2011-11-18 09:03 | カテゴリ:未分類

文科省が産業界からの要請で、大学院設置基準を変えるつもりらしい。特定の専門分野ばかりでなく幅広い知識を持った学生を養成したいとのことである。以下の記事である。

 

大学院、来年度から修士論文不要に 試験などで審査 2100/10/26 22:07

文部科学省は26日、大学院で修士論文を作成しなくても修士号を取得できるよう省令を改正する方針を決めた。博士号取得を目指す大学院生が主な対象で、論文の代わりに専攻だけでなく関連分野も含めた幅広い知識を問う筆記試験などを課す。大学院の早い段階から専門分野に閉じこもるのを防ぎ、広い視野を持つ人材を育てる狙い。来年度から適用する。

 現在の大学院教育は、2年間の修士課程と3年間の博士課程に分かれるのが一般的。省令の大学院設置基準では修士論文を提出して審査に合格することが事実上、修士課程を修了する条件になっている。

 文科省は同基準を改正。「博士論文研究基礎力審査」と呼ぶ試験に合格すれば修士号を得られるようにする。審査は筆記と面接で、博士課程で学ぶのに必要な専門分野と関連分野の知識、研究を自力で進める力などを判定する。

 修士課程2年の春から夏に筆記、冬に面接を行うことを想定。博士課程は別の大学院に進みたい場合、入試も受ける必要がある。博士課程に進まず就職する大学院生も多いことなどから、修士論文の提出を条件とする従来方式も認める。

 修士論文を実質的に不要にするのは広い視野と能力を持った人材を育てるのが狙い。従来の修士課程は論文作成のため早い段階から特定の研究室に所属して研究テーマを絞ることが多く、博士課程を終えても産業界から「専門分野には詳しいが応用が利かず、使いにくい」と評価されてきた。

 同省は審査の導入に合わせ、修士課程の教育内容の見直しを各大学に促す。院生が分野を超えて複数の研究室で学べるようにし、専門だけでなく関連する分野の知識も身に付けさせる。将来的には5年一貫教育で博士号の取得を目指すコースを普及させたい考えだ。

 大学院設置基準の改正案については年明けにも国民から意見を募集。その結果を踏まえて来年3月までに改正したい考えだ。

(日本経済新聞)

 

これは愚策であると思う。
      
学生には、修士課程という短い2年間でも、自らの手足を動かして、実験を通して、自然の法則性の解明に全力投球することが、科学や技術の「先駆性とはなんぞや」「独創性とはなんぞや」を理解することに必須である。 一度でも世界の最先端の研究に伍してみるべきなのである。
           
そういう物事の本質を見抜ける人物として鍛えられなければ、所 詮民間会社に行っても、長くは使い物にならないだろう。
      
 
他分野の知識も豊富な学生を育てたいのなら、単位の取得の範囲を学部の段階から多角的に義務づければいい話である。
                  
要するに今の学生には教養が足りないので応用が利かないのである。思うに、多くの大学で教養教育が崩壊しているのである。この点は大学人が強く自覚して、本気で制度改革に乗り出さなくてはならないと思う。
             
実は、中小企業ばかりでなく、大企業も含めて、日本の多くの企業は社内で新入社員をじっくりと研修させ、養成する余裕がまったくなくなってきているので、なんでも大学に負担を押し付けてくる。
                       
以上のような産業界の要請に屈して、文科省の期待するような幅広い修士課程の教育を受けた一見豊富な訳(わけ)知り顔の即戦力のある学生を、企業が採用した場合、彼/彼女はどうなるのだろうか。
         
役に立たなくなれば、当人を鬱病などに追い込んで、使い捨てにすることになるかもしれない。
              
それは企業にとっても、社員にとっても非常に不幸なことだ。

                 
「わが社は第一に人を大切にします」というスローガンを掲げる企業は多い。本当にそういうシステムを維持してほしいとおもう。
         
大学の先生方も社会からの無理難題にいい加減に疲れているのだから。
           
      

(管窺)

 

 

秘密

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