2011-09-23 23:45 | カテゴリ:未分類

    危惧していたことが現実となった。これまで福島県は比較的放射性セシウム汚染濃度の低い30キロ圏周辺の水田地帯の玄米を分析しておおむね100ベクレル以下であると胸をなでおろしてきた。最近はしだいに、濃厚汚染地帯の水田のコメの分析に至っているようである。その結果が今日の以下の報道である。

   

 

コメの予備調査で500ベクレル検出 福島・二本松市、監視強化(2011.9.23.21:11)

福島県は23日、同県二本松市で実施した収穫前の一般米の予備調査で、暫定基準値ちょうどの1キログラム当たり500ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。

 予備調査であり、暫定基準値を超えていないため出荷自粛の対象とはならないが、県は二本松市を今後実施する本調査では重点調査区域に指定、調査地点を大幅に増やし監視を強化する。

 500ベクレルが検出されたのは、二本松市の旧小浜町で採取した一般米の玄米。本調査で500ベクレルを超えた場合は旧市町村ごとに出荷が制限される。

 
   

 

  これまでも以下のような100ベクレル前後のところがあった。

 Cs134+Cs137
場所Bq/kg
浅川町a83
朝倉町b80
旧小国町136
旧久の浜町124
国見町91
棚倉町99
川俣町62
二本松市a61
二本松市b58
二本松市c85
二本松市d500
相馬市
(旧玉野村a)
154
 (旧玉野村b)103
福島市(旧庭塚村)65

(9月18日現在福島県測定)
赤字は今回発表のもの。

      

  セシウム濃度100ベクレル/kg前後でも、従来の玄米の<移行係数>から推測すると高すぎる値だと思っているのだが。。。今後、さらに仔細に調べれば、何カ所からかまだ500ベクレル/kgを超える値の稲作地域がでてくる可能性を否定できない。
 
  今回の値は特殊例なので、前にも述べたが、なぜこういう値になったのかを、栽培技術や周辺環境を徹底的に調べて、来年からは放射能を吸収させないコメつくりの一般的な技法に結びつける必要があるだろう。
 
  小生が台風の前日に、福島で見聞したところでは、まだ刈り取っていない田んぼで、すでに、べたーとイネが倒伏している水田が結構あった。
 
  こういう水田は明らかに窒素過剰施肥であったと推測される。この夏は太陽光線がつよいので、これらの水田農家はさらなる収量増をめざして、登熟期も湛水して即効性のアンモニア系肥料を「穂肥(ほごえ)」や「実肥(みごえ)」としてやった可能性がある。 
   
  施肥したアンモニウムイオンは粘土鉱物とイオン吸着したセシウムイオンと容易に置き換わるので、そのときに遊離してきた放射性セシウムイオンを急激にイネが吸ったのかもしれない。(土壌でのこの反応に関しては、すでにWINEPブログのあちこちで述べておいた)
        
(森敏)
 
追記1:この文章を書いた後でネットにアップされた他紙の内容では
品種は「ひとめぼれ」で、この水田土壌の放射性セシュム濃度は3000ベクレル/kgであった。
 
これがほんとだとすると
(玄米500ベクレル)/(土壌3000ベクレル)=移行係数0.17となる。

だから、もしこの事実に再現性があれば、ここで行使した栽培手法で、5年間水田耕作を続ければ、ここの水田土壌の放射性セシウムはゼロ近くに減らせることになるだろう。これまで発表されたどんな植物よりも「品種ひとめぼれ」自身が効率的なセシウム汚染水田のファイトレメデイエーションに最適な作物ということになる。
  
 
追記2:動揺が広がっている。

 二本松産米:「何かの間違いでは」農家に動揺 規制値検出

「何かの間違いではないか」。新米の予備検査で国の暫定規制値と同じ1キロ当たり500ベクレルの放射性セシウムが検出された福島県二本松市で、稲作農家の間に動揺が広がった。同市の三保恵一市長は23日、毎日新聞の取材に「仮に今後の本検査で規制値を超えれば、市場へは絶対に流さない」と語り、汚染米の流通阻止に全力で取り組む姿勢を強調した。それでも県産米の風評被害が強まるのは必至で、福島の厳しい試練が続く。【前谷宏、河津啓介、結城かほる、山田毅】

