2011-09-24 19:11 | カテゴリ:未分類

 以下に、昨日から二本松市で大問題になっている、500ベクレル/Kg セシウム含有玄米が、なぜ生じたのか について、現在までの考えられる限りの可能性を列挙してみた。現場の技術者には、消去法でこれらの項目を検討してみていただければありがたい。

     

1.      豪雨や、台風で田んぼが水没したり、風でイネが倒伏して穂が直接土に触れた場合には、穂から放射性セシウムを直接吸収して急速に玄米に移行させうる。穂がセシウムを吸収することは、過去の原水爆実験による放射性降下物(フォールアウト)の研究から分かっている。

   

2.      放射性セシウムは、粘土やシルト(壌土)など細かい土壌粒子に結合している。そういうデータは、これまでもたくさん報告されている。だから粗砂が多い土壌ではセシウムの土壌吸着力が低く、稲の根から吸われやすい。根圏環境が水耕栽培に、より近くなる。

    

3.      カドミウム汚染地では出穂期前後2-3週間は水を落とさない、すなわち湛水し続ける方法が「カドミウムをイネに吸収させない技法」として、これまで農水省から奨励されてきた。もし、この期間に湛水を続けると、土壌の還元が進んで、アンモニウムイオンが土壌溶液中の主たる可溶性窒素成分となり、土壌と結合しているセシウムイオンと交換して、セシウムイオンがフリーになるので稲に吸収され玄米に移行されやすくなる。

   

4.      イネの根にセシウム自身のトランスポーター(膜輸送体)があるかどうかが現在のところ不明であるが、セシウムイオンはカリウムイオンのトランスポーターを使っても根に取り込まれることがわかっている。カリウム施肥量が少ないと、カリウムトランスポーターの遺伝子発現が誘導されて、放射性セシウムが吸収される量が高まる。

    

5.      基肥段階からアンモニア系肥料のみを多投したり、穂肥や実肥にアンモニア系肥料を追肥したばあいは、生育の全期間にわたってアンモニウムイオンが放射性セシウムを土壌から遊離するので、全生育期間にわたってセシウムがイネに吸収されやすくなる。

   

6.      山が近くにあって多雨などの場合に、湧水から森林表層の有機物や浮遊粘土と結合した放射性セシウムが灌漑水と一緒に田んぼに流れ込むと、これらが新しい可溶性の放射性セシウムの供給源になりうる。灌漑水で検出限界以下の極低濃度の放射性セシュムでも、土壌溶液中の非放射性同位体セシウム濃度が低い場合はイネでは数万倍に放射性セシウムは生物濃縮されうる。

   

7.      イネの登熟期に森林などから絶えず放射性セシウムが田面に風などで埃(ほこ)りとして降下供給されると、穂からの直接吸収の寄与が高まる。

    

8.      品種「ひとめぼれ」はセシウムイオンを玄米に移行させやすい変異株かもしれない。

    

 

(森敏)

秘密

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