2017-04-05 08:30 | カテゴリ:未分類
1.

以下のようにわれわれの放射線像がフランスのル・モンド紙に掲載されました。ル・モンドの電子版にはもっと詳しい画像が載っています。

 
rumonndo.jpg 



写真の説明文は:

日本人フォトグラファー加賀谷は2011年から福島第一原発から半径40キロ以内の飯舘村や浪江町を調査している。2011年3月11日に起きた大災害の後、このゾーンは政府の指示により完全に避難区域となっていた。東京大学の生物学者森敏とともに、オートラジオグラフィーと呼ばれる技術を発展させ、現地調査で集めた汚染された植物、動物、様々な日用品から環境中の”目に見えない”放射性物質を可視化している。オートラジオグラフィーは放射線を発する物質から、光学的なプロセスによってその放射線を白と黒で浮かび上がらせる映像技術である。



2.

また、加賀谷雅道カメラマンは現在イギリスでの ”FORMAT国際写真祭” に参加して「放射線像」の展示を行っています。

写真展は次のような日程になっております。
FORMAT international photo festival
www.formatfestival.com
24 March - 23 April 2017
Derby UK

igirisu.jpg 加賀谷氏の作品展示の様子
2017-03-26 21:56 | カテゴリ:未分類
原発事故で住民が避難したあとの民家の庭には、観賞用の草花の種が毎年稔っては散り、稔っては散り、雑草も交えていろいろな草花が繁茂している。その内の一つにコスモスがある(図1)。

 

       コスモスを刈り取ってきて、放射能を測ってみると、意外に花の部分にも強い放射能が検出された。そこでオートラジオグラフをとってみたら、見事に全身の放射能が撮像された(図2,図3)。コスモスの葉の幅はわずか2-3ミリと細いのだが、くっきりと写しだされた。
 
スライド1 
図1.民家の庭のコスモス 黄色い紙の上はこぼれ落ちたコスモスの種をセロテープに貼り付けたもの

 

       スライド1 
 
 
   
 
図2.図1のオートラジオグラフ。
赤丸内部は、落ちこぼれた種子をかき集めてセロテープに貼り付けたもの。

  
    
  

  
スライド2 
 
図3.コスモスのオートラジオブラフ。図1のネガテイブ像
 

 
 

 
 
表1。コスモスの部位別放射能濃度 
コスモス放射能jpeg  

 
   
  少し細かく組織をわけて放射能を測定したら、細い葉が一番強く汚染しているのだが、種子も茎と同ていどに高濃度に汚染されていた。図2や図3で、どの株も花の部分が強く汚染しているように見えるのは、花器には種子がごっちょりとついて放射線(ベータ線)が重なって撮像されているからである。図2と図3の左下に赤丸で囲んでいるのは、一つ一つの種子である。これら一粒ずつがくっきりと感光していることがわかる。つまり、これまでもこのWINEPぶろぐでも幾度となく述べてきたように、セシウムは次世代に移行する。
 
       現在 住民が避難して居ないので、コスモスは原発事故以来毎年タネを付けてはそれを周辺土壌に落下させて、また翌年に発芽させてきたことになる。コスモスは栽培種であるので、根からの養分吸収力(吸肥力)がつよく、根が浅いので絶えず表層の放射能汚染土壌から放射性セシウムを容易に吸収してきたものと思われる。避難する前の住民がカリを含む肥料をこの庭土に撒いていたとしても、5年間もこの庭で草花が生々流転(吸収枯死分解)を繰り返せば、すでにカリの効果も少なくなって野生に近い土壌条件になってきているのだろう。
 
 子細に見ればコスモスはいろいろ形態的な変異を起こしているに違いないのだが、いかんせん普段の正常な姿が小生の頭にはないので、異常かどうかがわからないのが、我ながら情けない。

 
       
(森敏)

2017-03-20 08:02 | カテゴリ:未分類
3月11日と12日に浪江町に調査に入った。以下はその寸景である。



スライド2
 

図1.今はせせらぎが枯れている民家の池に建つビーナス像。 全身に放射能を浴びたまま。津島地区。
 


スライド4 

図2.民家のガラス戸にやるせない怒りと、東電(TEPCO)に対する皮肉の抗議の張り紙。文面を書き写すと以下の内容が読み取れた。津島地区。


今年は梅の花はまだ開花せず

「主なしとて

春を忘れるな」

平成二十四年四月一日  
      一時帰宅

 

 

お盆墓参り
 暮れてなほ

  命のかぎり

   蝉しぐれ

平成二十四年八月十四日

   一時帰宅

TEPCO(東電)のどくろマークの幽霊の絵)

 

 

I Shall Return !!

