2012-09-17 17:33 | カテゴリ:未分類

 野生キノコの出荷制限続く 森林除染、見通し立たず
 

 豊かな森林が育む秋の味覚の一つ野生キノコ。しかし東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質は同物質を吸収しやすい野生キノコを直撃。会津の一部を除き、事故から1年半たった今も摂取や出荷の制限が続く。直売所などでは今年こそと出荷可能な地域で基準値を下回ったキノコを保管するなど工夫を凝らす。ただ政府が全範囲は実施しない方針を示すなど森林除染の進め方が見通せない中、野生キノコの今後の出荷可否も不透明。キノコを名産とする市町村では苦悩が続く。
 例年なら売り場の半分をキノコを占める時期だが、今年は見当たらない。代わりに店頭に並ぶのは加工品や野菜。「モモが終わりに近づくと、本当ならキノコの季節なのに」と猪苗代町高森地区で30年近く直売所を営む安田アキ子さん(71)は、秋の味覚キノコが販売できない現状を嘆く。
(2012年9月16日 福島民友ニュース)

 

  キノコは、植物組織に菌糸を食い込ませて栄養を摂取している。自分自身は光合成をしないので、(確たる証明はないが)菌糸を食い込ませた宿主植物の組織部位とほとんど同じ無機栄養成分構成をもっているはずである。樹皮や葉から吸収された放射性セシウムはすでに樹の体内を循環しており、心材の方向にも次第に浸潤していることがわかっている(winepブログでは、松の樹皮に穴が空いていることを報告しているhttp://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1252.html)。

  しかし現状はまだ宿主の樹皮や葉のセシウムなどが雨水に溶けて吸収されるべき可溶性セシウムが全部師管や導管や心材に吸収され尽くしている段階ではないと思う。まだ過渡期だと思う。

   
     放射能雲(プルーム)が降雨によって森林に降り注いだときに、幹を通って樹下に流れ出した放射性セシウムは、当初は地面の90%が落ち葉(リター)に10%が土壌に吸着しており、その後の降雨によって徐々に土壌に固着して行きつつある。今年はすでにリター層は80%に低下しているということである。土壌に固着する前の可給態のセシウムは根から吸収されて、新芽や果実に転流することになる。森林ではすでにこういう循環が始まっているだろう。
    
     森林を除染すると云うことが、落ち葉や落枝を掻き出すことであるならば、これは腐生菌のキノコ類の栄養源を無くすということになるので、野生キノコが生息不能ということになる。
IMG_4694--.jpg 
飯舘村の林内で松の枯れ落ち葉から直接生えていたキノコ(名称不明) 
    
 
きのこおおとら--- 
野生キノコのオートラジオグラフ(黒いぶぶんが放射能)
:傘の直径2センチ(品種不明)
    
また、除染のために野生のキノコの宿主のマツなどの樹皮を剥ぐなどと云うことは、不可能に近いので、菌根菌のキノコ類の放射能低下は、宿主の放射性セシウム濃度が定常状態になるまで低下するのと同等の時間がかかるだろう。
   
  チェリノブイリ原発事故後からドイツではまだ野生キノコの摂取は禁じられているということである。だから日本でも同様だろう。キノコを好む野生イノシシの肉は当分は高濃度の汚染を続けるだろう。
  
  今年になって、栽培作物の野菜やお米の急速な放射線量低下が成就し始めている。非常に喜ばしいことだ。しかしこれらの成果は、主として
1.放射性セシウムの土壌への固着が急速に進んでいること。
2.農家がカリウムを十分に与えていること。
3.果樹は樹体洗浄を行ったこと。 
という農家の営為によるものである。

  特に、2番のカリウム施肥が効いている思う。

  野生の植物は常にすべての無機成分が欠乏状態である。特別にカリウムを投与するというわけではないので、植物の多量必須元素であるカリウム欠乏が普通の生育条件である。だから、野生植物はカリウムの高親和性トランスポーターで放射性セシウムを栽培作物よりもより多く吸収する状態に置かれている(専門用語で云えば「移行計数」がカリウムが十分に与えられている栽培土壌での作物よりも高いことになる)。これが森林生態系の栄養条件なのである。生態学者はこのことを忘れてはならない。

  

(森敏)

追記1:以下の記事のように関東一円の森林土壌や樹皮や落ち葉の放射性セシウムが、まだまだ不溶態化していない。(2012.09.23)

長野の野生キノコ、出荷制限=政府

 政府は20日、長野県軽井沢町と御代田町で採れた野生のキノコから、食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたとして、県知事に出荷制限を指示した。野生キノコは福島、栃木両県の一部地域で出荷が制限されている。
 厚生労働省によると、基準値を超えたのは軽井沢町のチチタケ(1キロ当たり330ベクレル)と御代田町のショウゲンジ(同630ベクレル)。(2012/09/20-20:07)


 

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