2008-06-11 14:40 | カテゴリ:未分類

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オリーブの木の根元の両サイドに設置された

点滴潅漑用のチューブ。手前の穴からしみ出た水が

地面をぬらしていることがわかる。

                 

              

オーストラリアでのオリーブの点滴潅漑

 

テレビのBS1でオーストラリアが水不足で、コムギなどの耕作を断念し、オリーブの耕作面積が増えている、その栽培方法は点滴潅漑である、という報道を見て、いささか感慨があった。この技術は全くイスラエルやスペインが用いている技術でありその技術移転であると思われたからである。

 

イスラエルでは川幅が50メートルもないヨルダン川しか水の供給源がない。しかもそれをシリアやヨルダンと取り合っている。したがって、作物や樹木の節水栽培に関しては、イスラエルは世界のどの國よりも努力をしており、その技術水準は世界最高である。

 

プラスチックチューブに一定間隔で穴を開けて、そのチューブに水と肥料成分を溶かして、一定時間ごとに、その作物が一日に必要とする量を精密に給水する。一滴の水もムダにしたく無いという栽培方式である。イスラエルではこのチューブが地球の4周半分ぐらいの長さで使われていると、イスラエルでの国際学会のときに現地で紹介されたことがある。

 

点滴潅漑方式は近年日本のハウス栽培に当然のように導入されているので、常識となっているが、露地栽培でこれをやっている國は、まだそれほど多くない。また、日本やオランダの場合は節水のためにやっているのではなく、肥料成分の有効利用や食品衛生面や病原菌感染防除や環境への塩類負荷低減の観点からのものが多い。

 

オーストラリアでは用水の権利(水利権)の売買が行われ、野外圃場にこのような点滴潅漑の設備投資を出来ない農家が次々と耕作放棄をしていっているようである。過去数年間の水飢饉を契機にして、水の売買が加速され、単位水使用量当たりのオリーブ収量が農家間で十倍の差があるということである。つまり技術力の差である。したがって、大型の投資を行える農家がますます現金収入を得ることが出来、お金がない農家は耕作を放棄せざるを得ない格差が生まれている。

 

問題はこのような高価な設備投資を要する技術はオリーブやオレンジなどの換金作物にしか適用できないことである。要水量の多いコムギ、ダイズ、トウモロコシなどの主要穀物の栽培がそのために駆逐されてオリーブ栽培に置き換わってきている、ということである。

 

世界的なデュラムコムギの供給基地としてのオーストラリアが、このように水飢饉で確実にコムギの生産量を減らしていることは、今後ますます世界規模での食糧危機を加速することになるだろう。昨日のニュースでも、ヨーロッパで今年はまれに見る干ばつでコムギの収穫が危機に瀕しているということである。ますますコムギの値段が暴騰するだろう。

 

(森敏)

追記:本日のニュースで、アメリカのミシシッピー川が反乱して、トウモロコシと大豆畑が壊滅的打撃を受けている。これらの輸入価格がすぐに高騰するだろう。日本の豆腐がアブナイ。濃厚飼料に頼る日本の畜産業は壊滅的打撃を受けるだろう。 鶏卵、豚、牛、には強力な国家的サポートが必須だろう。

 

 

秘密

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