2013-01-22 03:16 | カテゴリ:未分類

    飯舘村の飯樋地区で我々が動植物採集の定点観測地点にしている場所で、トカゲを、2011年と2012年の秋に採集した。トカゲは絶食させると、尿酸と思われる白い結晶を付けた特徴的な糞を出す。そこで、2011年と2012年の、トカゲと、とかげの糞の Cs-134と Cs-137を分析してみた。2012年の分析値は土壌を採取した2011年10月18日の時点にさかのぼって半減期補正してある。 すこしかたぐるしい文章になりましたが。
       
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図1.よくみると、とても可愛いトカゲの表情

表1 トカゲとトカゲの糞と土壌の放射性セシウムの分析値 
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   図2.上の表1をグラフ化したもの。
 
     

一見してわかることは、1年経ってトカゲの糞の放射生セシウムは7-8割まで減っているが、とかげ本体の放射性セシウムは3割強まで激減していることである(図2)。
 

これは、現地で観察されることだが、トカゲがたべる地グモ、ミミズ、ワラジ虫、ハエ、ヨコバエなどの放射性セシウム含量が減っているからだと思われる(そのデータがまだ得られていないが)。それではこれらの食物連鎖の下位の生き物はいっったい何を食べているのかと云うことになるが、それは不明である。植物かも知れないし、ダニやかびかも知れない。
 

 

ここはすでに耕作地ではないので、2011年の1年生の植物残査は当初の放射能を浴びたまま枯れて腐朽化しはじめて2012まで放置されたままであるのだが、2012年に新しく生えてきた雑草など野生植物は、放射性セシウム含量が減少していると考えられる。その理由は、放射性セシウムの粘土鉱物への固定が急速に進行中であるからである。だから野生植物は放射性セシウムを吸収できにくくなっているのである。(ちなみに、農作物は通常カリウムが施肥されているので作物による放射性セシウムの吸収率が前年度の10分の一以下に低下していることはこれまで何度もこのブログでは述べてきた)
 

 

そういう理由から、これらの植物残査などをたべるミミズ、ダニ、かびなどの食物連鎖の下位の生物による放射性セシウムの体内吸収率が徐々に低下しているのではないかと考えられる。
 

今後はトカゲを食べる、トカゲよりもさらに食物連鎖の上位にある猛禽類などへの放射性セシウムの濃縮も除除に低下していく可能性が高い。ただし、小動物でもヘビ、モグラ、ウサギ、ハヤブサ等々など長寿の生き物は一定程度まで体内セシウム濃度を高めつづけることになることを忘れてはならない。このことに関してはすでに以下のブログで述べた。

  http://control.blog.fc2.com/control.php?mode=editor&process=load&eno=1570
  
(森敏 )
付記:生態学入門(第2版)(日本生態学会編 東京化学同人)の183頁に、ハバマ諸島の食物連鎖の図が載っており、そこにトカゲの例が登場しているのを、この文章でも参考にした。

秘密

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