2011-09-10 20:04 | カテゴリ:未分類

以下の福島民報の記事にあるように、福島農業総合センターの試験研究では、53000ベクレルという高濃度セシウム汚染土壌でも最大80ベクレルの汚染玄米しか取れなかったと言っている。これは多分ポット試験の結果だろう。こういう結果はすでに60年前に東大の肥料学教室(現植物栄養・肥料学研究室)の天正清らのポット試験の論文で証明されていることで、学問的には新しことではない。今回はそれを再確認したものである。

    

しかし、こういう報告の一方で、以下の産経ニュースでは実際の今年の農家の玄米が棚倉町の1検体で同98ベクレルを示したことが、おなじ福島県の農業総合センターから報告されている。

 

この棚倉町の農家の土壌の放射性セシウム汚染値が何ベクレルであったか、分析値が示されていないので、この比較的高い玄米セシウム濃度になった理由についてはうかつな判断はできない。しかし県の農業総合センターは近くに山などがありセシウムを含む雨水が集まった可能性がある」とコメントしている。
  
    この話を深読みすれば、東電福島原発爆発当時に土壌の表層に直接降った放射性セシウム以外に、栽培期間中に放射性セシウム汚染した森林から流れてきた水がため池などにたまって、その用水から流れ込んだ放射性セシウムが水稲に吸収された分の寄与があったのではないかと疑っているのかもしれない。

 

この指摘は、小生にとっても想定外!の意表を突く新鮮な見解である。近くに山などがあれば、用水から放射性セシウムが粘土などの浮遊物として運ばれてきて、その粘土とゆるくイオン結合しているセシウムが、根から吸収されやすくなっているのかもしれないのである。

  

上記の県の農業総合センターのポット試験では、まさかポットに灌水するときに薄い放射性セシウムを与えているわけではあるまい。だからポット試験と野外(フィールド)試験の違いを的確に判断する必要がある。
 
  野外ではお米の栽培期間中に何が起こっているかわからない。その上農家がどういう栽培を行っているのかも県の農業総合センターの職員はわからないだろう。だから、一概に、センターがやったポット試験の結果を、直ちに野外に一般化することは非常に危険である。

  

すでに先日のwinepブログでも述べておいたが、今年の玄米の放射性セシウム含量が比較的高かった地区に関しては、水田土壌の放射性セシウム含量・付近の地形・栽培体系(施肥肥料、稲の品種、湛水時期や落水時期など)などをきちんと、網羅的に聞き取り調査して把握しておくことが非常に重要になってきたと思われる。彼らセンターの職員は十分にわかっていると思うが。

 
      

玄米から検出は微量 県農業総合センターが栽培試験 

 高濃度の放射性物質を含む土壌でコメを栽培しても、玄米からの検出量はわずかであることが県農業総合センターの試験で分かった。9日に郡山市の同センターで開かれた農業分野における放射性物質試験研究の成果説明会で報告された。
 水稲の試験は県内水田の約50%を占める灰色低地土を使い、放射性物質濃度が1キロ当たり2000ベクレルから6万3000ベクレルの土壌を人工的に作って行った。玄米を調べた結果、最大80ベクレルで、暫定基準値(500ベクレル)を大幅に下回った。土壌から玄米への放射性物質の移行率は0・5%から1・5%だった。
 県農業総合センターの担当者は「水稲は高濃度の土でも放射性物質の移行が低いことが分かった。早場米や一般米の検査でも基準値は超えていないが、この結果で消費者はより安心できるはず」とした。ただ、「灰色低地土に比べ、他の土は移行率が数倍の場合もある。土によって異なる点は注意が必要」と付け加えた。
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(福島民報2011/09/10 10:16)

 

 

 

 福島の早場米、すべて基準値下回る 一般米で微量セシウム(産経ニュース2011.9.9 21:52) 福島県は9日、県内の20市町村101地点で行っていた早場米の緊急時モニタリング検査を終えた。全検体が放射性セシウムの暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)を下回った。福島、二本松市など計10検体で微量(同10~41ベクレル)のセシウムが検出された。これを受けて全県の栽培農家で早場米の出荷が認められた。

 刈り入れが本格化する一般米も、9日から予備検査の結果公表を始めた。初日は6市町村51検体のうち、棚倉町の1検体で同98ベクレル、塙町の1検体で同14ベクレルの放射性セシウムを検出。棚倉町の検体について、県は「近くに山などがありセシウムを含む雨水が集まった可能性がある」としている。:::::::

 

(森敏)

付記:この記事を書いたすぐ後にでた「福島民友ニュース」では、この棚倉町のお米の放射能が高かったという肝心のところの解釈が以下のようになっている。小生の深読みが正しかったようである。ここから結論されることは、単に水田土壌の浄化を進めるばかりでなく、上流の沢やため池、さらにはそこに汚染水が流れ込む森林の除染をきちんとしなければならないという、自然生態系から考えれば当然の教訓である。(2011.9.10.午後11時記)

:::::::::::比較的高いセシウムが検出された棚倉町のほ場は、山間地の扇状地にあり、沢の山水を利用していた。県は、周辺の空間線量率や土壌の放射性物質濃度が低い地域であることから、森林などから流れ出るセシウムを含んだ水が影響したとみている::::::::::::(福島民友ニュース)

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