2012-06-29 10:17 | カテゴリ:未分類

先日は

というブログを掲載しました。

 

    それを書いていて、突然ひらめいたことがあります。今日はそれについて述べます。

 

    世界のどこかで鳥・豚・人などのインフルエンザなどが毎年のように頻発しています。インフルエンザの遺伝子はその変異カ所まで正確にわかっていてタイプわけされています。現在もH5N1型が世界的に流行しているようです。

 

    このように詳細なインフルエンザの遺伝子解析が進んでいる一方で、なぜこれらの遺伝子変異が起こるのかに関しては、原因不明の環境要因による突然変異ですませています。一方で、

 

「遺伝子の複製過程で、1万~2万回に1回ほどの確率でミスが発生する。この確率はヒトの生物などと比べると非常に高く、新たな特徴を持つウィルスが生まれやすい原因となっている」という複製酵素によるエラー説も有力です。

 

    また一方では、変異ウイルスの人への伝搬の要因としては、アジアや中近東の人と鳥や動物との濃厚な接触の多い生活環境の地方で流行しはじめるというのが定説です。特に豚は新インフルエンザの生きた複製器といわれているようです。

 

  

  ここで述べたい小生の仮説は、世界の高自然放射線地域では生物は高頻度の遺伝子変異を繰り返しているので、インフルエンザの場合も感染力や致死性などの高いインフルエンザウイルスへの変異確率が高いのではないだろうかというものです。その根拠試料は以下のとおりです。(断っておきますが、ネット検索でヒットしたもので原資料にあたっていません)

  

- 世界の高自然放射線地域の健康調査より -

http://www.taishitsu.or.jp/genshiryoku/gen-1/1-ko-shizen-2.html
 

 という報告書を読むと、以下の図が載っており、以下のように放射線が高自然放射線地域では染色体に対照地域より多くの傷をつけているということが確認されました。」::::「放射線の染色体異常誘発線量には閾値が無いことを示しています。」と断定的に書かれてあります。
(放射線障害に関してとても有名らしいこの報告書は、他の文章部分はなぜか意識的に素人にはきわめてわかりにくく書かれているとしか思えないですが、ここの2カ所だけは明解に断言しています)。
 


いきち---
  


リンパ球中の--- 



    以下の文章です。上図中HBRAというのは高自然放射線地域のことです。曰く、

    

 2動原体は括(くび)れが2箇所にあります。異常染色体で、放射線に特異的な異常です。図92動原体の解析結果を示しています。高自然放射線地域の住民が対照群に比べて被曝線量が多くなっており染色体異常も多くなっていることが判ります。横軸に年令をとってみると(図10)、子供の頃には被曝期間が短いので両群であまり差が出ていないが、年をとると共に差が大きくなってきます。中年以降になると有意差が出ます。これにより、放射線が高自然放射線地域では染色体に対照地域より多くの傷をつけているということが確認されました2動原体と環状染色体の分析により、高自然放射線地域で2動原体の頻度が増加している事が分かりました。この地域の被ばく線量は年10mSv以下程度ですが、普通の地域は年2.4mSvで、それは体中の全ての細胞が一年に約一飛跡の放射線に当たる線量率となります。10mSvはその4倍位です。ため、高自然放射線地域の線量率ではどの細胞も数ヶ月に1飛跡しか放射線を浴びない程度です。これは観察された2動原体のほとんどが1飛跡の放射線により出来たことを意味し、放射線の染色体異常誘発線量には閾値が無いことを示しています。」

 

(注:二動原体染色体 逆位転座などが原因となって動原体結合部位を2箇所にもつ染色体で、分配が正常に起こらない:Wikipedia)。

 

つまり、世界の高放射線量地帯では人(生物一般と言っていいと思います)には染色体変異が常時高頻度で起こっているということです。もちろんここでいう高放射線の原因は宇宙線ではなく、土壌の構成成分の放射性トリウム、ラジウム、ウランが原因です。つまり地面からの放射線です。イランのラムサールや中国の陽江などの高放射線地域は渡り鳥の生息地ではないかと思います(渡り鳥の専門家に聞かねばなりませんが)。

この図9と図10を見て、普通の生物学研究者なら、「年間100ミリシーベルトが疫学的に癌発生率の閾値だ」といわれても、逆に疫学調査そのものを信用しないのではないでしょうか。”染色体異常が起こる閾値がない”ことがわかっていて、「放射線を正しく怖がりましょう」という言辞はなかなか信じがたいことです。
 

(ついでに言うと、先進国以外は、流産、死産、奇形児などの統計が完備されていないので、嬰児が闇に葬られて統計に載っていない可能性があります。そこが疫学調査のむつかしさです。少し前までは中国は一人っ子政策であったので、文革以降の人口統計を信用することには危険性があります。ところで、この論文で述べられている世界の高放射線地域はそういうところが多く、外国人が数年行って調査しても、正確なデータが提供されるとは、なかなか考えにくいです。日本は世界に冠たる統計先進国ですが、世界はまだまだです。日本の感覚で調査すると危ない。)。
  

