2008-05-31 11:03 | カテゴリ:未分類

クロルピクリン

 

救急車で病院に運ばれた患者が「ピクリン!」という言葉を発したが、その名前から「クロルピクリン」を医師が同定できなくて解毒対策が立てられずに、自殺志願の患者は絶命し、その患者の<おう吐物>からのガスをまわりの医療関係者が吸って、数十人が被害を受けたと、先日のニュースで報じられている。

 

これで思ったのだが、医師の授業には、医薬品の薬効に関する「薬理学」があるはずであるが、「毒物学」の授業はないのであろうか? 少なくとも自殺や薬害を想定した農薬学の授業は必要ではないだろうか? その上に少しでも農業のことを知っていれば化合物名「クロルピクリン」ぐらいは土壌薫蒸剤として常識であると思われるのだが。教養課程で有機化学を学んでいればピクリンといえばピクリン酸とかクロルピクリンを連想してもいいと思うが。

 

有機リン系農薬、有機塩素系農薬などの農薬の名前とその毒性と解毒対策は、臨床の現場ではマニュアル化しておくべきであろう。

 

日本では、1972-3年までは急性毒の強い農薬が使われていたので、特に農村地帯での病院では、農薬中毒患者が頻繁に訪れるので、応急処置対策は万全であったと思料する(小生のブログ「ジクロルボス(DDVP)に思う守住正昭さんのこと」を読んでもらいたい)。しかし、現在では都会の病院に運ばれてくる農薬中毒患者はよほど意図的な自殺願望患者以外は希(まれ)なので次第に対策が手薄になってきたものと思われる。

 

農薬の代わりに、洗剤混入方式による硫化水素中毒や練炭による一酸化炭素中毒などを使った緩慢な自殺が都市型自殺として増えているので、こういう古典的な毒ガスに対しては医師達の救急対策の腕はあがっていると思いたい。

 

 (森敏)

 

秘密

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