2012-04-28 06:09 | カテゴリ:未分類

  以下のタイトル
  

土壌-植物系における放射性セシウムの挙動とその変動要因
  

に示すように、農業環境技術研究所のセシウム汚染に関する総説がでた。55頁という長文の総説である。2時間かけて一気に読んだ。以下のwebですぐみられる。

      

 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/publish/bulletin/niaes31-2.pdf
     

     

なかなか良く書けていると思う。専門の研究者が書いているので難解なところもあるが、他分野の研究者や農家の人が読んでも、非常に参考になるところがあると思う。わからないところはとばし読みすればいいだろう。

  

      

読み終わって気がついたことは、残念ながら、我が大先輩の(故)三井進午教授一派の日本で最重要な課題である水稲の放射性セシウム汚染に関する1960年代の一番重要な数報の論文がすっぽりと引用文献から抜けている。
    
       
 
小生は東電福島第一原発暴発後の、この1年間で、この過去の三井先生一派の50年前の研究を凌駕する研究はまだ出ていないと確信している。WINEPブログでは原発爆発当初から、何回も繰り返してその文献を斯界に紹介し、関係者にはコピーも送付してきた。 
                     
   
例えば以下の論文などである。
       

水稲による特異的セシウム吸収の機構 

   天正清・葉可霖・三井進午

     日本土壌肥料学雑誌  32巻140-144頁(1961) 
   

   
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農環研報31751292012

土壌-植物系における放射性セシウムの挙動とその変動要因

Behavior of radiocaesium in soil-plant systems and its

controlling factor

山口紀子・高田裕介・林健太郎・石川 覚・倉俣正人・江口定夫・吉川省子・坂口 敦・朝田 景・和穎朗太・牧野知之・赤羽幾子・平舘俊太郎
(以下、まえがきのみを引用しておく)
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性核種は、広く環境中に拡散し、日本の農業にも大きな打撃を与えた。今後も長期にわたり半減期の長い放射性セシウム(
134Cs, 2.06年、137Cs, 30.2年)による影響が懸念される。土壌に沈着した放射性Csはまず土壌に吸着する。そして土壌溶液に再分配されることで植物の根から吸収され可食部まで移行する。一度土壌に吸着した放射性Csが土壌溶液に再分配される割合は非常にわずかである。このことが農作物の汚染を最小限に抑えている一方で、除染を難しいものにする一因ともなっている。森林生態系では放射性Csは比較的動きやすい形態を保存したままで循環しているため、農地への流入を含め、放射性Csのダイナミックな挙動を流域レベルで考慮する必要がある。本総説では、土壌‐植物系あるいは農業生態系における放射性Csの挙動の特徴とその支配要因について解説した。さらに、農地から放射性物質を除去する手法についてとりまとめ、わが国におけるこれらの手法の有効性について議論した。

            

             
(森敏)
           
付記:三井先生の論文は、福島の放射能汚染水田現場で起こっている、喫緊の「玄米のセシウム汚染」の事象をどのように解釈すべきかについて、最重要な示唆を与えている。この文献の真の価値を読み込めない研究者集団は実になさけない。この農環研の総説論文の著者たちは、放射能汚染農地にきちんと足を踏み入れて調査研究をしているのだろうか? 放射能を頭でしかわかっていないのではないか?
  
秘密

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