2011-09-27 07:30 | カテゴリ:未分類

小麦BAS-- 
小麦の放射性セシウム汚染ラジオオートグラフ。
つぶつぶは玄麦と、護頴(もみ殻)。 

   
IMG_2464--.jpg 
上のBASの感光に使った小麦の写真 
        

    一時、「飼料としての昨年収穫の稲わら」の高濃度セシウム降下汚染が問題になった時があったが、それでは今夏に収穫した麦わらはどのように使われているのだろうか?

        

    さきのWINEPブログでも紹介しておいたが、オオムギの種子がセシウム汚染されていることが、すでに、ひたちなか市、つくばみらい市、行方市、東海市などで茨城県の調査で判明している。

 

    福島県でも次表のように小麦種子(玄麦)での100ベクレル/kg以上の汚染がホームページで公表されている(小生が整理したもの)。総セシウム含量(Cs134+Cs137)で食品規制値の500ベクレル/kgを越えた場所がある。広野町の630ベクレル/kgである。

        

     第1表

福島農業総合センターのデータから

(9月15日までの分)

 

Cs134

Cs137

広野町

310

320

南相馬郡a

220

260

南相馬群b

120

150

南相馬群c

63

61

いわき市a

92

110

 いわき市b

70

80

 いわき市c

56

66

福島市

53

65

単位:Bq/kg

        

 

    福島県では、実は麦わらに関しても以下の第2表のデータが報告されている(小生が整理したもの)。

             

      第2表

福島農業総合センター 麦わら汚染

 

Cs134

Cs137

南相馬市

130

130

南相馬市

75

75

広野町

1000

1200

福島市

65

87

単位:Bq/kg

        

    広野町の麦わらは、総セシウム量2200Bq/kgという、高い値を示している。この第2表の広野町の農家の小麦のデータは、第1表の広野町とおなじ農家の小麦と思われる。そこで、麦ワラ/玄麦の比、を計算すると、2200/630=3.49倍、となり、麦わらは玄麦の約3.5倍の濃度のセシウム汚染を示している。

              

  実は小麦に関してはすでに1961年に、天正清・葉可霖・三井進午(付記2を参照)によって以下の第3表のように、放射性セシウム(Cs134)を用いて経根吸収させたセシウムの体内分布に関する詳細な研究が成されている。
 
             

            第3表

作物対部位

134Cs濃度(対風乾物)

134Cs吸収量

 

c.p.m./g

指数

c.p.m./pot

分布比(%)

玄麦

20.5

1

757

1

護頴

72.2

3.5

736

0.97

穂梗

75.6

3.7

197

0.26

葉身

147

7.2

1720

2.27

葉鞘

75

3.7

655

0.87

29.8

1.5

92.7

0.12

節間

20.7

1

329

0.43

     

    

  この天正らのデータから想像すると、通常小麦わらは玄麦の数倍の放射性セシウム濃度を示す。なので、広野町のデータはおおむね妥当な数値である。
      
  問題は、表1のように100ベクレル以上の玄麦のセシウム濃度を示す小麦のばあい、そのわらは、優に300ベクレルという飼料としての規制値を軽くオーバーしているはずである。であるのにそういうデータが公表されていない。今回、各県では当然玄麦ばかりでなく、麦わら等の放射能汚染を調べているはずであるにもかかわらず。
        
  東大の田野井ら(付記3参照)によれば、今年収穫された小麦の下葉で東電福島原発暴発のときに出葉していたものは、猛烈な直接被爆をしているので、その後に得られた玄麦とはけた違いのセシウム濃度を示している。

    
  今年の小麦の収穫当時、麦わらの飼料への使用に関しては、行政側からの警告がなかったので、放射能汚染麦わらを牛や馬に食べさせたり敷き藁にしたりした農家がいたのではないだろうか。現在、行政指導がきちんと行われているのだろうか。
心配だ。
              
  麦と同じことが現在全国で収穫されつつあるイネのワラについても云えることである。玄米で100ベクレル/kg前後を示した農家の稲ワラは数倍のセシウム濃度の稲わらになっているはずなので、家畜の飼料としても要注意である。(このことに関しては後日報告したい)

   
                                

(森敏)

                       

付記1:飯舘村を車で走ると、麦を収穫せずに放置して避難した農家の小麦畑が見受けられた。それを採取して、BASで感光したものが、冒頭のラジオオートグラフである。全身がセシウム汚染していることがわかる。撮影に関しては中西啓仁東大特任准教授の協力を得た。
      
付記2:天正清・葉可霖・三井進午 「小麦およびソラ豆による土壌よりの90Sr, 134Csの吸収と作物体内の分布」 日本土壌肥料学雑誌 32巻111-114頁(1961年)
 
付記3: 田野井慶太朗、橋本 健、桜井健太、二瓶直登、小野勇治、中西友子福島県における降下した放射性物質のコムギ組織別イメージングとセシウム134およびセシウム137の定量 60巻No.8、317-322(2011)

秘密

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