ひるがえって、太平洋上の過去の原水爆実験の諸島や、チェリノブイリ原発汚染地域や、東電福島第一原発汚染地域では、世界のどこの高自然放射線量よりも空間線量が高い土壌汚染地域ができてしまっています。以上の世界の調査例から考えれば、これらの新しい人為放射能汚染地域では地面からの放射能で人獣感染性ウイルスの遺伝子変異が起きやすくなっているのではないでしょうか。

 

そういう観点から考えてみると、日本の獣医師達が、東電福島第一原発暴発後、直ちに警戒区域に入り野生化した家畜の殺処分・消石灰まぶしの埋葬に迅速に立ち上がったのは疫学的観点から敬意を表したいと思います。主として口蹄疫の発生を恐れたと聞いています。ですが、今後は野生化したイヌ、ネコ、豚や、イノシシやクマなどは特に要注意かも知れません。肝腎の野鳥の捕獲や殺処分は不可能です。警戒区域などは今や野鳥のサンクチュアリになっているのではないでしょうか。我々には中に入れないので何とも実情を知ることはできませんが。

 

以上、放射能汚染地域ではあらゆる自然の生命体の遺伝子変異の集積が進行しやすくなっているという観点から、放射能汚染を考え直す必要があります。野鳥の聖域(サンクチュアリ)が流行性病原菌のサンクチュアリになる可能性を秘めています。生態のいろんな角度からの継続的なモニタリングが重要です。

 

たとえば、現在、複数の研究者が、福島の汚染地域で大気中の微粒子からの被爆量を測定しています。その結果、年間推定0.14-0.17マイクロシーベルトの吸引による内部被爆になるだろうということで、それは「年間1ミリシーベルト」という被曝線量基準値からはるかに低い、だからマスクなどは必要ないのではないかという方がおられます。しかしそうでしょうか。さすがに放射能汚染花粉の飛散に関しては、林学関係者はマスクをする必要はない、などとは云っていないようですが。(付記2参照)

 

今後、年月が経つに連れて、生物の染色体変異が集積していくのは確実ですから、人の高濃度汚染地域への立ち入りを、直接の放射線被曝ばかりでなく、病原菌による感染症の面からも警戒すべきではないかと思います。 安全のためにマスクや消毒はこれからはむしろますます必要ではないかと思います。

 

この小生の危惧に対して、疫学や放射線影響の専門家でもない素人がなにをいうのか、と猛然とその道の専門家から反論が出ることが予想されます。あくまで仮説として、提唱するものです。除染作業マニュアル作成者や、住民復帰政策担当者は、こういう考え方もあるのだと、ぜひ気にとめておいて頂きたいと思います。(そんなことわかっている! とお叱りを受ければ幸いです)

 

実に驚いたことに、同じような考えをしている方がおられるようです。以下に全文を引用します。いつもWINEPブログで引用している本の283頁です。(すみません。英語を訳すと誤訳する可能性があるので、どうかご興味のある方はぜひ読みください。)

 

    

All microorganisms (viruses, bacteria, fungi,

and protozoa) and microbiological communities

as a whole undergo rapid changes after any

additional irradiation. The mechanism of such

changes is well known: inclusionand increase in

the frequency of mutations by natural selection

and preservation of beneficial novel genes that

for whatever reason appear more viable under

the new conditions.This microevolutionary

mechanism has been activated in all radioactively

contaminated areas and leads to activation

of old and the occurrence of new forms

of viruses and bacteria. All but a few microorganisms

that have been studied in Chernobylaffected

territories underwent rapid changes in

heavily contaminated areas.

Our contemporary knowledge is too limited

to understand even the main consequences

of the inevitable radioactive-induced genetic

changes among the myriad of viruses, bacteria,

protozoa, and fungi that inhabit the intestines,

lungs, blood, organs, and cells of human beings.

The strong association between carcinogenesis

and viruses (papilloma virus, hepatitis virus,

Helicobacter pylori, Epstein–Barr virus, Kaposi’s

sarcoma, and herpes virus) provides another

reason why the cancer rate increased in areas

contaminated by Chernobyl irradiation (for a

review, see Sreelekha et al., 2003).

Not only cancer, but also many other illnesses

are connected with viruses and bacteria. Radiologically

induced pathologic changes in the microflora

in humans can increase susceptibility

to infections, inflammatory diseases of bacterial

and viral origin (influenza, chronic intestinal

diseases, pyelonephritis, cystitis, vaginitis,

endocolitis, asthma, dermatitis, and ischemia),

and various pathologies of pregnancy.

The long-term consequences for microbial

biota may be worse than what we understand

today.

 

Chernobyl Consequences of the

Catastrophe for People and the Environment

ANNALS OF THE NEW YORK ACADEMY OF SCIENCES

Volume 1181
 


(森敏)
付記1:小生は若い時は、1970年代初頭に日本で大流行した原因不明の牛の流産・死産・奇形による大量死事件で、原因究明のために全国を疫学調査したことがあります。アカバネウイルスが原因であったのですが。このことは、以前にも紹介したことがあります。以下の文をご参照ください。
 
2010/05/20 : 宮崎県の口蹄疫に思う
 

付記2:竹中千里・清野嘉「花粉飛散による放射性物質再拡散を考える」 森林技術 840,18-23(2012)

秘密

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