2013-05-26 01:48 | カテゴリ:未分類
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図1.今年は多くの耕作放棄水田でタンポポが異常に繁殖してきた。ほとんどが矮性の西洋タンポポである。現地農家によれば「これまで見たことがない繁殖の異常さ」であるとのこと。


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図2.1本の茎に2つの花が合体して咲いている。この株だけで写真の上と下と2つの異常茎があることがわかる。道路脇の土は毎時17.13マイクロシーベルト! 

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図3.右上はてっぺんに8つの花を咲かせている異常に太い一本の茎。土壌表面は毎時4.53マイクロシーベルト。 周りの7本の茎の太さと比べてみてください。

 

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図4.図3に同じ株だが、左は一つの太い茎に3つの花が咲いていたのが花びらが萎れて、落下寸前。これから萼に隠れて見えないが種子が形成されているところ。(このあと白い部分が球状に開裂して綿毛になり種子が飛んでいくはず)。
 
 
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図5.一株の中からのいろんな異常な太さの茎と花房の数。 右のものは双房で茎が少し太い、一番上は少なくとも8つ花房が数えられ非常に茎が太いことがわかる。
 
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図6.この異常茎は頭の花の数が多くて重いので、耐えかねてか太い茎がこのように途中でひしゃげている。図10に見るように、異常花房にはこういうひしゃげた茎が多い。
 

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図7.少なくとも4つ花房が合体している。
 
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図8.中心線を横一列に花房がに4つばかり合体している様に見える。花弁がむちゃくちゃ。
 
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図9.いくつの花房が横一列に合体したようすだが境界がわからない。
 
タンポポの茎の断面--   

  図10.次々と見つかった太いの茎を切断した断面。人の指と比べて異常に茎の直径が太いことがわかる。左上:花房が3つ一緒。右上:花房が3つ一緒。左下:花房が4つ一緒。右下:花房が5つ一緒。   

   
   
についてタンポポの奇形-- 

図11.福島でこれまでに観察された様々な奇形花房

   
  
 
  以下いささか冗長な文になりました。が、植物への放射能の遺伝的影響がいよいよ顕在化してきたのではないかと危惧されますので、どうか最後まで読みください。 


小生らは、以前にクローバーの放射線の影響と思われるクローバーのクロロシスについて報告した。
( http://moribin.blog114.fc2.com/page-1.html )
そのとき(5月初旬)同時に今年の田んぼに異常に繁殖して咲いているタンポポも詳細に調査した。放射能汚染のために耕作禁止地域に指定されてしまったところでは、例年通り水を入れて湛水し水田にして除草剤を施せば、このタンポポは毎年駆逐されていたはずであるが、東電福島第一原発暴発後の過去2年間は実質的に何も耕作していない。 
 
  なので、一昨年の春にはあぜ道や陸側から、昨年は畑状態の田んぼそのもので発芽増殖し、それがまたタンポポ種子として隣接した田んぼや広域に飛んで全面的に発芽したものと思われた。タンポポがくまなく咲いている田んぼが非常に多かった(図1)。
 
      2年間の人の手がかからない自然遷移(サクセッション)の結果、今年の田んぼの主要な植生はクローバー、ギシギシ、タンポポ、ヨモギが主要になっている。これらは一年生と思われるので、既に以前のブログでも考察したように劣勢ホモの遺伝子が発現して明確な形態異常(奇形)を示しているタンポポがある可能性が高いのではないかと今年は調査のはじめから考えた。
 

 

チェリノブイリやスリーマイルの原発事故では、異常な大きさ(机の大きさぐらい)のタンポポの葉っぱが見いだされているので、そろそろそういう形態異常が観察されるのではないかと思っていた。だからまず葉の大きいタンポポや葉の形態異常はないだろうかと観察しはじめた。
 
  しかし、来てみると福島のタンポポは花が咲いているが、ほとんどが背の低い矮性の西洋タンポポである。そのうえに、生育途中なので、一見ざっと見た限りでは葉の大小を区別することはまだ不可能に思われた。かててくわえてタンポポのぎざぎざ葉の形状には変化がありすぎて、どれが主要な形態の変異なのかほとんど区別が不可能であった。だから最初から葉っぱの異常を見いだすのは断念した。

  

  ところが同行の某君が背の高い角度からの動体視力を生かして、「先生これ異常じゃないですか?」と、まず高線量の飯舘村の比曽地区の道路脇で双子のタンポポの花房をまず見つけた(図2)。そこで同じような花房の形態異常を見ていくことにした。  

  

その後6時間ばかり各地の調査を続けたのだが続々と形態異常タンポポが見つかった(図3~図7)。その異常の特徴は   

1.        複数の花房が合体している(2房から8房まで合体したものが見つかった)。合体の様式は様々である。図2,3,4,5,7,8,9を詳細に見てもらいたい。
  