老兵は死なず。
いつの日か必ず
この地に帰る。
放射能如きに
負けてたまるか。

 平成25年3,3 一時帰宅

 
 

 

今日も暮れゆく

 仮設の村で
友もつらかろ

せつなかろ
いつか帰る日を想い

   一時帰宅

  平成二十五年五月

 

 

二本松八時出発

ここはお国の何十里

離れて遠き二本松

開戦記念 平成二十五年十二月八日 
  一時帰宅

まもなく三年

来年は良い年であるように

 

 

内部被ばくの「ヘビ」

法により食する事を禁ず

     環境(庁)省

(この窓ガラスの内側下に3匹の蛇のおもちゃを設置)

 

 

放射能体験ツアー

大募集中!!

楽しいホットスポット巡り
     東電セシウム観光

 

 

まもなく3

大雪里帰して

帰りたい残念

泣くな嘆くな

男じゃないか 
  平成二十六年三月九日

同行甲田新聞

谷記者隈崎カメラマン

 

 

津島の山も今日かぎり 
国をすて家も
すて、
愛しき皆々様とも

別ればなれとなる

門出だ

 平成二十八年十一日(五年)

 津島の事は次世代べ

 

 

仮設でパソコンできるのも

東電さんの

おかげです

仮設で涙流すのも 
東電さんのおかげです

東電さんありがとう

十二月十二日


     
 
スライド1  

図3.雪解けの春。いのししの足跡。 
   
 
スライド9 

図4.6年間で一面に繁茂した牧草地の「おのえやなぎ」の冬枯れのすがた。除染企画書どおりに、道路肩から20メートルだけ切り倒した跡 
    

   

スライド7 

図5.イノシシが跋扈して掘り繰り返した厩舎横の牧草地  
    
 
 
スライド2 

図6.放置された厩舎。 右上の添付のかこい写真は温度計。正常に室温7度を示していた。


   
スライド8 

図7.なぜかマツの木のみが倒れて散乱している。放射能の空間線量は毎時9.5マイクロシーベルト。
放射能雲(プルーム)はこの山にもろにぶつかったと思われる(小丸地区)

    

 
 
スライド3

図8.静謐な濃紺の水をたたえた大柿ダムの湖面。道路橋から望む。向こうの湖畔中央部に白馬がいれば、まさに東山魁夷の日本画の世界。手前の湖底は沈下橋。湖岸は毎時2.7~5マイクロシーベルト。 
  

 
スライド10 
 
図9.道路の暖かい南斜面に、早くも咲き始めたフキノトウ。春はすぐそこだが。。。。。地表面は毎時8マイクロシーベルト。
  
  
  
    
(森敏)
 
追記:読者から図7について、なぜマツがやられているのかについて、
  
「放射性物質が大木を枯らすというのは大変なことだと思います。どのようなメカニズムが考えられるでしょうか。」
というご質問をいただきました。
   
この点に関しては、ずっと小生も疑問を抱いてきたところです。これまでも以下のブログでいくつかの現象的な事例を枚挙してきました。
   
日本のガンマフィールドの研究者からマツは、ほかの木本よりも細胞の核が大きいので染色体が放射線によるダメージをうける確率が高いという説が有力なようです。
    
放射線影響を否定したがる研究者からは、マツノザイセンチュウの影響だろうという反論がいつも直ちに出されます。
放射線で細胞が弱体化して環境ストレスに対して抵抗力が低下しており、マツノザイセンチュウにやられやすくなっており、このセンチュウの寄生によって、導管がふさがれて、水分の吸い上げができなくなり頂点から枯れていく、最後に倒木する、という流れも否定できません。しかし林業研究者で放射線量が高い場所で、松の倒木が集団で起こっているところのマツのセンチュウやその媒介昆虫の生息数を数えるような、奇特な研究者はいないようです。
    
