2013-02-03 04:40 | カテゴリ:未分類

中国:大気汚染で国有石油会社を批判

毎日新聞 20130201日 2148

 【北京・井出晋平】大気汚染が深刻化する中国で、国有石油会社の責任を追及する声が高まっている。汚染源として低品質のガソリンがやり玉に挙がっており、高品質ガソリン導入に後ろ向きな企業体質に批判が集まっている。また、国有石油会社トップが責任逃れの発言をしたことも、火に油を注いでいる。

 中国では、欧州や日本の15倍の硫黄分を含むガソリンが使われており、日欧と同水準の品質のガソリンは北京でしか販売されていない。高品質ガソリン導入の遅れが大気汚染の一因と指摘されており、「犯人捜し」の矛先が石油業界を独占する国有石油会社に向いている。

 その批判に対し、国有石油大手、中国石油化工(シノペック)の傅成玉(ふ・せいぎょく)会長は1月31日、新華社通信の取材に「責任を負う者の一つだが、問題は企業の質が低いことではなく国の基準が低いことだ」と、ガソリンの品質基準を低くしている国に責任転嫁したとも受けとれる発言をした。

 だが、中国メディアによると、ガソリンの品質を決める政府委員会のメンバーは、大半がシノペックなど国有石油企業で占められている。そのため、インターネット上では「シノペックが決めた基準じゃないのか」「独占的な国有企業には良心や責任感がない」などと批判がさらに高まっている。

 高品質ガソリンの導入には、多額の設備投資が必要といわれる。北京市で昨年5月に高品質ガソリンの販売を開始した際、政府は値上げを認めておらず、コストは石油会社が負担した。それも導入を渋らせる一因になっているとみられ、中国メディアでは「品質向上のコストをどう負担するか、公開で議論すべきだ」(新京報)との声も出ている。  
 

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猛烈なスモッグの北京天安門広場での観光客たち 
NHKニュースからのパクリです。


北京に行くと交通渋滞ばかりでなく、なぜか窓を開けて走るタクシーのなかで、そのざらっとした空気の不快を感じない人はいないだろう。季節によっては黄砂のせいもあるが、風が吹かない季節では慢性的な亜硫酸ガス(SOx)、亜酸化窒素(NOx)、重油の微粒子(パーテイクル)による大気汚染である。

 

現在の中国が、年率8%以上の高度成長を維持できているということは、国内企業が <環境破壊> や <地域住民の健康への影響> や <従業員の安全のための装備・維持・点検>などに資金を投入していないで生産活動を行っているということである。このようにして、低価格商品を生産して国際社会での競争力に勝利してGDPでは日本を抜いて世界の第2位に躍り出た。いまだにイケイケどんどんで、多くの中国国民(人民?)もその中国共産党の方針に疑いを持っていないように思われる。

 

上記の公害対策をしていないということは、中国人民が世界の先進国の過去の公害・環境問題の歴史教育を受けていないからである。いや、共産党が意識的に学ばせないからである。日本軍による戦争加害教育には徹底して執着しているが。

 

世界のどの中進国もそうだが、まず経済成長という大義があって、多くの環境破壊や公害による国民の潜在的な疾病を拡大しながら、企業や国家の収入を豊かにして、国家財政に余裕が出てきたら環境対策を志向しようということになる。
 
すでに上記のSOx、NOx、重油の微粒子による大気汚染、カドミウム、水銀、ヒ素、鉛、農薬、食品添加物などによる、かぞえあげればきりがない疾病が中国全国各地で潜在的に進行しているはずである。報道管制で顕在化させていないだけである。これらは実は日本が1960年代の池田隼人首相による所得倍増政策・田中角栄首相による列島改造計画の時に歩んできた負の道である。が、いま中国では共産党による情報統制下でそれらの疾病統計が表に出にくい構造が堅持されている。

今回も、呼吸器系疾患の患者の実態が外部に漏れるのを恐れて、北京の病院関係者は、報道関係者との接触をしないようにという、中国共産党からのお触れが出ているとのことである。じつに愚劣の極みだ。

公害加害企業やそれとつるんだ共産党幹部の首を飛ばせばいいという、共産党中央政府による責任回避の常套手段がいつまでも課題解決に有効なはずがない。
 

公害問題では報道管制を敷いても、問題解決を後に伸ばすだけだ。潜在的な罹病人口が増える前に早く次々と手を打たないと、日本の各種のかつての公害病のように、数十年間にわたって加害企業ばかりでなく国家賠償まで延々とお金がかかることになる。環境保全や医療に対する財政投資が必要になり、結局高コストの製品を生産せざるを得ず、世界の競争に太刀打ちできなくなり、経済が減速することは今後必至である。いやそれはいまから始まっている。それが国際標準化ということでもある。

 

中国は先人に学ばないで動乱を繰り返す国なので、おそらく大気汚染患者の累々たる屍という、行き着くところまでいかなければ、北京の大気汚染問題も早急には解決しないだろう。

 

