2012-02-06 15:19 | カテゴリ:未分類

     福島県を中心に、我々が採取してきた生物を厳密に測定すると、これまで放射性セシウム汚染していない生物はいない。だから、このブログの最後に示す本日の毎日新聞の報道のようにミミズも当然放射性セシウム汚染している。

     

小生は、東電福島第一原発から約60キロ離れた福島市渡利地区で、ミミズはもっとも土壌と接触している(土を丸ごと食べる!)から、強度にセシウム汚染しているに違いないと思って、長さ5センチぐらいのミミズを多数採取した。
    
  それを予備的にNaI検出器で一匹一匹調べた。多いものではCs-137が数万ベクレル/Kgあった。すべてのミミズが強く汚染していたが個体毎に非常にばらつきがあったのが不思議であった。
  
  よく観察すると、その理由として、ミミズに呑み込まれた土が体内にまだ残留しているミミズは放射性セシウム値が明らかに高いと思われた。

    

そこで、現場で偶然長さ30センチにわたる大きなミミズを捕まえていたので、これを、水で十分に洗って室温で放置して2週間にわたって糞を全部吐き出させて、乾燥させた。それをゲルマニウム半導体検出器で測定した。乾燥させた理由は、通常放射性セシウムの測定値を乾物重あたりで表示するためでもある。(写真1)
  

農用地の放射能汚染について(学術会議用・生物濃縮)ver2 
   写真1.左:ミミズ、右:ミミズの糞

そうすると、このミミズの放射性セシウム値は顕著に少なかった(表1)。これは意外であった。

   

さらに意外であったのは、ミミズの糞の放射能が驚くほど高かったことである(表2)。

  

念のために、この場所の土壌の放射能も測定した(表3)。
 
  ちなみにこのミミズがいたどぶのヘドロから1センチ離れた表面の放射線線量値は13.31マイクロシーベルト/時間という非常に高い値を示した。

    

    

   
 表1.渡利地区のミミズの放射能
    

放射性核種

放射能(Bq/kg)

Cs134

360

42

Cs137

480

Ag110m

20

1

       

     
  表2.渡利地区のミミズの糞の放射能  
     

放射性核種

放射能(Bq/kg)

Cs-134

569,032

Cs-137

804,340

Ag-110m

0

           
   
 表3.渡利地区のミミズがいたどぶの土壌の放射能
     

放射性核種

放射能(Bq/kg

Cs-134

37,629

345

Cs-137

44,031

Ag-110m

237

1

    

            

計算の結果ミミズは土壌の放射性セシウムを0.01倍(840Bq/81660Bq)しか濃縮していないが、一方では放射性銀を0.085倍(20Bq/237Bq)に濃縮していた。

      

ミミズの放射性セシウムに対する放射性銀の比は、土壌の放射性セシウムに対する放射性銀の比に対して、8.2倍(345/42)の濃縮率を示していた。つまり、セシウムよりは銀がはるかにミミズでも生物濃縮されやすいことがわかる。
      

また、ミミズの糞は土壌の放射性セシウムを16.8倍(1373372Bq/81660Bq)に濃縮していることがわかった。糞の放射性銀は検出限界以下であった。

 
    

         

ここで詳しくは述べないが、すべての生物において、放射性銀のほうが放射性セシウムよりも生物濃縮されやすい傾向にある。
                
  私見では、下記の記事の森林総研の報道発表は、ミミズを体内に含まれている糞ごと測定している可能性が高い。     

     

 

放射性セシウム:福島県川内村のミミズから検出 (毎日新聞 最終更新 2012年26日 249分)

東京電力福島第1原発から約20キロ離れた福島県川内村に生息するミミズから、1キロあたり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが、森林総合研究所(茨城県)の長谷川元洋主任研究員(土壌動物学)らの調査で分かった。ミミズは多くの野生動物が餌にしている。食物連鎖で他の生物の体内に次々と蓄積していく現象が起きている可能性も懸念される。3月17日から大津市で開かれる日本生態学会で発表する。

 昨年8月下旬~9月下旬、一部が警戒区域に指定された川内村、同県大玉村(同原発から60キロ)と只見町(同150キロ)の3町村の国有林で、40~100匹のミミズを採取した。

 その結果、川内村のミミズから1キロあたり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出された。大玉村では同約1000ベクレル、只見町で同約290ベクレルだった。調査時の川内村の空間線量は毎時3.11マイクロシーベルト、大玉村で同0.33マイクロシーベルト、只見町で同0.12マイクロシーベルトで、線量が高い地点ほど放射性セシウムも高濃度になっていた。

 一方、林野庁が昨年8~9月に実施した調査によると、川内村で土壌1平方メートルあたり約138万ベクレル、大玉村で約8万~12万ベクレル、只見町で約2万ベクレルあった。

 事故で放出された放射性物質の多くは落ち葉に付着している。落ち葉が分解されてできた有機物を、ミミズが餌とする土とともに取り込んだのが原因とみられる。【神保圭作】

 

 

 

(森敏)
  

 
付記1:以前のWINEPブログの各所で述べているが、銀は、原子炉の中性子制御棒のコーテイング剤につかわれているもので、原子炉の中でウランの核分裂で出る中性子を吸収して放射性銀(Ag-110m)となったものである。

だから放射性銀が環境から検出されたと云うことは、原子炉がメルトダウンしたという、直接的な証明なのである。セシウムばかりでなくその銀の「生物濃縮」が進んでいるわけである。
    
付記2:ゲルマニウム半導体検出器による測定は東大農学生命科学研究科・田野井慶太郎助教によるものです。
     

追記1: 本日早朝、読者の指摘により、ミミズの糞は土壌の放射性セシウムを16.8倍に濃縮している と訂正いたしました。ありがとうございました!(2月8日 午前10時)
      
追記2:ありがたいことに読者の以下のサイトで上記の英訳文が発信されました。

http://ex-skf.blogspot.com/2012/02/137-million-bqkg-radioactive-cesium-in.html
   

 追記3: 参考までに糞をはき出していない15匹のミミズの個々のCs-137の測定値を記しておきます。最低値と最高値には48倍のばらつきがあることがわかると思います。値が高いミミズは未消化の土壌を体内に持っているゆえんです。(2012年2月10日)
    

ミミズの

ナンバー

Cs-137 (Bq/kg生体重)

1

80,055

2

16,494

3

63,759

4

 3,309

5

98,969

6

 7,613

7

40,958

8

32,680

9

11,102

10

12,752

11

13,408

12

38,109

13

 2,155

14

 9,082

15

 5,322

平均値

29,051

最大値

98,969

最小値

 2,155

 

 



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