なお、倒木前のマツは概して多くの松かさをつけるようです。擬人的に考えれば、枯死する前に急いで子孫を残そうとしている適応現象なのかもしれません。
  



2017-03-10 08:27 | カテゴリ:未分類

まもなく2011年3月12-20日の福島第一原発事故後6年めとなる。以下の文章は少し硬い論文調ですが、吟味してください。 
       
       

原発事故で帰還困難区域の山林は、住民が入らなくなったので、樹木が間伐されない。なので、荒れ放題である。木々にツタが絡まり、場所によっては特に巨木のマツの枯死や倒木も始まっている。
    
  スギやマツでは「こぶ」(クラウンゴール)ができて、枝が枯れているのが目に付く。これらは原発事故前からもあったのだろうが、被害は拡大しているのではないだろうか(図1、図9)。「
スギこぶ病」は,子のう菌(Nitschkia tuberculifera KUSANO)の一種が引き起こすスギの病害で,これに罹病すると,枝や葉,場合によっては幹に大小のこぶが生じ,樹勢が衰え,枯死にいたることもあるといわれている。

      

  2015年までは、この「スギこぶ」は球状の立体的なものなので(図2、図3)、感光面が平面のIP-プレートでの放射線像の撮像がむつかしいのではないかと思って、小生はあまり採取に熱心ではなかった。しかし、大学に持ち帰って放射能を測定してみると、飯舘村のものや浪江町のものはとてつもない値が出た。表1には浪江町の山林で採取したスギこぶを示している。総じてキログラム当たり15~20万ベクレルを示し、樹皮よりも高い放射能値である。

    

これは放射性プルーム(雲)による被爆当初に、直ちに被爆樹皮から「スギこぶ」に取り込まれた放射能が植物細胞よりもはるかに代謝活性の強い「杉こぶ」の菌体に積極的に取り込まれたからではないかと思われる。また、生体高分子樹脂で「スギこぶ」の表面は子細に入り組んだ凸凹になっており(図3)、いったんそこに入り込んだ放射能は樹脂と結合して抜け出られないものと思われる(図5、図6、図7)。

 

立体的なまま放射線像をとるとスギこぶとIP-プレートが密着していないので、放射線が立体角4πの方向にあちこちに飛んで、ぼけたイメージで感光した(図4)。実際の森林では、この「スギこぶ」からこのように放射線が発散しているわけである。
 
      スギこぶ菌にやられた杉は、結局倒木して、急速にシロアリなどの小動物に食べられて、土壌中に有機物として帰っていく。放射性セシウムも同じ運命をたどり、森林生態系の元素循環の中に繰り込まれていく。

 

スライド3 
図1.「杉こぶ」。枝は枯死し始めている。




 
スライド1 
 
図2.「杉こぶ」。実験室に持ち帰った「杉こぶ」がついた枝。枝はまだ生きている。


 


スギこぶ拡大図jpeg 

図3.図2の一つの「杉こぶ」の拡大図




 
スライド2 
 
図4.図2を立体のままIP-プレートで感光したもの。放射線が四方に飛び交っているので像がぼけている。


スライド1 
図5.「杉こぶ」をのこぎりで2つに切断したものを対称形に開いて並べたもの。撮像するときに角度が少しずれたのだが、右のものを少し右下がりにすると両者が合体するいめーじになる。上のオートラジオグラフが下の杉こぶのサンプルに対応している。

 

 
スライド3 
 
図6.図4の左のサンプルの拡大図 。白い感光していない部分はpith(木髄)





スライド4 
図7.図4の右のサンプルの拡大図。
白い感光していない部分はpith(木髄)


 
 
 



スライド1 

図8.「杉こぶ」の断面解剖図 (文献 J.Jpn.For.Soc. 68(11) '86 からの引用 )


 


スライド2 
 
表1.上のゲルマニウム半導体用の容器(U-8)に入っている「杉こぶ」に対応する放射能の測定値。 
スギこぶ1-1と1-2は半切の対になっているそれぞれ一方の測定値。
スギこぶ2-1と2ー2は半切の対になっているそれぞれ一方の測定値。
スギこぶ3-1,2,3は3個の小さな杉こぶの合量。


