2013-04-13 06:16 | カテゴリ:未分類

  今回の3月28日(水)の福島現地調査では、昆虫類がまだ蠢動していない上に、芽が出ているのはフキノトウぐらいで、生物の採取対象が少ないのかなと思っていた。そこに前回のブログで紹介したように、細川牧場での馬の死亡事件に遭遇したので、すっかり調査の予定が狂ってしまった。( http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1658.html )

それでも実は細川牧場の敷地では植物の異変らしき現象にも遭遇した。 

  

細川牧場の放牧敷地内の果てにある、馬の水飲み場を細川徳栄さんに案内してもらったのだが、その水飲み場のすぐ横にある山裾は杉林になっており、それぞれの杉の木の下にはシイタケ用のほだ木が数本ずつ立てかけられていた。
 
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写真1.杉林としいたけのほだ木
 
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写真2.ハチの巣箱。馬に蹴散らされないためだったのか。

 

また1本の杉の木にはミツバチの箱ががっちりと細川さんによって結わえられていた。しかし、細川さんは「原発の放射能のせいでミツバチは全部死んじまったし、シイタケは放射能が無茶苦茶高くて食用禁止なってしまった!」と吐き捨てるように云ったのである。
 

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写真3.枯れかけているスギの新葉
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写真4.異常な枯れ方
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写真5.雌果が付いていて枯れはじめている。

  ところで馬が放射能値が高いスギ林内に登っていくのを防ぐためか、放牧地の全域に針金が巡らされており、杉の木に10メート以内には近付なかった。しかし、遠目に杉をよく見ると全体に色が褐色になっている(写真3)。カメラを遠望で拡大してみると、雌果がたくさん着いているがほとんど木の枝葉全体が褐色に枯れかかっている(写真4、写真5)。我々が今立っている裸地の放牧地の空間線量で3.14マイクロシーベルト/hrを示しているので(写真6)、杉林の内部の空間線量はこれよりもるかに高いはずである。

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写真6.向こうは松林。牧場の空間線量は3.14マイクロシーベルト/hr。
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写真7.松かさ(黒い斑点)が着いていて、一見健全な赤松の木。  
 

  一方そこからかなり離れた右手の山の山頂には松が植えられている(写真6)。これはカメラで拡大してみると雌果をたくさん着けており、枯れている枝葉は杉林と比べれば圧倒的に少ないようであった(写真7)。
 
 

先日のブログでも紹介したNHKビデオでは、チェリノブイリの原発発事故後の原発付近の森林の観察結果、杉林が枯れて松林に遷移したという現地での林学研究者の発言を紹介した。それを日本でも危惧していることを先日のWINEPブログでは指摘しておいたのだが、どうやら、日本でもそのようなことが起こり始めているのかもしれない。林学関係者は本気で杉の成長点や花粉の染色体異常などについて、調べる必要があると思う。
  
  東電福島第一原発暴発後2年が経過した。一年サイクルの植物の受精・生殖が二回行われたはずである。ある種の形態形成に対して単純にメンデル遺伝学の法則が適用されると仮定すれば、東電福島第一原発が爆発した直後にI-131, Cs134, Cs137 などの強い放射線を浴びたあとの1年目は、染色体がやられてDNA修復酵素による修復過程でDNAに変異が入っただろう。しかし、それは多分DNAの2本鎖の1本にしか入っていないだろう。まだこの段階ではDNAはヘテロだから優性に隠れて劣性が見えないかもしれない。しかし、2年目からは劣性ホモの表現型として、もしかしたらある種の形態的な奇形が出てくるかもしれない。巨大な葉っぱのタンポポなどが報告されていることは以前に既に述べた。
 
  だから、そろそろ今年あたりから草木の奇形が観察され始めるのではないだろうか。もちろんその後の低線量被曝でも染色体は絶えずセシウムのガンマ線で叩かれて切断されていることを忘れてはいけない。いろいろな植物の観察を恒常的に続けて、その異常を発見することは容易なことではないが、チェリノブイリやスリーマイルでの植物の奇形の観察例があるので、福島でもいずれ必ずだれかが奇形植物を見つける時期が来ると思う。
 
 
(森敏)

秘密

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