2012-02-03 07:41 | カテゴリ:未分類

  本日は長いタイトルの福島県と農水省の発表した共同報告書についての解説です。これは多分歴史に残る非常に重要な報告書になるだろうと思います。これについて小生の解釈を述べます。            
  
  
暫定規制値を超過した放射性セシウムを含む米が生産された要因の解析(中間報告) 平成231225日 福島県 農林水産省」

          

という報告書が、福島県農業総合センターのホームページで開示されている。ホームページの作りが複雑なのでなかなかたどり着けないが、詳しく探していくとここにたどり着けるはずである。

     

よく読むとこの報告書はデータを多角的に適切に解釈しており、表題にあるように<暫定規制値を超過した放射性セシウムを含む米が生産された要因>について現時点での最良の結論を出していると思う。大学人ではとてもこういう総掛かりの調査研究はできない。

             

そこで、この報告書で一番核心とも云える下図を紹介し、多少の解説を加えたい。下図で黒と赤の点線は、小生が囲ったものである。
 
 
玄米Cs-土壌K2O曲線

   

 
  この図では、玄米規制値である<
500Bq/kg以上>の黒い点線で丸く囲った群が、土壌のカリウムの濃度(但し土壌のカリウム濃度が 0 10mgK2O/100g の間だけ)と、多重曲線にきれいに乗っていることを示している。

 

  であるから、これらの農家の水田は、土壌のカリウムが低いことが玄米の放射性セシウムを増加させた主要因であると云って間違いないだろう。

     

しかし、その一方で点線の赤丸で丸く囲った群は、玄米セシウム濃度が<1000Bq/kg 以上>と非常に高いにもかかわらず、土壌のカリウム濃度は極端に低いとは云えない。中の4つの点がグラフの曲線上に乗っていない。

     

だからこの特殊な4点のコメを生産した農家の栽培条件の解明こそが、今後警戒すべき高濃度玄米生産に関する普遍的な法則性を提供してくれるはずなのである。

    

農家に対する聞き取り調査と実況見分の結果では、これらの水田は沢水(山からの直接の湧水:脇水)掛かりであるということである。

     

これまで何回もこのWINEPブログで述べてきたごとく、特に
(1)出穂期(稲の穂が出る時期)以降完熟期(種子にデンプンが充実しきる時期)に至るまでの登熟期(稲の種子が次第に太って充実してくる時期)に、どれだけの雨量があり、
(2)その雨が降るたびに、森林からの湧水の放射性セシウム濃度がどれくらいであったのか、等が決め手になると思われる。

    難しく云えば、この水稲の生殖成長期という微分的な期間(約40日)が非常に重要な期間なのである。つまり台風などで大雨が到来すると、森林の葉や有機物に蓄積していた可溶性(水に溶けやすい)セシウムが田んぼに一気に流れ込んで、それがもろに、まるで水耕栽培のように、根や茎から吸収されるのではないか、と予想される。この実証試験が必要である。
 
          
  

だから、今年は福島県は腰を据えてこの4点の田んぼは試験田に指定して、全栽培期間にわたって経時的なデータを採取するべきなのである、そうすればきっと原因が解明できるだろう。農水省もわかっていることだろうけれど。

       

いずれにしても、福島県のこの作業に携わった研究グループは、各種の非難にもめげずによく頑張っていると思う。今後も力強く頑張ってもらうためにも、知事かどこかの学会がタイミングを逃さないで顕彰すべきであろう。
      
 
(森敏)


  
付記:土壌のカリウム高濃度水田でもさらに、今年の玄米基準値である100ベクレル/kg以下にするための新たな技法の行政指導が当然ながら今年は農水省に対して強く要請されている。これについては別途のべたい。

 

秘密

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