2012-04-30 07:31 | カテゴリ:未分類

森林の放射能汚染にどう対処すべきかが住民復帰や水田農地再生への最大の課題である、ということが現在大方の現地からの避難住民や、水田農家の共通の認識(コンセンサス)になってきたと思う。
          

     以下に示すようにチェリノブイリのデータでは森林の松の幹(wood)や枝(branches)への土壌からのCs-137の移行係数は12年間ほぼ一定であった。むしろ枝には少しずつ移行係数が高まった。これは土壌からのセシウムが樹に吸収されて移行しやすくなっているということである。

          

ここで示すチェルノブイリの土地と日本とは雨量や、地形や、土壌の性質が違うので、断言はできないが、それでも黙って何も土壌の除染活動をしないと、樹木の体内放射能は何十年も減らないことが予想される。 
       
  森林を放射能除染するにしても、落ち葉掻き、土壌剥離、樹木伐採、などの、どこまで除染すべきか、まだ手法が確立してるとはとても言い難い。日本のような傾斜地では下手に手を付けると、保水力がなくなって土砂災害が起こったり、一気に貧栄養の森林の養分の溶脱が起こったりするからである。
          
  以下の記事に示すように、福島県に「森林除染推進協議会」なるものができたようだ。だが、限られた予算で、どの森林から手を着けるべきか、よほどの検討の後に、地域に優先順位を着けて行うことが肝腎であろう。
    
         
       
  

樹木の放射能  

 
 
 

図1. 松(Pinus silvestris)Cs-137の枝や幹への移行係数はおおむね、測定期間の12年間一定である。
    
移行係数(transition coefficient)103xBq/kg植物バイオマス)/(kBq/1平方メートル当たりの土壌汚染放射能量)
      
で表される。図の縦軸が移行係数である。
   
ちなみにチェルノブイリ原発の暴発は1986年4月26日である。
   

     
 

森林除染:福島に推進協議会

森林の除染を進めるため、福島県内の林業関係6団体が22日、森林除染推進協議会を設立した。林野庁が4月にも森林の除染マニュアルを策定するのを受けて、除染の事業主体になる。

 会員は、県林業協会や木材協同組合連合会など6団体で、福島市内であった設立総会には林野庁、県の担当者も出席した。協議会の役割として▽除染技術の講習会開催▽除染業務の人員確保▽関係機関への働きかけ--などを確認した。

 会長に選ばれた浅和定次・県林業協会長は「森林から流れ込む放射性物質を除染しなければ民家の安全確保にもつながらない。早期の森林除染が必要」と話した。【深津誠】毎日新聞 2012322日 2219

   

 汚染林伐採で放射線量8~9%減 農水省が試算

農林水産省は27日、放射性物質で汚染された森林について、伐採による除染効果を調べた実証試験の結果を公表した。伐採の前に比べ、空間放射線量が8~9%下がることが確認されたという。

 実証試験は、1~3月にかけて東京電力福島第一原発に近い福島県広野町で行われた。スギの人工林で4本に1本の割合で間伐したところ、空間線量が8%下がった。主にアカマツと広葉樹の混合林では皆伐の効果を調べ、9%の減少率だった。

 除染作業は人が住む住居区域を優先させることになっている。住居近くの森林については今回の実験と別に、住居から約20メートルの範囲の落ち葉を取り除けば空間線量が約3割下がるとの結果が出ている。今回の実験で林野庁は「間伐を組み合わせることでさらに効果を出せる」としている。

 



(森敏)
付記1:参考文献はいつも示している以下の本です。
   

Chernobyl Consequences of the Catastrophe for People and the Environment

ALEXEY V. YABLOKOV, VASSILY B. NESTERENKO, ALEXEY V. NESTERENKO

Consulting Editor JANETTE D. SHERMAN-NEVINGER

Published by Blackwell Publishing on behalf of the New York Academy of Sciences


 

付記2: 上記農水省のデータから単純に計算すると、民家付近の森林では、皆伐と落ち葉掻きで、理論的には 9% x 4(本)+30% =66% 民家側の空間線量は減少することになる。

秘密

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