2011-11-11 08:14 | カテゴリ:未分類

小生はtwitterなるものをほとんど見ていない。

    

    しかし現代社会でこの情報手段がはやる理由は理解しているつもりだ。

   

    本WINEPブログに対して「いかにも引用文献が古い」という意見がtwitterで述べられている、ということを先日知人から聞かされた。

   

    どうやら、1955-1960年代の小生の研究室の大先輩の三井進午先生たちの論文内容(ほとんどが日本語)を、小生が盛んに引用して紹介していることに対する、twitter氏の意見らしい。

     

    小生は常日頃、学生に対しては、論文を書くときには先人の業績を正当に評価することの重要性を述べている。これは科学者としてまったく当たり前のルールである。

     

    えてして若い世代はいつも流行に目を奪われて、直近の過去の情報を拾うのに忙しいのだろうが、その問題のアイデアは果たして誰が一番最初に発信したものであるか、それを実際に実験的に証明したのはいつの時代の、だれなのか、については疑問を抱いてほしいと思う。

    

    特に最近は自然科学の分野では 「Impact Factor 」 なるものが、個人の研究評価の基準になったりしているので、過去2-3年前の論文を重視して引用する傾向が若い人には強い。

      

    この傾向は研究者の頭から過去の論文を無視する方向を加速しているように思われる。とりわけ自分の発見や発明を目立たせるために、過去の重要な研究をあえて無視する論文が時々見受けられる。

     

    これは、独創性や先駆性をきちんと評価できない次世代の研究者たちを生み出すということにつながっていると思う。若い研究者たちは、自分が行っている研究の原点が本当に先駆的なものであるのか、独創的なものであるのかを、いつも問い続けてほしいと思う。

     

    小生は今回の東電福島原発事故が起こって、直ちに過去の研究者の論文を検索したのだが、チェリノブイリ原発事故以降に研究が再開された日本の研究者の論文に、三井進午一派のビキニ原発実験以降の素晴らしい研究業績が、ほとんど引用されていないことに気が付いて、驚きを禁じ得なかった。日本の研究の流れの中で、最重要な情報が切断されているのである。

        

    日本の東電福島原発由来の放射能による稲や麦の汚染について、このブログでしばしば引用している天正・葉・三井達の諸論文には実に詳細な基礎研究が行われていて、これを凌駕する研究はまだ表れていない。いまから 60年前の研究である。

    

    ここで、付記すれば、今後日本で問題になるであろう米麦のストロンチウム(Sr) 汚染の動態も、彼らの論文では完璧に近く解明されている。

      

    だから発表年次が古いかどうかは、その論文の価値とまったく関係はないのである。

     

             

    最近、研究室の後輩が、自分が修士課程の時に行った研究を、民間企業を退職したのち、卒後40年たって、論文に仕上げてヨーロッパの一流雑誌に投稿して1ヶ月後に受理された。彼がその実験の生データ(図表は全部手書き!) を長年の間きちんと維持していたのにも驚いたのだが、その抱き続けた執念にはさらに驚いた。自分の研究成果の独創性(オリジナリテイ)に確信を持ち続けていたのである。

     

    実は、この論文は、ヨーロッパの雑誌に投稿する前には、日本の植物関連の英文の一流雑誌に投稿したものである。ところがなんと冷酷にもわずか2日後に(!)「掲載不可(reject)」の通知を受けたということである。40年も前の研究ということで、ろくに読みもせずに無条件に却下したのだろう。

      

    最近のこの日本の英文雑誌の 「Impact factor 」 を上げることに汲々としている編集方針からすると、編集長は、この後輩のきらりと光るアイデアを、他の編集者にも回さずに、一瞥のもとに切り捨てたのであろう。

    

       (もっと語りたいが、今日はここまで)

     

   

(森敏)

追記: ここで述べました 「Impacr Factor」の定義はWikipediaによれば、以下のとおりです。

インパクトファクターは Web of Science の収録雑誌の3年分のデータを用いて計算される。たとえばある雑誌の2004年のインパクトファクターは2002年と2003年の論文数、2004年のその雑誌の被引用回数から次のように求める。

A = 対象の雑誌が2002年に掲載した論文数
B = 対象の雑誌が2003年に掲載した論文数
C = 対象の雑誌が2002年・2003年に掲載した論文が、2004年に引用された延べ回数
C÷(A+B) = 2004年のインパクトファクター
秘密

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