2012-12-04 01:48 | カテゴリ:未分類

  昨日の日本土壌肥料学関東支部会で東京農工大・東京農大のグループが「ヒマワリのセシウム吸収に及ぼす土壌中陽イオンの影響」という題目で発表した。口頭発表者は松村昭治教授であった。

 

  この研究は昨年夏場の農水省による飯舘村での現地圃場試験で「ヒマワリによるセシウム除去は期待できない」という結論を覆すものである。その講演要旨の一部を以下に引用する。

       

ヒマワリのセシウム吸収量は、土壌中交換性カリウム濃度が低く
 
1m.e./100g) セシウム添加量が多い区で多く、最大値は 
 
64.7mgセシウム/個体 となった。 これは土壌に添加したセシウム
 
12.8%に相当し、その98%が地上部に存在した。しかしカリウム
 
濃度が 
2m.e./100g以上 の区ではセシウム添加量に関わら
 
ず吸収量は著しく少なくなった。この結果からヒマワリのセシウム
 
吸収は土壌のカリウム濃度が 1~
2m.e./100g  の範囲で顕著な
 
セシウム吸収抑制が起こると推察された。この濃度は一般畑の
 
土壌ではごく普通の値であり特に高濃度ではない。すなわち福島
 
県のヒマワリ栽培試験が実施された畑土壌の交換性カリウム濃度も
 
この範囲の比較的高いレベルにあった可能性がある。以上の
 
ことから、畑地でセシウム吸収を高めるためには、土壌中の
 
交換性カリ濃度を植物生育のための必要最低限に制御すること
 
が重要、と推察された。


 
  この研究は、現地の放射性セシウム汚染土壌を用いた実験ではなく、安定同位元素であるCs-133を用いたものであるが、この研究結果は、施肥条件を厳密に管理すればヒマワリが放射性セシウム汚染土壌からの放射性セシウム収奪にも使えることを示唆している。

 

  福島県などの現地汚染土壌では現在90%以上の放射性セシウムが土壌に固着していると考えられる。しかし、それでも安心して作物栽培をするためには、植物によって吸収される可能性のある可溶性セシウムを土壌から最大限収奪する必要がある。

    「土壌剥離」という手荒い手段ではなく、ヒマワリという生物濃縮による収奪(ファイトレメデイエーション)の可能性はまだ残されている。
 
    油糧作物であるヒマワリで放射性セシウムを収奪しながら油を搾り、一方で農地を再生させる可能性はまだ残されている。そのためには収穫したヒマワリの油を搾った残渣を燃焼固化などして減容化する技術が必須であるが。(ヒマワリの油分にはセシウムは移行しないことがすでにわかっている)

 

  昨年の農水省のヒマワリ実験時には、植物のセシウム吸収に対するカリ肥料の効果があまり認識されていなかったので、農水省は早まった誤った結論を導いてしまった。

 

  カリウムを過剰施用して食用作物に放射性セシウムを吸収させないようにするにせよ、カリ肥料をできるだけ少なく施用して土壌からの放射性セシウムを思い切り収奪するにせよ、作物栽培に対するカリ肥料のセシウム吸収効果に関して全面的な見直しが必須である。

 

  すでに農水省はいろいろやっていると思うが。


(森敏)
秘密

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