射性セシウムが分布している。実は先端部分は 4万ベクレル/kg乾物重 という非常に高い値を示している。 

  きょうの本題では、セシウム汚染から話がそれるが、このタケノコ像を見て不思議に思うのは、節がみごとにおそらくは一定の時間間隔で梯子のように次々と出来上がっている姿である。このような節位ができるプロセスがどのように発生学的にコントロールされているのか疑問に思っていた。
 
  これに関して最近以下の学士會会報に載った高橋淑子京都大学教授の文章を見て、少し納得した。哺乳動物で節位のある背骨のでき方と、タケノコの節位のでき方が同じかどうかわからないが、文中の「反発分子」の存在は小生には非常に示唆的に思える。この「反発分子」の遺伝子はきっと連続した節位を持つ竹やイネ科の植物にもあるに違いない。以下に引用する。
 

 

「::::::指令塔細胞の発見例として、背骨つくりの仕組みの例を紹介しよう。私たちの背骨は、小さな骨が何十個も縦に連なって出来ている。このような繰り返し構造を「文節」と呼ぶ。もとは一続きの組織から、どのようにして分節化が起こるのか。わかりやすいイメージとしては、羊羹をその端から、ナイフで一切れずつ切っていくようなプロセスと思ってもらったらよい。では胚内で分節を作る「ナイフ(あるいはハサミ)」の実体とはなんだろうか?私たちはニワトリ胚を使って、ハサミ細胞の存在を突き止めた。背骨のもとになる組織内の「切れ目」部分の細胞だけを切りだしてきて、その細胞を別の胚の、本来は絶対に切れない場所に移植した。するとそこに切れ目ができた。つまり移植した細胞は、ハサミ細胞として働いたのである。これらの細胞を詳細に解析したところ、反発分子と呼ばれる特殊な蛋白質を持っていることがわかった。反発分子が働くと隣の細胞を蹴散らかし、そこが切れ目となる。何とも巧妙な仕組みである。」 (高橋淑子「細胞の声を聞く」学士會会報第901号)
  
(森敏)
付記:あくまでアナロジーです。実は植物の場合は全然これとは全く異なるメカニズムかも知れません。偶然、セシウム汚染タケノコのBAS像を、論文を書くときによく観察していましたので、以上のことを思いついたのです。

 

秘密

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