2012-01-18 21:09 | カテゴリ:未分類

 稲の穂がでてから(出穂期)以降に根から吸収された

放射性セシウムが、玄米に移行しやすいこと、それが、

今回の福島県での玄米が放射性セシウム規制値500

ベクレル/kgを越えた原因の一つではないかとこれ

まで何度も述べてきました。その根拠データは何度も

紹介している天正・三井の論文と、最近の植物栄養学

の水稲体内元素循環の知見に基づくものでした。

     

ところが、最近あらためて過去の文献を知人に紹

介されましたので、それをよく読んでみました。(内

田滋夫・住谷みさ子・横須賀節子・大桃洋一郎:放射

性核種の経根吸収経路による農作物への移行 -放射

性セシウムおよびストロンチウム- 
Radioisotopes
  

 36, 575-580(1987) )

     



 この論文には、以下の図1が掲載されていました。


 (原図全部を紹介するとややこしくなるので、図1

ではセシウムの部分のみ切り取って紹介しています)

  
         

     

 スライド1
    図1. 137Cs入りの春日井水耕栽培液で11日間連続して
 

根から放射性セシウムを吸収させた乳熟期の稲の各部位へ 

の取り込み実験。結果を横軸の取り込み率(TR)で表した。

簡単にいうとTR値は、水耕液の放射性セシウム濃度に対す

る器官中の放射性セシウム濃度。横軸は対数目盛(!)であるこ

とに注意してください。

 

       

つまり、穂(Ears)では葉(leaves)、葉鞘(Nodes)、茎

(Culms)に比べると水耕液の濃度の5倍もの濃度(生体

重当たり)で高く放射性セシウム
(137Cs)が蓄積するこ

とがわかります(図中黒い横棒です)。

     

この実験は稲の乳熟期のものですから、図の穂(Ears)

は実際は玄米・穂軸・籾殻の合量で、玄米だけを分離し

て分析するということができていません。しかし、生殖

器官である玄米にセシウムが優先的に取り込まれるであ

ろうことを、強く示唆するものです。その後きちんとし

た完熟期までの実験が誰によっても行われていませんが、

このデータは、先に紹介した天正・三井の論文を補強す

るものといえます。
       

        

つまり稲の登熟期に根から投与された放射性

セシウムは玄米に優先的に移行する
と言うことは

水稲の生理学的法則性といって間違いないでしょう。

    

         

ですから、こういう玄米セシウム汚染条件が形成され

やすい谷内田(谷津田)の潅漑水の放射能除染対策の

策定
が、今年の喫緊の課題だ、と言うことです。

     

          

(森敏)

               

付記:ちなみに内田滋夫氏は現在も福島県の放射能除染アドバイザーを務めておられるはずです。ご当人を差し置いて、厚かましくも論文を紹介させて頂きました。

   

 

秘密

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