2011-10-31 12:36 | カテゴリ:未分類

     先日、ジョロウグモへの放射性銀の1000倍にも上る生物濃縮現象を報告した。

当初から危惧したとおり、下記の新聞報道に見るように、野生の大型動物への汚染は予想以上に早いようである。
 

これまでの野生動物が食する木の実などは、主として東電福島原発からの放射能が葉や幹に直接汚染したものが木の新芽や果実に転流してきたものと思われる。

カモシカなどはその直接汚染した樹皮をもろに食しているだろう。クマなどは冬眠に備えて大量の木の実(うばめがし、えのき、スダジイ、マテバシイ,コナラ、クヌギ、カシワなど野生のどんぐり)を食しているだろう。木の実は農家が養殖しているクリなどが出荷禁止になったことから見ても強く汚染されている地域があることが危惧される。
 

イノシシなどは、もっとも放射性セシウムの移行係数が高い野生のキノコを好んで食するので、キノコが生え始めた6月ごろから高濃度汚染し始めた可能性が高い。その上、イノシシは同じ属の豚が鼻で土をほじくってトリュフを掘り当てるように、その作業の時に強く放射能汚染した森林の表土を直接経口摂取している可能性が高い。
  

来年以降は、落葉広葉樹では汚染土壌から吸収されて地上部に移行しやすい元素が主要な汚染源になるだろう。針葉樹では依然として、葉からの転流が主な移行ルートであろう。(だから一度は早く落葉させなければならない!)
  

放射性銀の生物濃縮に象徴されるように、東電福島原発由来の放射性物質には超微量であるが未同定の化合物がたくさんあるはずである。汚染土壌を分析すると、ゲルマニウム(Ge)半導体検出器で検出される未知ピークはたくさんある。
      
    それら以外に、ストロンチウム(Sr90,Sr89)のように、ベータ線を出して崩壊する核種のものは、非常に分離精製の手間がかかるので、現在のところ、未同定であると思う(核科学者は同定していると言うかも知れないが、小生は知らない)。
     

銀の場合のように、原子炉の制御棒の被覆管を形成する中性子減速用の金属が中性子を吸収して崩壊する核種が問題でもあるのだ。原子爆弾のU-235による核分裂反応で出てくる I,Cs,Sr等以外の放射性元素も原子炉爆発からは出てくるのだということが、生物濃縮を考える際に忘れてはならない観点である.

  

ストロンチウムはカルシウム(Ca)系列(周期律表の2A系列)で、Caと同様に体内で行動し骨に沈着して長くとどまるので、内部被ばくが問題であることは、よく知られていることである。
         
    この放射能の濃縮はカルシウムによる骨格を有する脊椎動物や人では今後は徐々に問題になってくるだろう。きちんと調べれば、すでに土壌をはいずりまわっているネズミ、モグラ、リスはかなりのストロンチウム汚染を示しているのではないだろうか。ベータ線の分析に手が回らないだけであろう。
       

ストロンチウムはセシウムに比べれば植物での土壌からの吸収はるかに容易である。ストロンチウムの土壌吸着がセシウムのように、植物が吸収できない土壌固着現象に至らないからである。さらに吸収されたストロンチウムイオンはセシウムイオンよりも一桁地上部に移行しやすいのである。 
        

今回、東電福島原発からのストロンチウムの放出量がセシウムの1%以下であるということが報道されているが、それは安心材料ではない。時間をかけた生物濃縮の過程では一桁や二桁の濃縮は容易に達成される。だから、これからは、Srを含めて、自然界における未知の放射性同位元素の行方が、もっと厳しく追及されなければならない。SrはCs同様に29年という長い半減期だからとりわけ重要な核種である。 

拡がる野生動物への汚染 解禁目前、狩猟者は困惑 2011.10.29.22:05

 福島県を中心にした東日本で、イノシシやシカなど野生動物への放射能汚染が広がっている。11月の狩猟解禁を控え、関係自治体は「捕っても肉を食べないで」と呼びかけたり猟友会が狩猟者登録を控えるなどの動きが出ている。

 各自治体はサンプル調査で鳥獣を捕獲し汚染量を調べているが、そもそも野生動物は歩き回ったり飛び回ったりするため、「正確な実態が分かりにくい」と頭を悩ませる。年明けに本格化する除染作業も、山間部の優先順位は、都市部よりも後回しになりそうなことも、狩猟関係者の悩みの種となっている。

 栃木県日光市で8月に捕獲された野生のツキノワグマの肉から、肉類に対する国の暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える677ベクレルの放射性セシウムが今月12日、検出された。県では「汚染された果実などを食べて体内濃縮されたのでは」とみている。イノシシやシカでも汚染が確認され、範囲も茨城、栃木、宮城と広域にわたっている。

 そんな中、北海道を除く各地で11月から相次いで狩猟解禁が予定されている。環境省は「捕獲された野生動物は除染が必要なレベルより極小で、現時点で触っても問題はない」と時期の見直しはしない考えだ。

 ただ、自治体側の不安は強く、福島県は今月14日、「狩猟の皆様へ」と題した文書を作成。イノシシ肉を食べないよう呼びかけているほか、キジ、ヤマドリなどの鳥類についても、モニタリング結果を注視してほしいと注意を呼びかけた。

 福島県自然保護課では「動物は動き回るため、狩猟できる地域、できない地域を限定できないところが苦しい」と問題の難しさを語っている。

 毎年、福島県には約4400人の狩猟者が登録されているが、猟友会は今年の登録を差し控えている。宮城県でも毎年2千人ほどの登録があるが、県が「慎重な対応」を呼びかけているため、今年の登録は低調気味だという。

 福島県猟友会の阿部多一会長(79)は「前代未聞の事態だ。会員も猟ができるか心配している」と話している。(天野健作)


(森敏)
 
追記:その後次の記事が載った。

 

福島のイノシシ摂取制限=規制値10倍超のセシウムー政府

政府は9日、福島県の相馬市など12市町村で捕獲された、イノシシの肉の摂取制限と出荷停止を県知事に指示した。相馬市のイノシシ肉から、食品衛生法の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)の10倍を超える5720ベクレルの放射性セシウムが検出されたため。(2011/11/09-19:56  jijicom

  

 

 

   

この記事に見られるようにイノシシは急速な汚染が進行しているようです。これは野生の哺乳動物では恐るべき濃縮のスピードであると思います。先に述べましたように、植物の中では最もセシウムの土壌からの「移行係数」が高いキノコ類が、イノシシ体の主要な放射性セシウム汚染源と想像します。
   
イノシシの体内で放射性セシウムイオン(Cs+)はほとんどカリウムイオン(K+)と同じようにカリウムイオン・チャネルを通して細胞膜輸送されて、各組織へ代謝されて、最終的に筋肉にもっとも蓄積しているのではないでしょうか。筋肉の運動にはカリウムイオンが必須であることは、これまでも多くの諸兄が述べている通りです。
 

秘密

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