2013-05-04 06:31 | カテゴリ:未分類

先日のブログでは、飯舘村佐須地区の耕作放棄水田で、クローバーの黄白化症(クロロシス)が観察されたことについて述べた。それが放射線障害である可能性を指摘した。しかし文章があまりくどくどと長くなるので、文献の紹介をしなかった。

 以下、少し論文調になりましたので難解かも知れませんが、じっくりと表を眺めてください。栽培作物のクロロシス変異に対する非常に重要なデータだと思います。

   

植物の黄白化症(クロロシス)は、正常なクロロフィル(葉緑素)ができないので葉っぱの葉脈の間が淡い緑色や白くなる症状である。そこで、本日は以下のチェリノブイリの文献データを紹介したい。図1はわかりやすくするために小生が表(付記参照)から作図したものである。
 
 
クロロフィル変異確率・ 
図1.チェリノブイリ原発由来の放射線によるムギのクロロフィルの変異確率
  

この図1はライムギ2種類とオオムギ1種類のクロロフィル変異(つまり葉の色素の異常)の確率を年次を追って観察した結果を示したものである。対照区というのは放射線被曝していない地区で栽培した穀物を観察したデータである。

  

1986年は4月26日にチェリノブイリ原発が暴発した年で、この年に既に野外のライムギ(品種カルコフ)やオオムギ(品種#2)の葉にクロロフィルの異常が観察されたことを示している。

     

ライムギ(品種キエフ-780)は変異確率の上昇が前2者に比べて遅れるが2年目には最高に達する。 この品種も前2者も、チェリノブイリ原発暴発3年目には変異確率が一定の0.8%前後となる。ライムギの2品種では対照区に対して60倍から70倍のベラボーに高い変異確率である。これに対してオオムギの品種(#2)はもともと自然に変異がおこりやすい品種らしく、3年目でも対照区の2倍に留まっている。
  
  変異確率は3年目で頭を打っている。これはおそらく放射線量が半減期2年のCs-134などの減衰で、のかたや半減期30年のCs-137の減衰が主な放射能の構成成分になって減衰がゆっくりになったので放射線量が定常期に入ったからであると思われる。その後どういう経過をたどっているのかは、文献検索していないので小生にはわからない。低放射線量下での自然環境下でのクロロシスは1%程度を推移すると考えておいたがいいのかも知れない。
   
   
(森敏)
付記1:文献は以下のいつもの本である。248頁に表が載っている。

 

Chernobyl Consequences of the Catastrophe for People and the Environment

A.V. Yablokov, V.B. Nesterenko, A.V.Nesterenko

Annals of the New York Academy of Sciences vol.1181

追記:2013年からは多くの帰還困難区域が解除され、水田の作付けが可能となっているようだ。この稲の栽培水田でも除染して土壌表面汚染量は低くても空間線量は完全に年間1mSv以下と低いわけではない。周りの除染していない山林の影響があるからである。これまでは、農家は気を付けていなかったのかもしれないが、今後はくわしく観察すると、
場所によっては、稲の現地での栽培品種コシヒカリにも1%前後のクロロシスがでるかも知れない。(2013.05.10.)

秘密

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