2012-05-22 06:33 | カテゴリ:未分類

IMG_3724--.jpg 飯坂温泉 摺上(すりかみ)川からの眺め。 この川の両脇は全部旅館。夜の部屋の灯りで見ると、いくつかの旅館が休業か、廃業していた。この橋の上は地上1メートルの高さで0.27マイクロシーベルト/hr. 町の道路はおおむね0.3-0.5マイクロシーベルト/hr. 山の中に少しでも入ると1.0マイクロシーベルト/hr以上である。土日以外は旅館は閑散としているとのこと。

   

福島県飯坂温泉の「パルセ飯坂」で開催された第1回環境放射能除染研究発表会(5月19日―21日)に参加してきた。行政/企業/大学 と、まさに産・官・学の混成発表会であった。 汚染の現状、除染の技法、福島復興の未来像などについて多彩な口頭発表とポスター発表(総計168課題)があった。

    

多くの努力が除染活動で出てくる膨大な放射能汚染落ち葉や放射能汚染土壌などの減容化の技術開発に向けられているが、まだまだ決定打はないと見受けられた。
       
  この出口対策にたいする技術的なブレークスルーがないと、いくら除染活動に国家予算が潤沢に投入されても高濃度汚染地域に関しては決定的な除染はできないだろう。後楽園球場の23倍分の汚染土壌が出ると噂されているが、今後営農で発生する汚染草木や汚染堆肥などを入れるとそんな容量では限(き)かないのではないだろうか。
 

  ウクライナやベラルーシが除染をしなかった理由は除染が絶望的に困難であることと、コストがかかりすぎることによる。集団移転のほうが国や住民にとって次のステップに進めたからである。

    

  講演を聴きポスターをながめながらずっと考えていたことは、今年の稲作技術のなかにどういうセシウム汚染予防策が使えるのだろうかということであった。

    

これに関しては「籾殻による放射性物質の除去方法」(高橋正則) というポスター発表があった。これはきわめてローテクで,工学的でない技術である。ライスセンター等から発生する膨大な籾殻(もみがら)を入手して、それを10リットルの麻袋や寒冷紗袋に詰めて、用水の水路や、田んぼの水口や、山からのわき水掛かりの側面に並べたり、用水溜池の出口に設置したりして、汚染値が飽和しそうになったら農家自身がそれを時々取り替える、という技術である。今回の発表でも色々試行錯誤している高価な未完成のゼオライト加工品を用いるよりは、今すぐにでも農家が使える技術ではないだろうか。

 

   

あるいは、石炭火力発電所焼却灰(現在中部電力が売っているが、そのうち生産中止になるのだそうである)をアルカリ処理して安価にできるNa-P1型ゼオライトを10リットル袋に詰めて、上記と同様にあちこちに設置しておくのもいいかも知れない。Na-P1型ゼオライトは特に優れたセシウムの選択捕獲特性を持つのだそうである(「磁化ゼオライトによる放射能汚染土壌の除染実用化技術の開発」 青山宏道ほか)

      

福島の現地ではすでに水田に用水を入れて代掻きや田植えを終えているところもあるようだ。だが、山間部では稲作の作業の最初から、用水や湧水から入り込むであろうごく微量のセシウムを除去する対策が、非常に重要に思われる。

     

昨年、幼穂形成期以降の生殖成長期に襲った台風の後に、山林からの涌水の流入により田んぼの放射線量が約二倍になっていたというデータが展示されていた。今年も用水と湧き水の除染が絶対に必要である。

  
    

(森敏)

   

付記1:玄米のセシウム汚染の予防対策はもちろん以上のことだけではない。

 

これまでもWINEPブログでたびたび繰り返し述べているのだが、イネの根の吸収時にセシウムと拮抗させるためにカリウムを十分に与える必要があることはことは、云うまでもない。

   

これも過去のWINEPぶろぐのどこかで述べたことだが、土壌の粘土層からセシウムをイオン交換で遊離しやすいアンモニア系肥料のかわりに緩行性の被覆肥料を奨励したい。汚染現場では今年は慎重に低放射能汚染技術の開発に徹し、あまり高収量を欲張らないことである。

    

秘密

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