2008-06-25 03:11 | カテゴリ:未分類

「オレの人生暗かった」

 

先日、芦屋で昼食を兼ねた小学校の高学年次の同窓会があった。そこで恩師に「N君、君は今なにをしてるんか教えてんか?」と指名されたN君は、開口一番、「一言で言うと、“オレの人生暗かった”」と切り出した。一瞬みんなの顔がこわばった。

 

「ワシは結婚しなかった」 「(いつの時代のことか聞きそびれたが)寝たきりの母の下(しも)の世話をワシ一人で7年間やって最後まで母を看取った。今は仕事がなくてぶらぶらしてる」と言うことなどを話しながら“オレの人生暗かった”というフレーズを途中3回も繰り返した。「それでもそんなに深刻なわけでじゃないンやがね。。。」と笑いながら彼は話を締めくくった。

 

このN君はテーブルで小生の対面に座って一緒に会食していたので、あらかじめ近況は聞いていた。それによると、「この年でハローワークにいっても何も仕事あらへん。たまに土方仕事があっても体力が衰えてるんで続かへん。この前も遺跡調査の仕事に行ったけど、ワシらがやらされるのは最初の大まかな一番上の瓦礫なんかを数十センチぐらいはがす荒っぽい仕事で、全くの力仕事だけや。それから先の細かい作業は全部その道の専門家がやるんや。彼らはワシらが掘ったあと、土を丁寧にはがして遺跡を壊さないように発掘していく。遺跡調査はワシみたいな高齢者にはほんまにキツーて、すぐ疲れてしもうて、たった2日でやめてしもぅたわ」「今は高齢者独身用市営住宅で、部屋のかぎを管理人が持ってて昼でも夜でも12時間ごとに勝手に部屋に入って、親切に見回ってくれる。ワシら独身入居者の“孤独死”を避けるためや」「毎日何もやることあらへん、ここへ来る前も午前中から皆でちょっと酒をまわし飲みしとったんや」「この年で仕事がある人って、ほんまにうらやましいことやで!」と言うことであった。

 

高齢者が、働きたいけれどなにも関われない社会というのは全くハッピーではない。現役引退後の人生に対して日本の社会の制度設計は完全に歯車がはずれているようだ。多くの同期生は今まさに第2の人生を軌道に乗せようと努力しているのだが。

 

(森敏)

 

秘密

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