しかし、翻って、日本人もえらそうなことを言えたものではない。かつての軍部による太平洋戦争への突入、高度成長期の公害の多発、今回の原発爆発と、実に日本人も先人に学ばない。極端から極端に振れる民族である。

 

東電福島第一原発暴発事故に至る経過とその後の経過は、日本人の過去に学ばない典型的な体質を露呈している。長年にわたって原子力村による「原発安全神話」に完全に餌付けされてきた日本国民は、今回のような過酷事故の極みを経験しても、まだ本当には放射能の怖さをわかっていないのではないか。今後起こりうる環境負荷や人体影響が不明なまま、37万人という避難民がいる現状のまま、原発再稼働を総理大臣が高らかに国会で宣言している。国の中枢の<知能>がすっ飛んでいるとしか思えない。

 

有馬朗人という原子力村の高齢の亡霊が何を間違ったのか出てきて旗を振り始めたので安倍首相も「原発再稼働」に勇気百倍である。このまま突き進めば、この国は必ず同じ過ちを繰り返すことになり(またぞろ、世界に放射能をまき散らすことになり)世界から嘲笑・罵倒され名実ともに国が消滅するだろう。

 

北京の「大気汚染」は日本のいつか来た道だと日本国民は中国人民を決して笑ってはおれない。日本はいまや全世界が注目している「放射能汚染」という新しい公害の先進国なんだから。
  

  

(喜憂)
追記1:以下、その後の展開です。

中国大気汚染:在留日本人、帰国も検討 空気の缶詰登場
毎日新聞 20130209日 1218分(最終更新 0209日 1559分)

中国の深刻な大気汚染は、中国人だけでなく、在留邦人の間にも不安が広がり、家族の一時帰国を検討するケースも出ている。春節(旧正月)の大型連休が9日から始まり、経済活動が休止するため大気汚染は一時的に好転するとみられるが、根本的な解決への道のりは遠く、中国政府が経済発展を最優先してきたツケが重くのしかかっている。【北京・工藤哲、米村耕一】

 北京の日本大使館によると、北京の大気汚染は、日本で公害が問題になった1960〜70年代とほぼ同じ水準という。肺や循環器の疾患を引き起こす微小粒子状物質「PM2.5」の数値は1月12日には日本の環境基準の約20倍となった。

 北京市内ではPM2.5を防ぐ高性能のマスクが一時売り切れたほか、皮肉を込めて缶入りの空気を売り出した会社もあるという。

 日系の製造業関係者によると、空気清浄機は前年比で20倍の売れ行きで、フル稼働の生産に追われている。北京の日系企業でもマスクや空気清浄機を購入するなどの対策に追われ、駐在員の家族を対象にした一時帰国費用の負担を決めた企業もある。09年に世界的に大流行した新型インフルエンザの際に準備したマスクを、倉庫から出して急場をしのいだ例もある。

 北京の日本大使館は在留邦人の不安の高まりに対応するため今月、大気汚染問題の説明会を開催。定員を超す参加希望が寄せられたため、当初1日だけの説明会を2日に分けた。

 北京日本人学校では、全ての教室に空気清浄機を設置して健康被害に対処している。同校の多田賢一校長(62)は「汚染数値が高い日は屋外活動を控えている。保護者の中には登校を控えさせ、帰国を検討している人もいる」と語った。

 大気汚染は、車の排ガスや暖房用石炭の燃焼、工場からの排煙などが原因とされている。特に、欧州や日本の15倍の硫黄分を含む低品質のガソリンが流通しており、中国政府は17年末までに日本や欧州並みに品質を引き上げる方針を6日に決定した。しかし、共産党・政府と密接な関係にある国有石油企業が多額の設備投資が必要なガソリンなどの品質向上に消極的だった経緯もあり、コスト負担など解決すべき課題も残っている。
 

 
追記2:週刊文春2月14日号が北京の大気汚染公害について、実に時宜を得た渾身の取材をしている。取材対象は15名の研究者や報道関係者である。少し紹介すると、

「北九州から山陰,鳥取、金沢まで、天気は晴れていてもガスのかかったような濃霧が発生している。例年西から大気の流れ込む2月から5月に多く観測されます。健康な人でも涙が出たり、鼻のアレルギー症状、咳が出るなど健康被害も起こっています」(大分県立看護科学大学・市瀬孝道教授)。

「日本では、公害が問題にとなった1970年代にはGDP比で8%以上の費用が公害対策費として注ぎ込まれたとされています。一方、中国では、政府のもとになる研究会の報告で、大気汚染などの環境対策費用としてGDP比7%が必要だとしているものの、実際には2%強しか投資していません」(環境省の染野健冶・中国環境情報分析官)。
 

「日本はこうした大気汚染のような越境被害に関する損害賠償の仕組みづくりを早急に進めなければなりません。日中間の交渉だけでなく、広く国際社会に働きかけ、毅然とした態度をとる必要があります」(鈴木馨裕・自民党衆議院議員)。

 

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