2.        茎は直径が男性の小指大から親指大まで様々で、はさみで横に切断すると太くて中空である。複数花房なのでクビが重くて時折途中でおれ曲がっている。茎の表面が多少赤みがかっている場合が多い。(図6、図10左上と左下)
  
3.茎が太いのは花房に向かう師管や導管の部分が花房の数だけ複数縦の方向に合体して断面が一つの輪になって大きくなっているのであると思われた(図10右下がわかりやすい)。
  
  図2を見るとまるで人間の場合のシャム双生児のような2房の合体した奇形である。また、図3,図4,図5などを見ると3個異常の合体花房に太い1本の茎なので、形態学的にどういう発生機序が狂ってしまったのか理解に苦しむ複雑さである。しかし、これは生長点細胞でで茎の数の分裂を決める遺伝子が変異を起こしているという実は比較的単純なことなのかも知れない。
  
4.図5に見られるように、奇形茎の上についている複数の花房は一般に同じ令(age)ではない。花びらが既に萎れはじめたものがあったり、これから開花したりと、ずれがある。しかし図4の3つの白い花房のようにageがシンクロナイズしている茎もある。 
 
5.図1のように、一つの株に2つの奇形花房をつけたものもあった。
 
  

  福島ではどれくらいの確率でこれらの奇形が発生しているかであるが、我々が顔を地面に向けての調査は土壌からの高い放射能を目に直接浴びるので、危険で株数をきちんと数えることが非常に難しかった。タンポポは今が盛りと咲き始めた時期であったし、福島の高低差の激しい山間地では地域によって積算温度が異なるので開花時期が異なり、我々の観察はその特定の地域の開花時期の一断面しかとらえていない。 

  
  暫定的に奇形のパターンをまとめてみたのが第11図である。次回はこれをもっと精緻化した図を提示したい。
 
  多分タンポポは初年度に放射性降下物(フォールアウト)を葉や生長点にもろに外部被曝を受けて細胞分裂時に複製変異を起こしたものが、種子となり、綿毛に生長してから、各所でかなりの広域に散布されたものだと思われる。昨年も同じことが放射能の経根吸収で種子の内部被曝が起こったはずである(もちろん土壌からの外部被曝も)。なので、現在の変異株が、その開花した場所で変異を起こしたとは限らない。 つまり、一概に空間線量や土壌表層の線量との相関があるとは限らない。
    
  大雑把に見積もって花房変異のタンポポの変異確率は0.1%ぐらいだろうか。ただし、この値は上から眺めて明解なタンポポの花房数当たりであるので、株数当たりだと1%ぐらいの確率だと思われる。
   
  くりかえすが、福島現地では現在多分種子が形成されており、その種子は土壌から吸収したCs-134やCs-137で内部被ばくしているばかりでなく、土壌からの直接の強い放射能を浴びているずである。福島では原子炉爆発当初は毎時数十マイクロシーベルトから数百マイクロシーベルトの Iー131, Cs-134, Cs-137その他の放射性核種からの放射線を受けたであろう。現在も土壌の放射線量の高いところでは毎時数十マイクロシーベルトの外部放射線を浴びているはずである。種子が形成されて綿毛として飛散するまでにも 相当な積算線量になるはずである。  
 
  福島のたんぽぽの花房の変異確率が東電福島第一原発からの放射能が降りそそぐ量が少なかった九州や沖縄や富山や石川などの地域よりも高いかどうかが問題である。この点に関してはまだ調査は未完である。既に福島のタンポポが関東全域にもとんできている可能性も否定できないので、関東域の変異確率のデータは当てにならないかもしれない。
   
  この記事を読んだ方が、全国でタンポポの異常花房の発生を報告してくれればありがたい、しかしこれは真面目にやれば疲れる非常に困難な作業であることを最初から指摘しておきたい。今回の福島の水田ようにのようにタンポポがかなりの濃度で密集して生えているところを見つけるのはなかなか困難だからである。全株数当たりの奇形変異株数で表示してもらいたい。 

  
植物の形態学者は現地に行ってタンポポの種子を採取して、遺伝子解析などをしてみたらいかがだろうか? どの遺伝子変異がこのような奇形を生んでいるのだろうか。

   

(森敏)
付記1:このブログを書くにあたって、「たんぽぽの奇形」というキーワードでネット検索すると、以下のブログに、小生らの見つけたとそっくりの矮性の奇形のタンポポの画像が載っていることがわかったのでちょっと驚いた。
  http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7050766.html 
この画像は東京新宿区の街道沿いの空き地と言うことである。 
 
追記:次回のWINEPブログでは、このような福島での奇形タンポポが発生する機序をモデル化して説明しておきました。是非ご参照ください。
秘密

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