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2012-11-14 22:06 | カテゴリ:未分類

    今年(2012)の3月に飯館村長泥地区の桜の名所であるR399山頂に行ったときには、まだ桜は蕾であった。10マイクロシーベルト/hrの高線量の山頂の公園には誰もいなかった。

 

    その桜の樹の小枝を手折らせていただいた。

 

    また、5月に訪れた時には桜はだれもいないのに満開であった。その時は花びらを採取した。

 

    6月には桜の花が散って葉桜になっていた。そこで、また少しだけその葉の開いた小枝を手折らせていただいた。誰もいなかった。

 

  これまで、いろいろな植物をオートラジオグラフを取っているので、実験器具がなかなか空かず、今頃になってやっとその桜の木のオートラジオグラフの画像を得ることができた。それが図2と図4である。
 

  いずれの図も、黒くハレーションを起こしている部分が放射能の分布をしめしている。蕾も確実に放射能で感光しており、分析すると表1.に示すように3万ベクレル/kg以上であった。
 

スライド2

図1。 図2の原図。つぼみの時期の桜の枝。
スライド1  
図2.図1のオートラジオグラフ。 
   

表1。桜の蕾の放射能

桜の蕾の放射能(Bq/kg)
Cs-134Cs-137Total Cs
147591664531405



  

  第1図と第2図を比較して見れば明らかなように、去年放射能を浴びた枝まではまだギンギンに放射能が残っている。つぼみが付いていない部位が去年までの枝である。そのあと伸びた枝やつぼみにも放射能が移行していることがわかる。
 

スライド2 
図3.図4の原図。葉桜の時期の桜の枝。

スライド1
図4.図3のオートラジオグラフ。
 
   

  この第3図と第4図を比較してみれば去年の枝は放射能が濃厚だが、今年の葉には余り移行していないかの如く見える。しかし、葉桜になる前の桜の花びらからは2385Bq/kgの
Cs-137を検出した。だから葉にもそれくらいの放射能があると思われる(葉や枝の放射能は現在測定中)。

 

  福島県や近県ではどこの桜の木も特別には除染しないと思われるので、毎年新しい枝が伸びるたびに放射能は新梢に移行していくだろう。
 

  この長泥地区は帰還困難区域として向こう5年間は一般人は出入りが禁止になったので、桜並木は来年は一層さびしく咲き乱れることになる。
 

 
IMG_3042--.jpg   
図5。5月の山頂の桜並木

    長泥(ながどろ)に

    今を誇れる桜花

    静かに発す放射能かな



(森敏)

 

秘密

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