2013-05-21 08:22 | カテゴリ:未分類

  この記事は細川牧場の馬に関する第4弾です。

  以下に示すのは、先日細川さん宅を訪れた時に手渡しされた、現存する馬のうちの4匹を選んだその血液などの家畜保険衛生所による鑑定報告である。この時血液を採取された馬の1匹である「ハルコ」はその直後死亡している。この鑑定書の「結果」を大きく引き写すと以下である。 肝臓や筋肉の数値が異常値だらけだと素人でもわかるだろう。
 
  

寄生虫検査および血液顕微鏡学的検査から寄生虫卵や血液原虫などは確認されませんでした。また、馬伝染性貧血検査は全頭陰性であり、血液一般検査からも、貧血を示唆する所見はみとめませんでした。今回の検査では原因の究明には至りませんでしたが、血液一般検査において、肝機能および脂質代謝に異常を認める値が見られ、何らかの原因で肝機能異常を起こしていると推察されます。また、筋肉細胞の障害(PCKの上昇)は運動障害を反映していると思われます、肝機能異常と運動障害との関連性については不明です。」
 

  この鑑定書には、慎重にも「放射線障害」という言葉を使っていない。既往の症例としての前例がないから診断名が付かないのだろう。細川徳栄さんの話では、調査の結果原因不明なので「細川さんがそう思うなら、放射線障害と考えてもいいのではないか」というのが、家畜保険衛生所の話ということである。何とも頼りない話だが、現時点では仕方がないかもしれない。

  

 
 
  
          
 24相家保第 145号 
 平成25年 3月26日 
 細川徳栄様 
  
 福島県相双家畜保険衛生所長 
  
 病性鑑定成績について(通知) 
 このことについては下記の通りです。 
  
1受付月日平成25年3月21日 
2依頼内容貧血、黄疸、歩様異常の原因究明 
3検査材料馬  血液4頭糞便3検体(No.1,2はプール検体) 
  
 号名品種性別飼育場所備考 
 1白馬道産子菅田牧場歩様異常 
 2さくらブルドン菅田牧場歩様異常 
 3はるこミニチュア開拓牧場起立困難 
 4おりひめベルジアン自宅横元気消失 
  
4検査結果 
  
 項目方法結果 
 1234 
 馬伝染性貧血検査ゲル内反応試験陰性陰性陰性陰性 
 消化管内寄生虫検査浮游法未検出未検出未検出 
 血液一般検査スポットイケム法他(別紙)参照 
 血液顕微鏡学的検査血液塗抹法異常なし異常なし異常なし異常なし 
  
5考察 
  
 寄生虫検査および血液顕微鏡学的検査から寄生虫卵や血液原虫などは確認されませんでした。 
 また、馬伝染性貧血検査は全頭陰性であり、血液一般検査からも、貧血を示唆する所見はみとめ 
 ませんでした。 
 今回の検査では原因の究明には至りませんでしたが、血液一般検査において、肝機能および 
 脂質代謝に異常を認める値が見られ、何らかの原因で肝機能異常を起こしていると推察されます。 
 また、筋肉細胞の障害(PCKの上昇)は運動障害を反映していると思われますが、肝機能異常 
 と運動障害との関連性については不明です。 
  
 (事務担当 防疫課 主任獣医技師 松本 電話0244-24-3451)   







(別紙) 血液一般検査の結果
検査項目単位正常値No.1No.2No.3No.4
栄養指標T-prog/dl5.2~7.96.5 5.9 7.2 5.4 
Albg/dl2.6~3.73 2.3 2.8 2.7 
脂質代謝T-Chomg/dl7.5~150296>400276143 
TGmg/dl30~150>500>500>500<25 
ミネラルCamg/dl11.2~13.68.9 13.4 14.415.8 
IPmg/dl3.1~5.67.23.5 2.84.6 
Mgmg/dl1.8~2.32.3 2 2 3.2
赤血球RBC104/µ850~1200995 931 787 907 
白血球WBC102/µl70~11070 12982 101 
ヘマトクリット値Ht%36~4740.7 48.2 34.1 44.9 
肝機能GOTIU/L226~366>1000272 >1000598
GPTIU/L3~2318 <10 <10 13 
GGTIU/L4.3~13.419335132
T-Billmg/dl1.0~2.02 2.77.11.3 
ALPIU/L143~3958109151417740
肝、筋肉、腎LDHIU/L162~412669386 1010310 
筋肉CPKIU/L160~315567172 1805424
腎機能Cremg/dl1.2~1.92.2 1.5 1.8 1.2 
BUNmg/dl10~2011 14 2516 
UAmg/dl0.9~1.1<1.0 <1.0 <1.0 <1.0 

表中の上向きの矢印は上昇(赤字で示して強調した) 、右上向き斜線はやや上昇、下向きの矢印は低下、右下向き斜線はやや低下。
 

(森敏) 
 


付記1:この鑑定書の掲載にあたっては細川徳栄さんの許可を得ています。
昨日掲載した馬の死亡履歴とともに後世に残る歴史的な「馬の放射線障害」に関する症例報告になるかもしれません。余りにも犠牲が大きい死亡馬に代わって、昨日と本日、鑑定書をWINEPブログに掲載させていただきました。
 

付記2:(別紙)に書かれている検査項目の略号は、本来ならば全部解説する必要がありますが、すみません、詳しく知りたい方はWIKIPEDIAなどにあたってみてください。


付記3:細川牧場の馬の健康状態は現在でもまったく予断を許さない。



付記4: 小生は獣医学は専門外だからあまり無責任なことをいいたくないが、病理学的に厳密に考えれば、細川牧場の異変は、農薬や新種のウイルス発生の可能性も完全には否定はできない。そうだとすれば、細川牧場ばかりでなく日本の他の牧場でも同種の馬の致死症状が発生しているかもしれない。
 小生は全国の馬情報を知らないでこの記事を書いています。細川さんも知らないでしょう。広域の馬の症例の調査は農水省の管轄事項です。細川さんの馬の死体解剖結果がどうでるか、細川牧場の馬を解剖して持っていった東北大学の研究にも期待したいと思います。
秘密

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