2008-05-25 06:23 | カテゴリ:未分類

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カーボンナノチューブで中皮腫とは

 

昨日のテレビニュースで「夢の新素材大量投与で中皮腫」という見出しで、<カーボンナノチューブで中皮腫が発生する>という、国立医薬品食品衛生研究所の毒性部菅野純部長による紹介があった。アスベストによる中皮腫と同等の毒性効果が確認されたようである。情報源はNature  Nanotechnology電子版である。

 

   このように、新素材が社会に大量に出回って焼却やリサイクルされる前にその発ガン毒性が未然に確認されたのは希有の例であろう。(すでに目に見えないところで深く静かに症状が進行しているのかも知れないが。。) 菅野純部長は「吸い込まないような対策を取った上で開発を進めてもらいたい」と勧告している。この成果は研究者や産業界にとっても慎重な開発プロセスを要求するだろう。(この実験に再現性があれば、ひょっとすると、これでカーボンナノチューブの発見に対するノーベル賞の芽はなくなったかもしれない)

 

一方アスベストに関してはこれまでにクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青色綿)、アモサイト(茶石綿)の3種があるうちの、鉄含量が高いクロシドライトとアモサイトが人において発癌性が高いことが疫学的に示されてきた。しかしどのような機序がアスベスト誘発発癌のメカニズムなのかは未だに不明である。これに対して人の鉄栄養研究者はアスベストに含まれる鉄がフリーラジカルを発生し続けて、それが細胞内DNAを損傷して、遺伝子変異を誘発して発癌(中皮腫)に至ると推定してきた。(京都大学 豊國伸哉教授による) 

 

しかし、アスベストばかりでなくカーボンナノチューブでも中皮腫が発生すると言うことは、ナノレベルの針状物質が物理的に胸膜の中皮細胞に刺さって抜けないという異物による物理的刺激が、人のばあい20-30年の間に発癌を促すということが考えられる。この<恒常的刺激>に対して体の側がどのような反応を示すのか、その発癌のメカニズムが問われている。

 

他の部署よりも細胞の再生を強く要求されるところ(例えばひどい“やけど”の部位など)は、細胞分裂の頻度が高くなるので、細胞分裂時のDNAポリメラーゼによるDNAの読みとりエラーが起こりやすい。普段でも一定の頻度でDNAの読みとりエラー(変異)は起こっているのだが、天の采配か生物は様々な変異に対応した修復酵素を持っており、それらの酵素による修復で正しい遺伝子が継承されている。しかし上記のような異常な場合は修復が間に合わない。そのばあい、あまり重要でない変異であれば、たとえそれが次世代の細胞のDNAに引き継がれても細胞は分裂の周期性を失わないが、細胞周期に関わる遺伝子に重要な変異が起こると、他の細胞とシンクロナイズ(同調)して分裂する能力を失い、どれかの細胞が独自に異常増殖し始める。これがガン化した細胞である。

 

このカーボンナノチューブの病理実験結果は今後いろんな方面に波及効果を及ぼすものと思われる。

 

(森敏)

 

 

秘密

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