 500ベクレルの値が出た二本松市南東部の小浜地区(旧小浜町)は山あいの純農村地帯で、稲作農家611戸、水田面積は112ヘクタール。

 「ショックです。これからどうなってしまうのか」。同地区の農家の女性(54)はため息をついた。買ってもらえるか不安を抱えながらの田植えだった。ようやく稲穂が実ったが、21日夜の台風15号の豪雨で一部が水につかる被害を受けた。

 それでも気を取り直し、残った稲を24日にも刈り取ろうと思っていた。「これから何年もコメは作れないかもしれない。(東京電力福島第1原発の)事故さえなければ、この辺は何もない、平和なところなのに……」と肩を落とした。

 別地区の農家の男性(59)は検査結果に「信じられない」と驚き、「(特定の場所で)なぜそんなに飛び抜けて高い数値が出るか分からない。本検査の結果を早く知りたい」と不安を吐露。「今年の県産米は半値しかつかないと言われているが、これでさらにひどくなる」と嘆いた。

 同市の三保市長は23日夕、市幹部から知らせを受け、市と地元JAなどによる緊急の対策会議を24日に開くことを決めた。結果について「厳粛に受け止めるが、具体的な対策は本検査の結果を待って決める。あらゆる検査結果を情報公開し、国民の安全安心を守ることが産地の義務で、風評被害を克服する唯一の道だ」と語った。

 だが、稲作農家の衝撃は大きい。小浜地区から遠くない市内の専業農家、近藤恵さん(31)は「これで完全に風評被害が出る」とため息をついた。既に今年のコメ購入をキャンセルする客も出ている。「お金の補償だけでは済まない。我々は客の信用を失った。今は先が見えず、希望をなくした状態。なぜ小浜でこれだけのセシウムが出たのか、せめてきちんと分析してほしい」と訴えた。

 地元の「みちのく安達農協」の斎藤道雄組合長(70)は「早場米は無事に出荷でき、これまでの検査で問題はなく安心していたが、大変なことになった。農家には何の落ち度もない。原発がなければこういうことにはならなかった」と怒りをあらわにした。 
  

追記3: NHKニュースでは学習院大学の村松康行教授は「今回の土壌は砂の割合が高かったのでその分放射能が米に移行しやすかったのではないか」と述べている。これはうがった見方である。村松氏は福島県のアドバイザーを務めているので、そういう情報がいち早く得られやすいのだろう。(9月24日15時記)

 追記4:

 「収穫がこんなに悲しいなんて」 二本松で米本調査

収穫前の一般米の放射性物質予備調査で一定水準を超える放射性セシウムが検出され、県内で唯一、重点調査区域指定を受けた二本松市で3日、本調査が始まった。288カ所の水田が対象で、初日は約50検体が採取された。県北農林事務所安達農業普及所によると、7日までに検体採取を終え、中旬には全検査を終了させる見通しだが、農作業の進捗(しんちょく)次第で遅れる可能性も指摘されている。検査結果で出荷できない地域が出てくる恐れもあり、生産農家は不安な気持ちを抱きながら収穫作業に追われている。
 「一生懸命育てた稲の収穫がこんなに悲しいなんて。どんな結果が出るか不安でたまらない。放射性物質をまき散らした東京電力や国の責任は重い」。予備調査で一定水準を超えるコメを生産した同市・旧小浜町の男性(56)は、表情を曇らせながら、本調査に検体を出す稲刈りを行った。同じく旧小浜町の50代の農業男性は国に対して「この苦境を何とかしてもらいたい」と語気を強める。(2011年10月4日 福島民友ニュース)


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