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2012-05-24 05:36 | カテゴリ:未分類

        このヒノキの写真は昨年飯舘村小宮地区で育林されているものを昨年の秋に撮影したものである。そこから手に届く高さの葉と雌果をとってきた。
  
これに関しては、一部をすでにWINEPブログで報告しておいた。
 
2011/12/18 : スギとヒノキの今年の雌果種子へのCs-137の転流を確認した:これからは、あらゆる植生の奇形化が予想される
   

     
今回はその後の追加情報としてヒノキの各組織が含有する放射線の数値ばかりでなく葉のラジオオートグラフ像を示したい。
   
    
  
  
    
写真1 立派に手入れしたヒノキ

IMG_4318---.jpg 
      

写真2 ヒノキの種子(直径約2ミリ)
IMG_3397---.jpg

 
   
写真3 室温放置で弾(はじ)けさせた後のヒノキの雌果(直径約1センチ)

IMG_3400---.jpg  

     

 放射能を簡易測定すると種子は以下の表1のように、Cs-137で約一万ベクレル/kgという高い線量を検出した。Cs-134はこの7割あるはずであるから、総線量でセシウムは1万7千ベクレル/kgはあるはずである。表1の葉の放射能の約7分の一の濃度である。雌果が葉の軸についているときは種子は雌果の中に入っており、外部からの放射性ホコリなどの被爆はほとんどないはずである。だから、ここで示す種子の放射能のほぼ全部が、セシウム被爆した葉か、樹皮から転流してきたものと思われる。

   
    

表1 ヒノキの成分の放射能
  

ヒノキ

Cs-137 (Bq/kg)

種子

10709

雌果の殻

37639

74610

葉の軸

166093

 

        

    それにしても写真4のように葉を押し葉にしてオートラジオグラフを撮ってみて、我ながら、葉や葉の軸にまんべんなく放射能でまぶされているヒノキに、同情を禁じ得なかった。 この被爆イメージは数値情報だけでは決してわからない。
  

  
   

   

この種子は、本来ならば、雌果からはじけ飛んで、地上で、種子自らが抱え込んだ放射能による内部被爆と、このあたりの環境放射能(数マイクロシーベルト/hr)による外部被爆で、自らの胚芽の染色体を傷つけながら、発芽期を迎えて、細胞分裂を行うはずであったわけである。

 

 生物学研究者ならば、染色体障害による発芽阻害、たとえ発芽してもその後の形態の奇形化などを想像するのが当たり前だろう。動物で云えば、流産、死産、奇形、免疫低下の虚弱体質等々である。チェリノブイリでは多くの奇形化した枝葉が見いだされていることはすでに上記のブログで報告しておいた。
    
   
写真4 次の写真5に用いたヒノキの押し葉
    
IMG_3613---.jpg
  
 

写真5 BASで撮影したオートラジオグラフ。全身が放射性降下物(フォールアウト)でまんべんなくまぶされて被爆していることがわかる。  
 
プレゼンテーション1   

(森敏)
   
付記: BASによる現像は中西啓仁(ひろみ)・特任準教授(東京大学農学生命科学研究科)によるものです。

秘密

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