    
(森敏)
 
付記1:以下の写真に見るように、飯舘村での激甚な杉こぶ被害の、迫力ある写真は、以前に「中部支援ネットワーク」から小生にも送られてきたことがある。ここに無断で掲載させていただきました。

 
スライド1


図9.飯舘村での被害が激甚な杉の「杉こぶ」。枝の先端のみに葉が茂っている。大方の栄養分を「杉こぶ」に収奪されているのだろう。
 
追記1:以下の図10、図11は図6と図7に対応するネガテイブ画像です。こちらのほうが放射能汚染の度合いがわかりやすいかもしれません(白い部分が放射能の局在部位です)
 
スライド1 
図10.図6のネガテイブ画像。白い部分が放射能汚染部位。白が鮮明なほど汚染が激しいことを意味している。
 
 
スライド2 
図11.図7のネガテイブ画像。白い部分が放射能汚染部位。白が鮮明なほど汚染が激しいことを意味している。

    

2017-02-17 08:06 | カテゴリ:未分類

民家の庭先にショウブとハスを混食しているプラスチックバットがおいてあった。きっと避難している家主は水生植物の愛好家だったのだろう。これまでも溜め池などでは、岸から離れているハスなどの水生植物を採取するのが少しややこしかったので、このプラスチック箱の中から紫色の2本を茎の部分から上を失敬した。葉は全面的に水につかっていた(図1

       

新聞紙で乾燥するとさらに紫色が強くなった(図2)。研究室に持ち帰ってガイガーカウンターを当てると1600 cpmと、とてつもなく高い値を示した。以下の動画を見てください。
 https://vimeo.com/190422228 

         
  それをオートグラフに取ったのが図3(ポジテイブ画像)と図4(ネガテイブ画像)である。ハスの葉脈が子細にくっきりと浮かび上がっているのがわかる。
    
  この植物体を葉と茎にわけて放射能測定したものが表1である。茎と葉は共に、Cs-134 と Cs-137の合量で数十万ベクレルとべらぼうな値であることがわかる。


スライド4 
 図1.民家の庭に放置されたハスを育てているプラスチックバット
 
 
 
スライド1 
 
 図2. ハスをサンプリングして押し葉にしたらこんな紫色になった。

 
 
 
 
スライド2 
 
 
 
 
 図3.図2のオートラジオグラフ
スライド3 
 

 図4.図3のネガテイブ画像



 
表1.ハスの放射能
スライド2 
 

なぜこんなに高いのだろうか? 以下に若干考察してみた。

       

第一にこの地域に降り注いだ総放射線量がべらぼうに高かったであろう。今でも空間線量は8マイクロシーベルト付近である。しかしそれ以外に、第二に、原発事故以来このプラスチックの箱に降り注いだ放射能は箱の外には逃げないで箱のなかに留まったままであるはずだ。土壌は箱の底に数センチである。いつも土壌表面は水で空気から遮断されているので還元状態にある。たぶんそういう環境下ではセシウムは土壌への吸着が進みにくく、いわば箱の中で放射性セシウムは水の中でリサイクルし続けていると思われる。冬になって葉が枯れて腐ると、微生物菌体のコロイド状になり、そのコロイド状の有機性セシウムは、また次の春になると無機セシウムイオンとして遊離されてハスの根からばかりでなく葉からも再吸収されるわけである。

     

フキノトウなどでは、淡水状態で出てくるフキノトウと陸生のフキノトウでは前者の方が遙かにセシウム汚染が強いことがすでに明らかにされている。これは淡水状態では水につかっている地上部分からも容易に放射性セシウムが吸収されるからである。

      

水稲の場合も、水を張った出穂期に森林で汚染した沢水がかかると、容易に茎からセシウムを吸収して、お米の放射性セシウム含量がたかまるので、要注意なのである。小生自身が実験したわけではないが、カリウムを農水省が定める基準値量(25mgK2O/100g土壌)以上施肥していてもこの経茎吸収は押さえられないと思われる。

      

たかがハス、されどハス。 原発事故後ほぼ6年になるが、放射能汚染地での自然観察で学ぶことはまだまだ多いのである。

  
   
(森敏・加賀谷雅道)

     
 
 
 
 

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