WINEPブログ
薪ストーブの灰から4万ベクレル超 環境省、検査促す
福島県二本松市の民家で使われている薪(まき)ストーブの灰から、1キロあたり4万ベクレルを超す放射性セシウムが検出された。環境省が19日発表した。同省は薪ストーブを使う場合、その灰を庭や畑にまいたりせず、自治体が集めて検査するよう住民や市町村に求める通知を、東北・関東地方の8県に送った。放射性物質の検査結果をふまえ、自治体または国が処分する。
環境省によると、住民から「薪を燃やして大丈夫か」との質問が同市役所にあった。日本原子力研究開発機構などが昨年11月、ある民家の庭に積んであった薪を試験的に薪ストーブで燃やしてみた。その結果、最高4万3780ベクレルの放射性セシウムが灰から検出された。通常ごみと同じく埋め立てられる国の基準(1キロあたり8千ベクレル以下)の5倍を超す値だった。7月には、福島市の焼却施設の灰から約9万5千ベクレルが検出されている。
この薪は、東京電力福島第一原発事故の前から屋外にあったといい、燃やす前の薪からは1157ベクレルが検出された。試算では、灰が4万ベクレル余りでも、煙突から出る煙による周辺住民の被曝(ひばく)量は年間0.01ミリシーベルトほどで、「健康影響はほぼ無視できる」(環境省)。薪ストーブのある室内の被曝量については「少量であり、灰を置いたままにせず、人の近寄らない場所で保管すれば問題ない」と説明する。
本日のasahi.comに以上の記事が載ったが、小生はすでに9月18日の時点でこのWINEPブログで、
「杉バーク(樹皮)ベンチのセシウム汚染」
という記事で、東電福島原発から122キロ離れた茨城県の寺社のベンチの杉バークを火鉢(ひばち)で燃焼すると、Cs-137が500倍に濃縮されて、238000ベクレル/kg検出されたことを報告した。
この時点ではCs-134を測定できなかったので、ほぼ等量のCs-134があったと考えると、この火鉢の灰は約40万ベクレル/kgの放射性セシウム汚染であったはずである。
だから汚染木材は木質バイオマス発電で燃やしてエネルギーを取ると同時に、灰に減容化したものを固化して、隔離貯蔵すべきなのである。ブログでは何度かそのことを提案してきたが、それがasahi.comのニュースから導き出すべき教訓なのである。
国が「警戒区域」「計画的避難区域」などの強度放射能汚染地域になぜ木質発電所を建設しないのか不思議である。林野庁が申請していた予算はついたのだろうか?
福島県の膨大な面積の森林の汚染木質資源は、だらだらと放置して放射能の拡散をさせずに、最終的に焼却・濃縮・保管にまで持っていく長期工程表を、国は早急に確立すべきだと思う。
(森敏)
付記:こういう記事を書くとすぐに焼却飛灰の二次汚染の問題を指摘する人がいるだろう。しかし現在では強力なフィルターが開発されていると聞いている。どなたかこの方面の情報を紹介していただければありがたい。それに発電所の立地は当面長期にわたって人が住めない地域を想定している。
追記1:その後、以下の記事が載った。
まきの灰 放射性物質調査を開始 1月26日16時20分
福島県内の住宅の庭で保管されていたまきを、ストーブで燃やした灰から放射性セシウムが検出された問題を受けて、環境省は、26日、東北や関東の8つの県を中心にまきの焼却灰に含まれる放射性物質の調査を始めました。
この問題は、福島県内の住宅で、近くの山から採って庭で保管されていたまきを、まきストーブで燃やしたところ、灰から1キロ当たり4万ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたものです。これを受けて環境省は、東北や関東の8つの県などでも同じような問題がないか調査を始めたもので、このうち宮城県川崎町では、まきストーブを使っている住宅に環境省と県の担当者が訪れ、住宅の外に保管されていたまきや、ストーブが置かれている室内の放射線量を測定したほか、まきをどこからいつごろ採ってきたかなどについて住民から聞き取っていました。また、焼却灰が入った袋を持ち帰り、今後、詳細な調査を行うということです。宮城県の震災廃棄物対策課の宮城英徳技術補佐は「環境省による詳細な調査結果を待って、今後の方針を決めたい。調査結果が出るまでは、できればまきストーブの使用を控えてもらいたい」と話していました。