2011-12-30 05:44 | カテゴリ:未分類

以前にWINEPブログでスギの花粉の雄果のデータを出しておいた。また最近では雌果の種子のセシウムのデータも公開した。その時花粉を採取できなかったので、残念ながら今年の花粉のデータは測定できなかった。

     

しかし、以下の記事にあるように、林野庁は、今回本格的に花粉の調査を始めたようである。
     
  林野庁は、我々大学の研究者ならいろいろとうるさい当局の許可を得なければ、立ち入りできない双葉郡など、福島県内の放射能の強度汚染地域にも、官公庁の特権を行使して立ち入って、スギの組織を採取して、その途中経過の測定データの一部を公開した。遅まきながら、世論に押されて気が付いたあとの迅速性は買いたい。林野町のホームページに掲載されている。
   

 

スギ花粉のセシウム「健康への影響非常に小さい」林野庁調査 2011/12/28 13:15

   スギの雄花とその内部の花粉に含まれる放射性セシウム濃度を調査している林野庁は、20111227日、福島県内の87か所の調査結果を中間報告として発表した。その結果、スギの雄花に含まれる放射性セシウムの濃度は、最も高いスギ林で1キログラムあたり約25万ベクレルで、仮に同じ濃度の花粉を人が吸入したとしても、1時間あたり 0.000192マイクロシーベルト程度となり、「人の健康への影響度合いは非常に小さい」としている。

   農林水産省等は、放射性セシウムがどの程度花粉に存在するかは明らかになっていないことから、20111125日より、福島県ほか関東・東北15都県のスギ林182か所で調査を開始した。

   福島県内87か所以外の、残り95か所のスギ林から採取した雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査も進めており、すべての調査結果の取りまとめは、20122月上旬に公表する予定だ。

 

 

  そこで、早速この林野庁のホームページにアクセスして、公開されている数値データを下の図1のようにグラフ化してみた。



kafunn.png  

 

 

(図1) 福島県の放射能汚染地域のスギのセシウム汚染値(林野庁データより作成した。縦軸の単位は:ベクレル/kg)

 

これを見ると、スギの旧葉に付着した福島第一原発由来の放射性降下物(フォールアウト)である放射性セシウムは花粉に転流しているが、新葉や雄果(花粉を作る組織)のセシウム濃度と同じレベルであり、特にセシウムが花粉に積極的に濃縮されるということはない、ということである。

     

林野庁は荒っぽい計算をして、この程度の濃度の花粉が呼気から吸入されても、人体に影響がないと早速結論を出している。が、これは行き過ぎであろう。林野庁が健康被害の是非という医学的知見まで言及すべきでない。一端スギ花粉が呼気から肺胞に吸入された場合にどういう挙動をするのか、わかって云っているのだろうか?

     

最近の知見では、半減期が長いプルトニウムは肺に沈積して、生涯そのアルファ線で肺組織をヒットし続け、晩発性肺ガンになることが指摘されているのだから。

   

(森敏)

 
          

付記:以下スギの木の身になって考えてみました。
 

今回のデータから計算すると、スギ花粉の放射性セシウム濃度はスギの旧葉の放射性セシウム濃度の 3.4 ~ 12.4% です。これは結構高い濃度比だと思います。

  花粉(精子)形成の期間にこんな高い濃度(数値としては、約
4500-45000ベクレル/kg)でガンマ線を浴びれば、いつかは染色体異常が起こらないと思う方がおかしい。授精障害や授精しても種子発芽後の奇形化が起こる可能性があるでしょう。
 
  この細胞分裂がきわめて活発な発生段階での放射線障害の危険性については、スギの雌果の卵子からできる種子自身の放射性セシウム濃度が高かった、という観点からも、少し以前のWINEPブログで指摘しておきました。
   
 要するに、スギの生殖細胞が放射線障害の危険にさらされていることは確実です。

秘密

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