2011-11-04 08:24 | カテゴリ:未分類

下記の記事のベラルーシのアベリン所長の意見は、まったく正しい意見です。しかし、正しくない面もあります。 その点を簡単に説明したいと思います。

  

農地の除染に懐疑的 ベラルーシの研究所

2011.11.3.16:09

福島県のチェルノブイリ原発事故調査団は2日午後、ベラルーシの国立放射線学研究所を訪れ、農業の現状について意見交換した。同研究所のアベリン所長は「農地の表土を削って除染すると、土地の肥沃度が下がってしまい農地として使えなくなる」と述べ、東京電力福島第1原発事故で汚染された農地の除染に懐疑的な考えを示した。

 チェルノブイリ原発があるウクライナの隣国で、深刻な被害が及んだベラルーシでの除染について、アベリン所長は「幼稚園や学校など人が集まる場所では実施したが、農地ではやらなかった」と紹介。

 その上で「農地を死なせず、内部被ばくを防ぐことが重要で、高濃度の汚染地域では食料とはしない作物を作付けすることが大事だ」と強調した。

 調査団長の清水修二福島大副学長は意見交換を終え「われわれがこれからやらなければならないことについて明確で具体的なヒントが得られた」と話した。(共同)

 

1.    畑の作物については、除染のために5センチも表土をえぐり取ると土壌の「肥沃度」が極端に低下するでしょう。積年の土壌有機物や微生物相が極端に低下するので、これらが維持している土壌圏の「ストレス緩衝能」が低下して、いくら化学肥料や農薬で創意工夫しても作物の収量が激減するでしょう。それを取り戻す(熟畑化)するには少なくとも10年以上はかかるでしょう。それも、放射能汚染していない落ち葉堆肥や厩肥が身近に使えることを前提とした話です。だから、放射能の除染はせずに、ひとびとが口にしない、ヒマワリ、菜種などのバイオデイーゼル用油糧作物を作る方向性の指摘は適切です。

2.    しかし、以上の話は畑に対してであって、水田の場合は少し異なります。除染のために水田土壌を5センチ削ると肥沃度は低下するでしょう。しかし水田の残された10センチの作土層には微生物が豊富に残っています。ですから、湛水して土壌を代掻き{撹拌}すれば、微生物相は徐々に回復するはずです。その後の湛水状態では太陽光線を浴びて光合成細菌や藻類の光合成が活発に行われるので、有機物の土壌への附加が行われやすく、数年のうちに土壌圏の緩衝能が原状復帰できる可能性が高いからです。 

     西欧諸国に日本から調査団を派遣して農業のお勉強に行くときは、西欧圏の研究者が、畑作には詳しくても、水田稲作(したがって、水田土壌科学)には貧困な知識しか持たないことに、常に留意すべきです。

今回の農業調査団にだれが農業関係者として参加したのか存じ上げませんが、稲作をやっている人ならば、ここで指摘したことぐらいはすぐにわかるはずです。

水田の放射能除染のために、表土を剥離することは、一時の収量低下があっても、日本が培ってきた水田稲作技術体系があれば、数年で回復すると思います。ですから国は自信を持って田んぼの除染に取り組むべきです。 
 
(森敏)

秘密

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