WINEPブログ
週刊文春(2011.12.15号)に 「震災復興バブル」の現場を歩く というタイトルで以下の記事が載っている。
::::::福島県は放射線量が特に高い福島市大波地区で「モデル事業」を公募した。見積もりの結果、選ばれたのは大成建設。この落札価格が破格だったので,同業者は度肝を抜かれた。「県の予定価格は3億7千万円。内外の18社が入札して、鹿島が4億6千万円、大林組が4億円で入札しました。ところが大成建設の入札額は一億5千万円。ほかの大手ゼネコンより圧倒的に安く、明らかにこの仕事を取りに行っています。大手ゼネコンは、海外にシフトするか、環境ビジネスに行くかを元々考えていました。除染ビジネスに将来性を感じているのしょう(地元の建設関係者):::::
最近の記事によると東芝は大型の移動式の除染トレーラーを開発したようである(各紙に写真が載っていた。しかし除染の原理が明快に開示されていない)。大成建設も移動式の除染機を開発したのだろうか? やる気満々の雰囲気が感じられるのだが。。。
今回のような想像を絶する広域高濃度の放射能除染は、除染土壌を元に戻すという減容技術が基本でなければならない。でなければ、膨大な放射性廃棄物を生産することになる。右の物を左に動かすだけのことになる。これでは金と膨大な時間さえかければ誰でもできる技術である。そうではなく汚染現場(on site)で迅速に除染濃縮減容化した高濃度放射性物質だけを双葉郡などに政府が計画している<<中間貯蔵施設>>に持ち込むべきであろう。
大規模な森林や水田の除染では、ローテクの人力ではなくハイテクの大型除染機の開発が望まれる。そういうものが本気で開発されて、その除染活動を目で見てこそ、避難住民も「これはもしかして故郷に帰れるかもしれないぞ?」という希望を抱けるだろう。だからそういう困難な技術を開発したゼネコンの出番だと思う。
今のような誰でも考える人海作戦の除染作業では、子宮に一生の卵子を抱えているといわれている婦女子は、生殖器への被ばくを恐れて、とても故郷に帰れるとは思わないだろう。
(森敏)
追記:以下のニュースが流れた。しかし残念だが東芝のこの原理では土壌に強く固着したセシウムを取り除けるとは思えない。
放射性物質の除去装置を開発 (1月4日4時56分)
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、水や土壌などに拡散した放射性物質の除去が大きな課題となるなか、大手電機メーカーが、福島第一原発で使われている除染の技術を活用して放射性物質を取り除く装置を開発しました。
放射性物質を取り除く除染についての特別措置法が今月、施行され、県や市町村などが今後、本格的な除染を行うことになります。こうしたなか、大手電機メーカーの東芝は、土壌の除染を行う装置を新たに開発したもので、トラックで運搬して使えるように小型化したのが特徴です。この装置は、土や汚泥などをタンクに入れ、シュウ酸と混ぜることで放射性物質を分離し、さらに吸着剤を使って取り除く仕組みで、1日当たり1.7トンの土などを処理できます。会社側では、およそ97%の放射性物質を取り除けるため、処理したあとの土などは元に戻すことができ、特別な保管場所などを設ける必要はないと説明しています。また、東芝はIHIと共同で、ため池にたまったり除染活動で生じたりする低濃度の汚染水から放射性物質を取り除く装置も開発しました。2つの装置とも福島第一原発で実際に使われている技術を活用したもので、すでに企業から工場などの除染に利用したいという問い合わせが寄せられているほか、自治体も関心を寄せているということです。ただ、処理能力に限界があることや、コストがかかることが課題になるとみられ、会社側では、需要を見極めながらできるだけ増産していきたい考えです。東芝の畠澤守部長は「放出された放射性物質を取り除いて住民が早く戻れるよう、メーカーとしての役目を果たしていきたい」と話しています。